子供名義の通帳(親が貯金)を子供に渡した場合の贈与税の時効について
親が子供の将来のために、子供名義の通帳に貯蓄していったとして、その通帳を子供の成人後に子供に渡したら、贈与になり、額が110万円以上なら贈与税が発生するかと思います。
しかし、子供が贈与税がかかるという知識がなく、申告をしないまま6年が経過したら、贈与税の時効を迎えるのでしょうか?
もし、「この通帳は10年前に親から受け取っていて、贈与税がかかるとは知らなかったので申告できていませんでした。亅と税務署に説明すれば、贈与税はかからないですか。
それとも、子供が通帳をいつ受けとったか(親からお金を貰ったと いつ認識したか)の正確な年月日は証明できないので、贈与税の時効は適用されないのでしょうか?
ご回答いただければと思います。
よろしくお願いいたします。
税理士の回答

贈与されているという認識がなければ、贈与は成立していません。よって、そもそも名義が子供であっても親の財産ということになります。
なお、未成年者の子供への贈与は、親が親権者の立場で贈与契約等するのが一般的です。この場合、贈与契約は成立すると解されます。
贈与は「あげますもらいます」という双方の意思により成立しますが、もしも税務調査があった場合、税務署側としてはお子様がその通帳を所持していることをもって贈与があったとして贈与税を課すことになります。
通帳をお子様が受け取った日が不明であれば、双方で時効の証明ができません。
時効かどうかは、登録印鑑等の変更の有無、通帳口座の最終積立日、(お子様の)引出の有無、お子さまが成人になって何年経過しているかなどから判断していくことになります。
ご回答ありがとうございます。
いつ贈与が成立したかは、総合的に判断されるのですね。
親が子供名義の通帳に貯蓄するのは よくあることだと思いますが、いつ子供に渡した(あげるもらうの意思成立)かは、当人たちのみぞ知るですが、税務署からお尋ねがある割合は少ないのでしょうか?
40代の知人のケースですが、20年前に祖父から600万の貯金(知人=孫名義)をもらい、小額ずつお金を引き出して使っています。贈与税の申告はしていません。
そして今から7年前に祖父は亡くなられています。
知人に税務署からお尋ねが届いたことはないのですが、税務署に発覚しないケースの方が多いのでしょうか?
金額の大小でも変わってきますか。
もしよろしければ教えてください。
よろしくお願いいたします。

そもそも、相続時でないと税務署が補足するのは難しいです。なお、過去の裁判例をみると、相続時において、それが贈与されたものか相続財産なのか、また、贈与されたものであれば時効を迎えているのかで争わています。
なお、親が親権者の立場で贈与していて契約書等を作成していれば、相談者様の心配は一切必要ありません。
平成19年6月26日裁決(名裁(諸)平18第74号)での判断。
「贈与契約は諾成契約であるため、贈与者と受贈者において贈与する意思と受贈する意思の合致が必要となる(民法第549条《贈与》)が、親権者から未成年の子に対して贈与する場合には、利益相反行為に該当しないことから親権者が受諾すれば契約は成立し、未成年の子が贈与の事実を知っていたかどうかにかかわらず、贈与契約は成立すると解される。」
お子様が未成年ではなく成人になってからの預貯金(通帳)一括の贈与とのことですので、お考えのとおり贈与税の対象になります。
一般的には相続などのきっかけがないと税務署から贈与の指摘はないでしょうが、先メールのとおり贈与の時期を総合勘案して判断される可能性はあります。

親権者の立場で未成年の子に贈与し契約書等証拠があれば、その時点で、贈与契約は成立します。贈与契約で成立し、親が親権者の立場で管理していたものを、子供が成年した等の理由で渡しても、その時点では贈与となりません。
ただし、贈与する意思がそもそもはなかった、または、証拠もないということであれば、総合勘案による判断で違う結果になる可能性は確かにあります。
あらかじめ、証拠づくりさえしていれば問題ありません。
本投稿は、2021年06月20日 11時15分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。