贈与税申告時に、相続時精算課税制度利用する場合の留意事項確認
お世話になります、初めて投稿致します。 先般(R3.6.2)父親(89歳)より、小生(54歳)の新規事業用資金として350万円を提供してもらいました。贈与税申告時に相続時精算課税制度を利用しようと考えております。その際に、親族は母(同居)、姉(非同居)、小生(同居)ですが、全ての親族がその対象となるのでしょうか。 又、相続時に土地の贈与(価額未査定)が有る場合に、小規模宅地等の特例が適用にならない者は、今回の場合全ての親族(相続分配者)に適用となってしまうのでしょうか。
甚だ不勉強で基本的な法規を理解しておりませんが、ご教示の程宜しくお願い申し上げます。
税理士の回答

先般(R3.6.2)父親(89歳)より、小生(54歳)の新規事業用資金として350万円を提供してもらいました。贈与税申告時に相続時精算課税制度を利用しようと考えております。その際に、親族は母(同居)、姉(非同居)、小生(同居)ですが、全ての親族がその対象となるのでしょうか。
→相続時精算課税制度は、贈与者ごとに選択します。
したがって、今回お父様からの贈与について、ご相談者様が相続時精算課税制度を選択したからといって、お母様からの贈与についても適用されるわけではありません。
また、お姉様からの贈与については、親から子・祖父母から孫への贈与でないため、そもそも相続時精算課税制度の選択はできません。
国税庁HP: 相続時精算課税の選択
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4103.htm
相続時に土地の贈与(価額未査定)が有る場合に、小規模宅地等の特例が適用にならない者は、今回の場合全ての親族(相続分配者)に適用となってしまうのでしょうか。
→贈与により取得した土地について小規模宅地等の特例の適用はできません。
国税庁HP: 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm
松井先生
お世話にまります。迅速なるご回答誠に有難うございます。
父の死亡時の土地の相続に、小規模宅地等の特例が適用されない(相続時精算課税制度を利用した場合)のでしょうか。
恐縮です、理解が出来ませんでした。

父の死亡時の土地の相続に、小規模宅地等の特例が適用されない(相続時精算課税制度を利用した場合)のでしょうか。
→はい。相続時精算課税制度を利用して贈与された土地について、小規模宅地等の特例は適用できません。
松井先生
お世話になります、迅速なるご回答誠に有難うございます。
度々恐縮ですが、小生以外の分配相続人(例:姉)は、相続価額見合いで、特例の適用を受ける事は可能でしょうか。(小生だけが相続時精算課税制度を利用する事により、他相続分配人が、結果的に損をする事は有りませんか。)

お姉様が何らかの特例を適用できるか否かは、お父様について相続が発生したときの状況にもよりますから、分かりかねます。
少なくとも、ご質問の中でお姉様が小規模宅地等の特例を適用できるような土地はないようにお見受けいたします。
また、相続時精算課税制度により贈与された財産は、お父様に係る相続税申告上、受贈者が相続により取得したものとみなして相続税が課税されます。
したがって、ご相談者様がお姉様と比較して、お父様から大きな恩恵を受けているということはないと考えます。
強いて言うなら、歴年課税で贈与されたものは相続開始前3年以内のみ相続税の計算上、課税財産に加算されますが、相続時精算課税制度の適用を受けた財産は、年数関係なくすべて相続財産に算入して相続税を計算しますので、ご相談者様が相続時精算課税の選択をしたことにより、相続開始の3年以上前にご相談者へ贈与された財産まで相続税の課税財産に足されてしまうことで、お姉様の相続税の負担が増えてしまうということは考えられます。
なぜそのようなことになるかと申しますと、相続税は、先ず被相続人の課税遺産総額に対する相続税の総額を計算し、その相続税の総額を各相続人が各財産を取得した割合で負担するためです。
松井先生
お世話になります、本当にご丁寧なご回答有難うございます。
現金の財産は、さほど無い事は確認しておりますが、現在居住している土地が一番のネックと考えております。(父、母、小生同居、敷地面積不明、2階~4階はコーポとして貸しており、その一室に姉が結婚して住んでおります。(但し、姉の旦那は、病気で他界しています。))東京都足立区なので、さほどの価額とはならないと考えておりますが、小生のみ当座な対応で、後々姉ともめる事がないか危惧をしております。一般的な贈与申告をした方が得策なのか判断がつかないのです。何度も何度も恐縮です。

揉める可能性があるのでしたら、なるべくお父様からご相談者様とお姉様に対して平等に財産が引き継がれるように配慮する必要があるかと思います。
例えば、ご相談者様もしくはお姉様にお子様がいらっしゃらないのであれば、その土地建物をお姉様と2分の1ずつ共有で相続するのも良いかもしれません。
この場合、お姉様の取得持分については特定居住用宅地等に該当せず、小規模宅地等の特例を使える面積が減ってしまい、相続税の納税負担が重くなってしまうかもしれませんが、やはり1番優先すべきことは相続人間で揉めないようにしておくことだと考えます。
なお、ご相談者様とお姉様双方にお子様がいらっしゃる場合は、今後世代交代していくにつれて、不動産の共有者関係が複雑になってしまうため、兄弟で共有相続することはお勧めはできない方法です。
また、お姉様の遺留分に配慮した上で、お父様に遺言書を作成していただくのも有効かと思います。
遺留分とは一定の割合を相続することを主張できる相続人の権利で、法定相続分の2分の1になります。
例えば、お父様の法定相続人がお母様・ご相談者様・お姉様であれば、お姉様の遺留分は、 法定相続分1/4×1/2=1/8 となります。
仮に、お父様の財産が1億円で、ご相談者にすべて相続する旨の遺言内容であった場合、お姉様は1億円×1/8=1,250万円の遺留分を相続したご相談者様に請求できる権利が発生します。
財産のうち不動産の割合が多く占めている場合、平等に分けることができず、揉めることが多い一つのケースです。
このような場合は、遺言書を作成していただくのが、非常に良い解決策になると考えます。
松井先生
お世話になります、早速のご回答誠に有難うございます。家族内で協議致します。
本当に有難うございました。

お役に立てて何よりです。
また相続についてお困りの事がありましたら、お気軽にご質問ください。
本投稿は、2021年06月06日 17時34分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。