土地譲渡に関する費用計上について
前提は以下の通りです。
現在、400坪の土地を所有しています。全体の土地の地番は10-1とします。
この土地は父からの相続で、母(50%)と私(50%)の共有名義でした。
その400坪の土地を、譲渡及び賃貸住宅経営の目的で3分筆しました。
譲渡用(100坪)の土地地番10-3(母名義)、賃貸住宅用(100坪)の土地地番10-2(母名義)、居住用(200坪)の土地地番10-1(私名義)として登記しました。
そこで譲渡費用について以下の質問にご教授頂ければ幸いです。
1.地番10-3と10-2の間に母名義の居住用家屋があり土地の譲渡及び賃貸住宅経営のために取り壊しました。この場合、住居用家屋の取壊し費用は全額譲渡費用に計上しても問題ないでしょうか。
2.同様に全体の測量、分筆登記費用の計上は、どうなるでしょうか。
3.当時、敷地全体に植木や大きな庭石が多くあり、家屋の取壊し費用とは別に撤去費用がかかりました。この費用は、譲渡費用として計上できるものでしょうか。
4.同様に譲渡用土地の盛土、造成費用はどうでしょうか。
以上、宜しくお願いします。
税理士の回答

土地を譲渡するためにその土地上の建物を取り壊したときの取壊し費用は譲渡費用に該当するとされています(所得税法基本通達33-7)。
従って、10-3部分を独立させて譲渡するために旧居宅を取り壊したということであれば、その取り壊し費用は10-3を譲渡するときの譲渡費用と考えることができます。
一方、自宅を取り壊してその跡地に賃貸物件を建築した場合の取り壊し費用は「家事費」とされ税務上は個人的な支出として取り扱われます。
本件に関しては、10-3の譲渡と10-2の賃貸住宅建築がどのような流れで実行されたのかがポイントになるかと思います。10-3の譲渡がまず存在し、その後、たまたま空いた土地に賃貸住宅を建築したという流れであれば、取り壊し費用は譲渡費用と考えて良いかと思います。しかし、10-3の譲渡と10-2の賃貸住宅の建築が一つの計画で同時に進んでいたとなると、取り壊し費用は合理的に按分(面積按分等)して譲渡費用となる金額を算出することになるかと考えます。
測量、分筆の費用も同様に考えます。なお、10-1部分の測量・分筆に関してはすべて家事費になると思います。
植木等の撤去費用も10-3に係る部分に関してのみ譲渡費用に該当すると考えます。
最後の土地の盛土・造成費用につきましては、土地の改良費となりますので、該当する土地の取得費として扱われます。譲渡所得の計算において取得費を実額で計算する場合にはその取得費に上記の改良費を加算して計算しますので、結果的には譲渡利益を減少させることになります。しかし、10-3部分の取得価額の実額が分からず、概算取得費(譲渡収入の5%)を採用する場合には、上記の土地改良費を加算することはできませんのでご注意ください。
このような場合には、造成費用を譲渡費用として認めてもらう工夫を凝らす必要があります。こちらを説明しますと長くなってしまいますので該当する場合には再度ご投稿ください。
宜しくお願いします。
お早うございます。お忙しい中、詳細に渡りご回答頂き有難う御座います。
譲渡と賃貸住宅建築の実行の流れについては、将来、母からの相続を想定し同時期に決定し進めて来ました。しかし、土地は中々売れず今月、パワービルダーと売買契約を締結しました。引き渡しは12月になります。
譲渡の理由は、将来に渡り利用する土地では無い事と賃貸住宅建築は融資で行いますので、将来、万が一返済に苦慮した場合の資金としてプールしておこうと考えました。
譲渡する土地は先祖代々の土地で取得価格が不明のため取得費は概算取得費5%で考えていました。その場合、土地改良費は控除できないこと注意します。
その他の部分については面積按分にします。
するとこの場合、賃貸住宅側の按分費用については、賃貸事業の創業費用として経費計上できるという理解で宜しいでしょうか。
本当に有難う御座いました。お陰様で確定申告について心配の霧が晴れました。
根本的な過ちを犯してしまいました。
今回の土地の売買契約書には物件上の建物の撤去条件は記載されておらず、逆に、所有権の移転の項目、3項には、本物件上の建物の所有権は乙(買主)が売買代金全額を甲(売主)に支払ったときに甲から乙に移転するものとする。と明記されていました。
他のサイトで同様の事案があったのですが、建物の解体費用を譲渡費用に計上するためには売買契約書に建物の解体撤去条件が明記されていないとならないとありました。
今回、売買契約を結んだ買主様は、初めから建物を解体し更地になった以降に物件を見て頂き契約を結んでおりますので譲渡経費にはあたらないようです。
本日、その件で媒介業者の担当者に確認しましたが知識不足なのか確実な返事は頂けませんでした。
税務署からすれば、買主から建物の解体条件が無いのに自分で勝手に解体したのでしょ?それは経費ではありませんと指摘され修正申告を求められると思われます。
残念ですが経費計上は諦めることにします。
服部先生、いろいろと親身になって頂き有難う御座いました。

ご連絡ありがとうございました。
売買契約書と実態が一致していないということですね。売買契約書の変更が可能であれば実質的には「譲渡するために取り壊した費用」といえると思いますが・・。 契約書の変更は難しいでしょうか。ご参考になれば幸いです。
昨日、媒介業者に来て頂き、売買契約書の変更について相談しましたが難しいとの事でした。
そこで、一つ提案がありました。
家屋の解体は任意であったにせよ、家屋は老朽化しており、土地を有利に売却するためには老朽化した家屋を解体しなければ買手が付かないという理解は一般常識である。また、素人判断ではあるが売却する土地部分を測量し分筆登記するためには分筆上に妨げになる家屋を解体するしかなかった。と税務署に解体理由を説明したらどうか。
このような理由で税務署は理解してもらえるものでしょうか。

ご連絡ありがとうございます。
古家がある場合、解体して更地にしておいた方が売れやすいということで、任意に解体して売りに出すケースは実務上あり得る話です。そして、そのような場合の解体費用も譲渡費用として認められています。
気になるのは売買契約書に建物の記載がある点ですね。もし、税務署からここを聞かれたら、媒介業者がうっかり通常の雛形をそのまま使用してしまったためで、実際には建物は存在していなかったということを説明することになると思います。
以上、ご参考になれば幸いです。
服部先生、有難う御座います。
気になるのは売買契約書に建物の記載がある点ですね。
おっしゃる通りです。今の媒介業者に変更した以前に家屋は解体されていたのに、このような文言が売買契約書に記載されていたことに疑問が残ります。
兎に角、虚偽の申告をして節税しようとは思っておりません。正直に経緯をレポートし税務署の理解を得るように頑張ってみます。
今回は、本当に勉強になりました。不動産の売買は誰もが経験できる事では無いことですので貴重な経験として、そして我が糧として学びたいとと思いました。
服部先生、本当に有難う御座いました。
本投稿は、2016年08月24日 09時14分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。