一般人をモデルとして撮影した際の報酬支払について
私は個人で一般の方にモデル被写体となることを依頼し、その報酬として1~3万円お渡ししています。撮影したデータをネット販売することで収入を得ており、初めての確定申告が必要な状態です。なお、額面収入は100万ほどです。
●経費と領収書について
①経費として控除するために領収書が必要だと思いますが、これはモデル様に記入していただいたもので問題ないでしょうか。偽装も容易だと思われるので、根拠資料として問題ないのか心配しています。
③モデル様に領収書をご記入いただきますが、どのような項目が記載されていればよいでしょうか。
●源泉徴収について
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2792.htm
④こちらを一見すると私のケースは源泉徴収が必要と思いました。しかし、「雑誌、広告その他の印刷物」に掲載させて渡す報酬のみ対象となるため、ネット販売は対象外との情報も見ました。私のケースで要否はどうなるでしょうか。
●消費税について
⑤私のケースで消費税が発生するなど、何か気にかける必要はあるのでしょうか。
税理士の回答

佐藤和樹
【1】経費と領収書について
① モデルへの報酬を経費とする場合、領収書の取得は原則として有効な根拠資料となります。
→ ただし、モデル本人に書いてもらった領収書だけでは、形式的に正しくても、実質性(誰に・何の目的で支払ったか)に疑義を持たれる可能性があります。
→ よって、次のような補足資料も一緒に保管することを推奨します:
・モデルとのやり取り記録(LINEやメールなど)
・撮影当日の記録(写真やスケジュール表)
・契約書や同意書(任意でも)
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③ モデルが発行する領収書には以下の項目が含まれるとよいです:
・領収書発行日
・宛名(あなたの名前)
・但し書き:「撮影モデル報酬として」など具体的に
・金額(消費税込/税込明記)
・モデル本人の署名(または押印)
※なるべく手書きの署名や捺印があると信頼性が高まります。
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【2】源泉徴収について
④ 国税庁の記載(No.2792)にある通り、以下の場合は源泉徴収が必要です:
「その出演により得た報酬・料金であって、雑誌、広告その他の印刷物に掲載されるための撮影等に係るもの」
→ 一方で、「印刷物に掲載されることを前提とする場合」が対象であるため、あなたのケースのようにネットで販売する写真素材については「印刷物」ではないため、源泉徴収の対象外となる可能性が高いと解釈されます。
ただし、以下の点は注意:
・モデルに「出演報酬」として明確な契約書や支払明細を提示している場合は、判断の根拠が明確になります
・モデル業の対価であり、かつ媒体が多様化している近年では「印刷物以外」も源泉対象とする解釈が広がる可能性もあります(税理士に確認推奨)
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【3】消費税について
⑤ 個人事業主であっても、以下に該当すると消費税の納税義務が発生します。
【基準期間(前々年)の課税売上高が1,000万円を超えた場合】
→ 今回のケース(年収100万円)ではまだ免税事業者であり、消費税の納税義務はありません。
ただし、今後売上が伸びる場合は以下に注意:
・年収が1,000万円を超えた場合、2年後から課税事業者に
・「インボイス制度(適格請求書)」対応が必要となる可能性
お忙しい中、非常に詳しくありがとうございます。
大変申し訳ないのですが追加でご質問させていただきますので、よろしければお手すきの際にご回答いただけますと幸いです。
①領収書の宛名について
発行者名はモデル様の活動名・ペンネームでは問題ありますでしょうか。本名記入を嫌がられるケースが現状としてはございます。
②領収書の税込み表記について
以前のご回答より消費税の納税義務はない状態ですが、報酬として3万円渡す場合、「税込み3万円」と表記してよいでしょうか。納税義務がない状態で「税込み」表記でよいのか少し気になりました。
③「報酬」と「謝礼」の違いについて
ネットで調べていると違いがあるようなのですが、私のようなケースではどちらで記載したほうがよいなどありますでしょうか。

佐藤和樹
【質問① 領収書の宛名について】
→ モデル様の活動名・ペンネームでの宛名記載は可能です。
ただし、税務上の証拠力を高めるには本名記載が望ましいです。
可能であれば、「活動名+様」とし、別途本名を報酬台帳等で管理しておくのが安全です。
【質問② 領収書の税込み表記について】
→ あなたが消費税の免税事業者であっても、「税込み3万円」と表記することは問題ありません。
税込み表記は「消費税を内含した金額」であることを意味し、実際に税を分けて記載しなければならない義務はありません。
ただし、相手がインボイス登録事業者で仕入税額控除を希望する場合は、登録番号がないと対象外になります。
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【質問③ 「報酬」と「謝礼」の違いについて】
→ 「報酬」は業務の対価として支払う金銭であり、原則として所得税の源泉徴収が必要なケースも含まれます。
「謝礼」は業務の対価ではなく、感謝の意味合いが強い一時的な支払いであり、税務上の取扱いが曖昧になりやすいです。
あなたが依頼して一定の役務(モデル活動など)を提供してもらっている場合は、「報酬」と記載するのが適切です。
本投稿は、2025年05月20日 02時08分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。