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海外在住 ウェブデザイナー、グラフィックデザイナーの源泉徴収と確定申告について

お世話になります。
スペイン在住、フリーランスのグラフィックデザイナー、ウェブデザイナーをしております。この度、在日本の企業様から、ウェブデザインのお仕事をいただき、今後も是非日本企業からお仕事をいただいていけたらと考えています。

■居住地
私は、日本国非居住者です。(日本に住居やオフィスは所有していません)現在スペインに住んで六年です。

■仕事内容
日本の企業からインターネット上で受注→納品 (全てオンライン上)

■国内源泉所得
デザイン業は著作権の譲渡にあたるため、国内業務に含まれるようです。よって、非居住者でも、源泉徴収20.42%の源泉徴収が必要なようです。
企業様には満額で請求をし、企業様で20.42%の源泉徴収を行っていただくという認識で間違いないでしょうか?
*国税庁サイト:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2878.htm

■個人事業主登録
非居住者ですが、国内業務発生のため、個人事業主登録はすべき、した方が良いでしょうか?

■確定申告
確定申告は必須でしょうか?国内業務による所得は年間100万円以下の見込みですので、予め天引きされた20.42%の税金が還付されるようであれば、申告をしようと思っています。

以上です、ずっと会社員でこういった手続きは初めてのため、色々質問してしまいました。
どうぞよろしくお願いいたします。

税理士の回答

回答します

 貴方の所得(報酬)は「著作権の譲渡」又は「著作権の使用料」に該当すると推察いたします。
 また、貴方はスペインの居住者で、スペインに申告納税する義務のある方との前提で説明いたします。

【国内源泉所得の保税方法】
 国内法では日本国内に支店等がない場合は「著作権の譲渡」及び「著作権の使用料」はいずれも20.42%の源泉分離課税となっています。
 ただし、日本とスペインの間には租税条約を締結していますので、租税条約の適用を受けることができます。
 ※手続き関係は後ほど記載します。

【個人事業者の登録】
 貴方が日本に支店等を有しないのであれば、登録は必要ないと思われます。前述のとおり、著作権に関する課税は「源泉分離課税」となっていますので、特に登録が必要な業種とは思われません。

【確定申告】
 前述のとおり貴方が日本国内に支店等を有しない場合及び他の所得(不動産所得など)がない場合は日本で確定申告は必要ありません。

【日・スペイン租税条約】
 日・スペイン租税条約§12では、「著作権の譲渡・使用料」とも、10%に税率の軽減がされています。
 なお、「譲渡」に関してはその譲渡が「真正譲渡=すべての権利を相手方に渡す」場合は、§13及び議定書4によって日本での課税は免除されます。
 また、租税条約の適用による軽減・免除を受ける場合は、「租税条約の届出書」を報酬の支払われる前に、支払者を通じて支払者の所轄税務署の提出する必要があります。
 
【手続き等の流れ】
 ① 報酬の支払前に、支払者を通じて支払者の所轄税務署に「租税条約の届出書」の正副2部を提出します。
 ② 報酬の支払時には、20.42%ではなく10%の所得税を源泉徴収により納税します。(支払者を通じて行います)
 ③ 支払者は「源泉所得税の納税証明願」を2部作成し、所轄税務署から「納税証明書」の発行を受け、貴方に送付します。
 ④ 貴方は支払者から交付された「納税証明書」をスペインの確定申告時に添付し「外国税額控除」を受けることになります。

大変ご丁寧な回答、誠に有り難うございます。
租税条約についてなど詳しい内容がインターネットで調べても見つけられなかったので、大変助かります。

先日、国税庁へ電話で同様の問合せをしたところ、「確定申告をすれば、多く支払った税金分は返金される」ということでしたので、ひとまず企業様には20.42%の源泉徴収をしてもらい、確定申告時に、還付を受けたいと思っていました。(年間で合計50万にも満たない金額なので、きっと還付されるのではと思っています。)

報酬発生の都度、支払者から「租税条約の届出書」を出せば、10%に軽減されるということですが、支払者から税務署へ書類提出、私にも送付が必要、など支払者にとって手間が発生してしまうので、
それを避けるために、私が確定申告をして、1年間20.42%支払い続けて、還付してもらえばいい。と思っています。

この私のやり方で問題ないでしょうか?

 続きになります

 ※ 最初の「国内源泉所得の課税方法」が入力ミスで「保税方法」になっておりました、申し訳ありません。

 貴方の報酬が「譲渡」になるか「使用料」になるかは、企業側との契約によります。また手続きに関しても企業側が慣れている場合もありますが、慣れていない場合もありますのでよく打ち合わせをされた上で、契約や手続きをされることをお勧めします。

 なお、租税条約で軽減・免除がある場合で「租税条約の届出書」を報酬の支払前に提出されなかった際には、一旦20.42%の納税が必要となりますが、その後に還付の手続きが取れます。
 しかし、還付の際には確認事項が多く手数と時間がかかりますので、事前の届け出をするようにお勧めします。
 また、仮に20.42%の納税のままであっても、租税条約で還付等が見込まれる場合は、確定申告時の「外国税額控除」は条約の範囲内となると聞いています。

 国税庁HPから説明箇所をお知らせします。
 「源泉徴収のあらまし」の7枚目(P270)が一覧表になっており、恒久的施設の有無や課税方法が分かりやすいと思います。
 また、22枚目(P284)から「租税条約の軽減・免除」を受けるための手続きについて記載があります。
 スペインとの租税条約に関しては、62枚目(P325)に代表的な所得の税率が記載されています。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/aramashi2020/pdf/12.pdf

 「租税条約の届出書(使用料)」の様式
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/joyaku/annai/pdf2/252.pdf

 「源泉所得税の納税証明願」の様式https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/pdf2/1648_31.pdf

大変ご丁寧に有り難うございます。

「租税条約の軽減・免除」について、お送りいただいた資料 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/aramashi2020/pdf/12.pdf を確認しましたところ、スペインは法律の発効前後で変更があるようです。306ページ「3 譲渡の対価」の部分です。

●真正(完全)な譲渡 以外の譲渡対価を 使用料とする条約 締結国 スペイン(新条約 発効前)、メキシコ
●譲渡対価と同様に取り扱う条約締結国 スイス、スウェー デン、スペイン(新 条約発効後)、中華 人民共和国等(注2)

これは、新条約発効後は、免除にはならず、10%の軽減が適用となる、ということでしょうか?
重ね重ね恐れ入ります。

 回答します
 2021年2月15日付けで報道発表された「新租税条約発効」ですね。申し訳ございませんでした。2018年に締結された後の相互通知の発効が行われ、2022年1月1日以降に支払うこととなる報酬等が該当します。

 新条約の条文を確認したところ
 「著作権の譲渡」は、権利を譲渡した居住者の国(スペイン)のみの課税となりますので、免税となります。(§13⑥)
 なお、使用料に関しても、免税となるようです。(§12)
 このことから推察いたしますと(まだ手続きが明らかになっていません)、他国における「特典条項付きの租税条約」に該当すると思われます。

 詳細が発表されていませんので、念のため、報酬の支払者である企業様から所轄税務署への確認をご依頼ください。また、契約の内容などから、いつまでは「旧条約」摘要となり、いつから「新条約」適用になるかをご確認ください。
 切替後は、新たに「租税条約の届出書」等(特典条項付表や居住者証明書)の提出の必要になります。

 ところで、特典条項付きの租税条約の場合は、「居住者証明書」や「特典条項の付表」などを添付する必要があります。
 現状では、改正のあらましや様式などはまだ国税庁HPへUPされていませんので、様式などのご紹介ができませんが条約の本文(和文)を紹介いたします。
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/international/20210215Spa_j.pdf

 なお、特典条項付きの「租税条約の届出書」に添付する「特典条項の付表」の説明の概要箇所を添付します。
 他国の様式も掲載されていますので参考にしてください。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/joyaku/annai/5320/01.htm

本投稿は、2021年04月21日 17時36分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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