生前贈与と相続税申告について
先の質問の続きです。
伯母の遺産を相続することなりました。遺言の公正証書で2人姉妹の姪(次の弟の子)が相続します。
伯母には、配偶者、子、両親もなく、5人兄弟の姉、弟、妹、弟のうち、姉、妹以外はなくなっております。
遺言執行人の司法書士は、伯母の補助人です。遺言執行人はやっと戸籍調査に取り掛かり、他の法定相続人が3から6人いることになりそうです。
相続財産は預金4,700万円のみとこの遺言執行人は言いますが、補助人として伯母の管理をしていた7年間に公正証書で相続人とされている姪の一人に毎年100万円贈与していることがわかりました。これは家庭裁判所に提出した書類で確認できたものです。書類には定期贈与契約による贈与とあります。契約は当初の令和2年1月か令和1年12月で 令和2年1月から令和8年1月まで7回計700万円贈与となっています。この場合生前贈与として相続税計算に戻されるのではないでしょうか。そして相続財産は700万円プラスの5,400万円になるのではないでしょうか。贈与税の申告はもちろんしていません。贈与税としては時効になるのでしょうか。よろしくご教示ください。
税理士の回答
相続遺贈により財産を取得した方が、亡くなられた方の3年以内に贈与を受けている場合は、相続時の財産に加算して相続税を計算することになります。
したがって、亡くなられた日によって、加算される場合があります。
また、贈与の時効は申告期限(贈与を受けた翌年の3月15日)から6年間です。したがって、令和2年以降の贈与ならまだ時効ではありません。
髙畑智子
生前贈与については、相続開始日と贈与契約の内容を確認する必要があります。
暦年課税による贈与の場合、相続または遺贈により財産を取得した方が、被相続人から加算対象期間内に受けた贈与は、相続税の課税価格に加算されます。
令和8年12月31日までに相続が開始した場合、加算対象期間は相続開始前3年以内です。令和9年以降は段階的に延長されます。
ただし、今回のように「定期贈与契約」と記載されている場合、当初から700万円を7年間に分けて受け取る権利を贈与した契約なのか、毎年独立した贈与なのかによって、贈与税の課税関係が異なる可能性があります。
また、相続税の計算上、生前贈与を加算することと、実際の遺産額が700万円増加することは別の問題です。
贈与税の申告義務や課税処分の期間制限についても、契約内容、贈与の成立時期等を確認しなければ判断できません。
今回の案件は、法定相続人の確定、生前贈与の取扱い、相続税の申告要否など、複数の問題が関係しています。
個別の事実関係によって結論が異なりますので、**相続税申告を依頼する税理士と契約し、贈与契約書や家庭裁判所への提出資料等を提示したうえで、具体的な判断を受けることをお勧めします。**
既存のご回答に補足いたします。
【結論】 ①戻されるのは、姪御さんが受けた贈与のうち「相続開始前3年以内」の分だけで、7回全部ではありません。 ②相続税の計算上も5,400万円にはならず、4,700万円+300万円(3回分)程度が目安です。法定相続人の数によっては相続税自体がかからない可能性があります。 ③毎年の贈与と見れば贈与税はかからず、「定期金」の贈与と見れば契約時期次第で課税できる期間が残っています。
【①加算の範囲】 相続税法19条により、相続又は遺贈で財産を取得した人が、被相続人から加算対象期間内に受けた贈与が加算されます。令和5年度改正で7年に延長されましたが、経過措置により令和8年12月31日までの相続開始は3年以内です(国税庁タックスアンサーNo.4161)。毎年1月の贈与なら、亡くなった日から遡って3年以内の令和6年・7年・8年の3回分(亡くなった日により4回分)が対象です。加算されるのは、遺言で財産を取得する、贈与を受けた姪御さんの分だけです。
【②相続財産の額と基礎控除】 加算は課税価格の計算上の話で、遺産そのものが増えるわけではありません。基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数です(相続税法15条)。ご存命の被相続人の姉妹と、亡くなった弟さん2人の子(甥姪)が相続人となり、ご相談文からは5人以上になりそうです。5人なら6,000万円で、仮に700万円全額を足しても5,400万円ですから、他に財産がなければ基礎控除以下です。 なお、相続税がかかる場合、姪御さんは一親等の血族ではなく、兄弟姉妹の代襲相続人は2割加算の除外対象に含まれないため、相続税額の2割加算があります(相続税法18条)。
【③贈与税】 ・毎年独立した贈与なら、各年100万円は基礎控除110万円(租税特別措置法70条の2の4)以下で、申告は不要です。 ・7年間で計700万円を受け取る権利を契約時に贈与したと見られる場合は、契約した年に定期金に関する権利(相続税法24条、相続税法基本通達24-1)の贈与を受けたものとして申告が必要になります(タックスアンサーNo.4402のQ&A)。この場合、贈与の時期は契約年となるため、3年内加算の対象から外れる可能性もあります。 ・贈与税の決定ができるのは申告期限から6年、偽りその他不正の行為があれば7年です(相続税法37条)。契約が令和2年1月なら令和2年分で、申告期限(令和3年3月15日。コロナ禍で令和3年4月15日まで延長)から6年の令和9年3〜4月頃まで課税され得ます。令和元年12月の契約なら令和元年分で、申告期限(令和2年3月16日。同じく令和2年4月16日まで延長)から6年を、延長後の期限で数えても既に過ぎており、不正の行為がなければ課税はできません。
【補助人による贈与】 補助人ができるのは、家庭裁判所が認めた代理権・同意権の範囲に限られます。贈与がその範囲外で無効とされたり、姪御さん名義でも実質は伯母様の預金と判断されたりすると、700万円は贈与ではなく遺産そのもの(返還請求権等)として扱われる余地があります。
贈与契約書、家庭裁判所への提出書類、亡くなった日、相続人の範囲を確認のうえ、お近くの税理士にご相談ください。
相続税の課税価格への加算と、実際に残っている遺産額は区別して検討する必要があります。暦年課税で、令和8年中に相続開始した場合は、原則として相続・遺贈で財産を取得する方が相続開始前3年以内に受けた贈与が加算対象と考えられます。ただし、当初に7年分を受け取る権利を贈与した契約なら、贈与時期の判断も変わる可能性があります。700万円全額の加算や贈与税の期間制限を決めつけず、契約原本、死亡日、戸籍調査結果を相続税を扱う税理士に提示して確認されるとよいでしょう。
※本回答は一般的な情報提供を目的としたものです。詳細な判断は管轄の税務署への確認や、税理士への個別相談をお願いいたします。
本投稿は、2026年11月03日 08時08分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







