コスメのギフティング(無償提供・投稿義務なし)の取り扱いについて
普段、コスメのレビューをSNSで発信しています。有償PR案件・無償案件・投稿義務のないギフティングなどさまざまです。
今回確認したいのが、【投稿義務のないギフティングで受け取った商品が課税対象となるのか】という点です。
企業から「新商品が発売されるのでぜひ試してみてください。SNSへの投稿義務はありません。」と商品を提供いただく場合
① 投稿義務がないものでも商品の市場価格を所得として計上する必要があるのでしょうか?
② 実際にその商品を自分のコスメレビューアカウントで紹介・レビューした場合は、投稿義務がなかったとしても、商品価格を所得として計上する必要があるのでしょうか?
③ 反対に、商品を受け取ったものの投稿しなかった場合はどうでしょうか?
④ 投稿義務のないギフティングについて、課税対象となる場合は「事業所得」「一時所得」など、どの所得区分になるのでしょうか?
ネット上や他の相談事例を見ると、
・投稿義務がないギフティングは課税されない
・企業から無償提供された商品も経済的利益なので課税対象になるなど、回答が分かれているように感じています。
知識が乏しく的外れな質問かもしれませんが、ご教示いただけますと幸いです。
税理士の回答
ご質問ありがとうございます。
結論から申し上げると、投稿義務のないギフティングについても、「投稿義務がない」という理由だけで課税対象外になるとは限りません。
所得税では、金銭だけでなく、無償で受け取った商品などの経済的利益も収入となる場合があります。
そのため、今回のようなケースでは、
「実際に投稿したかどうか」
だけではなく、
「なぜその商品を企業から提供されたのか」
という点が重要になります。
◆投稿義務がない場合
投稿義務がなくても、普段からコスメレビューをSNSで発信しており、その活動をきっかけとして企業から商品提供を受けているのであれば、SNSでの活動に関連して得た経済的利益と考えられる可能性があります。
したがって、
「投稿義務なし=所得として計上しなくてよい」
と一律に判断するのは難しいでしょう。
収入として計上する場合には、必ずしもメーカー希望小売価格そのものではなく、原則として商品を受け取った時点における価額を基準として考えます。
◆実際にレビューを投稿した場合
実際にご自身のコスメレビューアカウントで商品を紹介した場合には、SNS活動との関連性はより強くなると考えられます。
投稿義務がなかったとしても、その商品提供がSNSでの活動に関連するものであれば、商品の価額を事業所得や雑所得の収入に含める方向で考えるのがよいでしょう。
◆商品を受け取ったものの投稿しなかった場合
投稿しなかったからといって、必ず課税対象外になるわけではありません。
重要なのは、実際に投稿したかどうかよりも、商品提供を受けた理由です。
コスメレビューアカウントを運営していることをきっかけとして企業から商品提供を受けているのであれば、結果として投稿しなかった商品についても、SNS活動との関連性が直ちになくなるわけではないと考えます。
◆所得区分
SNSでの発信活動が事業として行われている場合には「事業所得」、事業とまではいえないものの、副業等として継続して行っている場合には「雑所得」となることが考えられます。
一方、業務とは関係なく法人から一時的に贈与されたものであれば、「一時所得」となる可能性があります。
今回のように、普段からコスメレビューを行い、その活動をきっかけとして企業から有償PR、無償案件、ギフティングなどを受けているのであれば、まずは事業所得または雑所得として考えるのが自然でしょう。
◆商品が多い場合はどう管理するか
ギフティングの件数が多い場合、1商品ごとにその都度会計ソフトへ仕訳を入力する必要まではありません。
例えばExcelやスプレッドシートなどで、
・受取日
・企業名
・商品名
・受取時点のおおよその販売価格
を簡単に一覧にしておき、月ごとに合計してまとめて会計ソフトへ計上する方法が考えられます。
価格についても、受け取った時点で一般に販売されている価格など、合理的に説明できる金額を継続して使用しておくとよいでしょう。
「商品の数が多くて管理が大変」という理由だけで所得から除外できるわけではありませんので、今後はギフティングについても、受け取った時点で簡単な記録を残す運用にしておくことをおすすめします。
1点補足です。
ギフティング商品をレビューや撮影など事業のために使用した場合、その事業で使用した部分は必要経費になります。
そのため、商品の価額を収入に計上しても、その金額がそのまま所得になるわけではありません。
たとえば、受け取った商品をいったん資産として管理する場合は、
◇受取時
貯蔵品 / 売上・雑収入
◇事業で使用したとき
消耗品費など / 貯蔵品
といった仕訳が考えられます。
受け取ってすぐ事業で使用する場合には、
消耗品費など / 売上・雑収入
と処理することも考えられます。
このように、事業で使用する部分については収入と必要経費が対応するため、所得への影響が小さくなります。
一方、レビュー後に自分で使うなど私的利用がある場合は、その部分を除いて考える必要がありますのでご留意ください。
佐々木俊
投稿義務の有無では決まらず、あなたのレビュー活動に関連して提供された商品なら、投稿しなくても収入に計上するのが原則です。所得税は金銭だけでなく物や経済的な利益も収入とみなすため、「無償だから非課税」にはなりません。
① 投稿義務がなくても、レビューを発信しているあなただからこそ届いた商品であれば、受け取った時点の価額(実際に売られている価格)を収入に計上します。
② 実際に紹介・レビューした場合は活動との結びつきがより明確なので、同じく収入です。
③ 投稿しなかった場合も、提供の理由がレビュー活動にある以上は収入に計上するのが安全です。ただし、レビューや撮影に使った分は必要経費になるので、使い切った商品は収入と経費が相殺され、実質の所得はほとんど残りません。
④ 所得区分は、レビュー活動が本業なら事業所得、副業程度なら雑所得です。一時所得は役務の対価としての性質を持たないものに限られるため、発信活動への対価と見られるギフティングは一時所得にはなりません。
辰見浩一
ご質問のケースでは、「投稿義務がない」という一点だけで、直ちに課税対象外とは言い切りにくいように思います。
企業から商品提供を受ける経緯が、ご自身のコスメレビュー活動やSNS発信と関係しているのであれば、形式上は無償でも、事業や発信活動に関連して受けた経済的利益として課税関係を検討する余地があります。
① 投稿義務がなくても、発信活動との関連で提供を受けたものであれば、商品の市場価値相当額について課税対象を検討する必要はあると思います。
② 実際にその後SNSで紹介やレビューをした場合は、発信活動との関連性がより強く見えやすくなるため、課税関係を検討する必要性は高まると思います。
③ 反対に、受け取ったものの投稿しなかった場合でも、受領の経緯が発信活動と結び付いていれば、直ちに非課税とは言い切りにくいように思います。
④ 所得区分は一律ではなく、継続的なレビュー活動や発信活動に関連して受けるものであれば事業所得または雑所得の余地があり、たまたま受けた贈与性の強いものであれば一時所得の検討余地があります。
ご回答いただきありがとうございます。
もう一点確認で、ギフティングではなくPRの場合です。
商品の価格は市場価格で計上するが、もし企業側から割引価格(Qoo10のメガ割やAmazonセールなど)でPRの指示があった場合は、その指示された金額で計上すると何かで見た気がするんですがいかがでしょうか?
追加のご質問をありがとうございます。
企業から案内された割引価格が、商品を受け取った時点でQoo10やAmazonなどで実際に一般販売されている価格であれば、その価格を基準に計上する考え方でよいと思います。
所得税では、無償で受け取った商品の「その時における価額」を経済的利益として考えるためです。
したがって、「企業からその金額を指定されたから」というより、その金額が受取時点の実際の販売価格であり、時価として合理的だから、という整理になります。
なお、一部の人だけが使える特別クーポンやポイント利用後の価格などは、一般的な販売価格とは言いにくいため、別途考える必要があります。
本投稿は、2026年09月07日 00時35分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







