二つの業種でフリーランスとして働いている場合の開業届と確定申告について
4月から医療関係のシステムエンジニアとして「開業届」を出しました。
同時にいくつかの医療機関でバイトとして勤務しています。
1)確定申告の際、事業収入はシステムエンジニアとしての収入を計上し、雑収入で医師としてのバイト代を計上するのですか?
2)医師としての経費は、経費として計上できますか?
3)医師としても別途「開業届」を出す必要がありますか?
ご指導よろしくお願い致します。
税理士の回答
① 結論
医療機関での「バイト」が雇用契約なら=給与所得、業務委託なら=(原則)事業所得です。雑所得で処理するのは避けるのが安全です。
給与であれば医師としての経費は原則、給与所得控除に内包(実費控除不可)。例外は特定支出控除のみとなります。
医師として別途の開業届は、雇用なら不要です。業務委託で“自分の事業として継続反復”するなら、開業届(職業追加)提出が安全です。
② 理由
所得区分は契約実態で決まります。雇用(給与・源泉徴収票・勤務先の指揮命令)なら給与所得、委託(報酬・源泉10.21%の支払調書等)なら事業所得が原則となります。
「雑所得」は副業の規模が小さく事業性が乏しい場合の補充的区分で、医師業務は通常事業性が認められやすいため不適切になりがちかなと思います。
給与所得は給与所得控除で概算控除。実費計上はできず、やむを得ない費用のみ特定支出控除(要勤務先証明・要件厳格)となります。
業務委託であれば、医師側で必要経費を計上可能。独立した収入源として継続するなら開業届の「事業の追加」が適切です。
③ ご提案
A. まず契約書・支払形式を確認
給与:源泉徴収票が発行される/社会保険は勤務先経由/指揮命令あり。
委託:報酬として振込/支払調書(報酬)/源泉10.21%/勤務先の指揮命令は限定的。
B. 確定申告の区分
システムエンジニア:事業所得(開業届済み/青色なら事業帳簿)
医師バイト:
雇用(給与)→ 給与所得として合算。年末調整は主たる1カ所のみ、他は確定申告で精算。
業務委託→ 事業所得としてSEとは同一申告内で“別事業”として帳簿分け(売上・経費・預金・領収書を区分)。
雑所得は避ける(税務否認リスク回避のため)。
C. 経費の扱い
給与の場合:原則不可。可能性があるのは特定支出控除(研修費・図書費・通勤超過分等/勤務先の証明・上限あり)。
委託の場合:白衣・学会費・専門図書・交通費など、必要経費として計上可(領収書・メモ必須)。
D. 開業届(医師分)
雇用のみ:不要。
委託で継続反復:「個人事業の開業・廃業等届出書」で職業を追加(提出日=追加した日/SEの開業はそのまま)。青色は1つの承認で複数事業を包括できるが、事業別帳簿が安全ですね。
E. 源泉・控除の実務
給与:源泉徴収票を全て収集。主たる給与以外は確定申告で合算。
委託:支払調書(報酬)や通帳で売上を確認。源泉所得税10.21%は確定申告で精算。
住民税・国保(または社保)への影響を見込んで、概算納税や積立をするのも安心感が得られるかと思います。
早速の、そして整理された分かりやすいご回答を、ありがとうございます。
今年から奨学金で大学院に進学し、その傍ら、システムエンジニアと医師のバイトで生計をたてています。
システムエンジニアとして青色申告するつもりでしたが、バイトでの収入(システムエンジニアとしての収入とほぼ同額)をどのように申告すればよいのかわからず、質問させていただきました。
大学院の学費も経費にできるという情報を得たのですが、それもまずバイトの雇用形態を確認して
開業届を出せるかどうか、によるということですね。バイト先は複数あるので「ご提案」に沿って確認していきたいと思います。
本投稿は、2025年11月28日 13時09分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







