夫婦間贈与
我々夫婦は、結婚してからずっと、会社員と専業主婦として定年を迎えました。この時点で資産は1億円になりました。妻が自分の名義の資産を持ちたいとの希望を述べました。そこで、もし私が5000万円妻の口座に振り込むと、贈与税の対象として課税される可能性はあるのでしょうか。名義預金として課税されない可能性はないのでしょうか。
税理士の回答

出澤信男
夫婦の口座間での資金移動には原則として贈与税がかかります。なお、生活に必要な範囲であれば贈与税はかかりません。また、年間の総贈与額が110万円以下なら贈与税は非課税になります。
5000万円を口座間移動したことをもって贈与になるわけではないですが、「あげますもらいます」という双方の意思があれば、贈与になります。
妻が自分の名義の資産を持ちたいとの希望
に基づいて、口座間移動するのですからまさに贈与になるのではないですか。

佐藤和樹
【結論】
夫が妻の口座に5000万円を振り込むと、原則として贈与税の課税対象になる。
名義預金と認定されれば贈与税は課されないが、それは妻が自由に使えない等の実態が必要であり、相続時に課税される可能性が高い。
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【理由】
・贈与税は「個人が他人から財産をもらった場合」に課税される。
・夫婦間でも、金銭を無償で移動させた場合は贈与とみなされる。
・名義預金とは、名義だけ妻で実質的に夫が管理している預金のこと。
・名義預金であれば贈与税はかからないが、相続時に「夫の財産」として相続税が課される可能性が高い。
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【贈与と認められる条件】
以下を満たすと、正当な贈与として認められる可能性が高い。
・贈与契約書を作成する(できれば公正証書)
・贈与を受けた妻が自分で管理・運用する
・通帳や印鑑、キャッシュカードを妻が保管する
・贈与税の申告と納税を行う(基礎控除110万円超)
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【贈与税の試算(配偶者間で5000万円を贈与する場合)】
・基礎控除110万円 → 課税価格4890万円
・贈与税:約2255万円(税率55%、控除額640万円)
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【注意点】
・配偶者控除(2000万円の特例)は、「居住用不動産またはその取得資金の贈与」が対象。現金5000万円の単純贈与では使えない。
・名義預金として形式だけ変えても、税務署には把握されやすく、相続時に課税対象となるリスクがある。
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【代替案】
・毎年110万円以下で数年に分けて贈与する(暦年贈与)
・生活費・医療費としての支出は非課税
・居住用不動産を妻名義で購入し、配偶者控除を使う
本投稿は、2025年05月25日 21時14分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。