祖父から孫への生前贈与
子の大学進学にあたり、私の父から「援助したい」との申し出がありました。
生活費に充てるため年110万円を暦年贈与してもらい、また学費の納入時期に合わせて春、秋に60万円ずつ都度贈与してもらいたいと考えています。
学費負担者は私で支払口座も私名義です。孫の口座に都度贈与してもらった分全額を引き出して私の口座に入金し、口座振替日に大学に引き落としてもらうつもりでいるのですが、子の口座から私の口座に資金移動していることなどが問題視され、この場合贈与税がかかってしまうのでしょうか?
祖父から孫への贈与のやりとりだけの口座を作り、入出金が把握できるように準備しましたが…
教育資金一括贈与も考えましたが、遠方に住む高齢の祖父をあまり煩させたくない(手続きなど)ことや、余命のことを考慮して検討しませんでした。
暦年贈与と都度贈与は併用してかまわないということですが、上記の場合は例外になりますか?
税理士の回答

小川真文
相続税法では、親子などの扶養義務者相互間において、生活費または教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち、通常必要と認められる部分の金額については、贈与税を非課税にすることとしています。この場合の「扶養義務者」とは、相続税法では「配偶者および民法第877条に規定する親族」をいうこととされています。つまり生活費または教育費の贈与が非課税とされる扶養義務者とは、①配偶者、②直系血族、③兄弟姉妹、④生計を一にしている3親等内の親族、ということになります。
ですから祖父母が孫の学費を負担したような場合には、祖父母と孫は直系血族の関係にあるため、生計を一にしているかどうかにかかわらず贈与税は非課税とされるわけです。その場合は学費の負担を受ける孫の親、貴方様が学費を負担するだけの資力を有しているかどうかは関係ありません。親に子の学費を負担するだけの十分な資力があったとしても、祖父母が負担した孫の学費に対して贈与税は課税されません。
また「通常必要と認められる部分の金額」かどうかについては、大学の学費であれば入学金と授業料は非課税の扱いとなります。
生活費の贈与も同様で、贈与される側に生活するための資力があるかどうかは非課税のための要件ではありません。このため、子供に生活するための資力がある場合でも、親が負担した(贈与した)生活費は非課税となります。この場合にも「通常必要と認められる部分の金額」かどうかは問題となりますが、生活費の援助は、常識の範囲であれば問題ないものと思われます。
ご相談の内容については、金額的な内容や趣旨等及び「祖父から孫への贈与のやりとりだけの口座を作り、入出金が把握できるよう」にされていますので贈与税の問題はないもと考えます。
大変わかりやすいご説明を頂き感謝します。
ありがとうございました。
本投稿は、2023年03月29日 12時47分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。