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住民票を残したまま海外在住で日本での収入あり

タイ在住者です。
現地で会社勤めをしていましたが、退職しました。
現在住民票は残したまま、今後は年に何度か日本に帰国し、滞在する予定です。

この先、日本の会社から翻訳の仕事を受ける予定があります。報酬は日本の口座への振込です。

個人事業主として新たにスタートするため、今後気をつける点、確定申告など含めアドバイスいただければ幸いです。

税理士の回答

タイに居住するのであれば、申告納税は居住国であるタイで行う必要があります。住民票が残ったままであるとか、取引相手が日本の企業であるとか、振込口座が日本の銀行であるとかは、タイでの納税義務(日本での確定申告不要事実)には影響しません。

なお、日本では「非居住者」に当たると思われるため、日本で課税されるのであれば、翻訳の仕事によっては「源泉課税」が行われる可能性があります。

なお、タイでの申告手続きについてはタイの税務当局に確認する必要があります。また、非居住者に対する報酬の源泉課税については、日本の企業との間で確認する必要があります。

日本とタイを往復しながら翻訳業を行う場合、滞在の期間や業務の情況に応じて個別に判断が必要と考えられます。以下は主に日本税務からの注意事項になるので、タイにおける注意事項はタイ税務の専門家にご相談ください。

ポイント
*税務上、日本とタイのいずれの居住者になるか
*翻訳の業務を日本とタイのいずれで行うか
*報酬が作業の対価なのか、著作物の使用料なのか
*日本に常設の事務所等(恒久的施設)があるか
*契約先・支払者が日本法人かどうか

1.そもそも税務上どちらの居住者に該当するのか
日本の所得税→実質的な生活の本拠が日本にある、又は、居所を1年以上有している場合に居住者該当
-居住者:国外所得を含む全世界所得が課税
-非居住者:日本で生じた所得だけが課税

タイの所得税→180日以上タイに居住している場合に居住者該当
-居住者:タイで得た所得について課税(日本源泉所得についてもタイに持ち込まれた場合はその持ち込まれた年に課税)
-非居住者:タイ源泉所得のみ課税

☆どちらの居住者に該当するかによって納税の有無や納税額が異なる可能性があるので注意

2.役務提供の場所が日本なのかタイなのか
-タイで業務が完結する場合(例えばオンラインで受注から納品まで完結するような形態):日本の居住者に該当しない限り日本で納税義務は原則生じない
-日本で業務を行う場合(来日してレンタルオフィスやクライアントの事務所などで打ち合わせや翻訳作業):原則報酬の支払者が源泉徴収する

(参考)
・源泉徴収で日タイ租税条約を適用する場合は支払者から質問者様に対してタイの居住者証明等の提出を求められる可能性があります。
・役務提供場所が日本国内である場合は、質問者様に日本の消費税の納税義務が生じる可能性(前々年の課税売上が1000万円を超える場合や課税事業者としてインボイスの発行を求められた場合など)があります。
・都道府県の住民税等は、所得税と異なり原則1月1日に住民基本台帳に記載されているかどうかで判定しますが、国内に事務所等がある場合は住民税等の納税が必要になる可能性があるので注意ください。

3.翻訳の役務内容の確認
日本で源泉徴収がある場合
-翻訳業務が作業で人的役務の提供に対する報酬とされた場合:原則20.42%で源泉徴収
-成果物に著作性が認められ著作権の使用料とされた場合:日タイ租税条約を適用して15%で源泉徴収

☆日本では20.42%で源泉徴収されたが、タイでは使用料として15%が適切と判断されると、タイで外国税額控除ができなくなり二重課税が生じてしまう可能性があるので注意

4.日本での確定申告の要否
-日本国内に恒久的施設あり(日本国内に事務所等の固定的な施設を有して翻訳する場合など)又は日本の居住者に該当:翻訳の報酬について日本で確定申告が必要
-日本非居住者かつ恒久的施設なし(日本国内で役務提供なし/一時的な滞在のみなど):源泉徴収のみで確定申告不要

☆有償か無償かにかかわらず日本国内で一定の場所を構えて業務を長期間行う場合は注意

5.支払者の確認
日本の法人と契約すると推察しますが、念のため契約の相手方が日本法人かどうか契約書でご確認ください。もし日本に親会社はあるが、契約自体はタイの子会社が行うといったケースがあると日本では納税が不要になる可能性が考えられます。

お忙しい中、回答いただきありがとうございます。細かい点まで教えていただき感謝しております。

本投稿は、2025年06月28日 12時54分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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