親族から管理を頼まれた預金を自分の口座に移してしまったが、戻したい
数年前に祖父から孫息子夫婦へ数百万円の通帳と「老後の金銭管理を任せる 実印」と一筆書いたものを預かりました。
この後、祖父に口頭で確認して、お金を全額、孫息子の口座へ移動させました。
管理を簡単に行いたいと考えたためで、双方に「贈与」の意思はありません。
その後、祖父が体調を崩して入退院を繰り返している過程で、世話をしていた孫嫁が祖父の管理していたお金を預かることになりました。数百万円の預金と、年金が振り込まれる口座複数です。
このときもまた、管理の手間を省きたいと考えて、まとまった金額を孫嫁の口座に移動させました。もちろん祖父には口頭で確認済みで、お互いに贈与の意思はありません。
その後、祖父は認知症になり、買い物から病院や介護施設の手配・契約はすべて孫夫婦(主に動くのは孫嫁)で行なってきました。これは、孫息子の口座に移したお金と年金でまかなっています。
孫嫁の口座のお金はそのまま使わず、2年ほどになります。
ただ、この口座は孫嫁個人のお金の出入りは頻繁にあります。
1・孫嫁の口座のお金が、客観的に「贈与」と見られてしまうようなので、祖父の口座に戻して修正したいですが、祖父には今は管理能力がないため、書面を取り交すことができません。
状況の経緯は、出入金記録とお金の移動が一致していれば大丈夫でしょうか?
また税務署には当時の状況と「贈与の認識はなかった」という説明で問題ないでしょうか?
2・孫息子の口座のお金は、祖父の生活のために定期的に引き出して使っています。こちらはそのままにし、将来的に相続が発生したときに、残ったお金も対象にして分ける予定です。
病院・施設の領収は保管しており、物品の購入も記録してあります(雑貨のレシートはほぼ破棄してしまった)。
祖父の法定相続人は、孫息子とそのきょうだい1人だけです。
きょうだいには、お金の管理状況は報告していませんが、孫息子夫婦が管理していることは承知しています。
この状態で、贈与とみなされないか、また相続のときの考えはこれで良いか、ご教示下さい。
長い文章を読んで下さってありがとうございました。
税理士の回答

贈与とは次のような契約行為をいいます。
「贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。」(民法第549条)
つまり、贈与者の「あげる」という意思表示と、受贈者の「もらう」という受諾の両方が合致して初めて成立するものになります。
ご相談の文面からは、その両方とも存在しておりませんので、贈与とはならないと考えます。
税務署にはその旨を説明すれば宜しいと思います。仮に税務署が贈与税を課税する場合には、上記の「贈与者の意思表示」と「受贈者の受諾」があったことを、税務署が立証しなければなりません。その立証責任は税務署にあります。恐らくそれはできないと思いますので、贈与税の課税処分はできないと思います。
実務的には、資金を預かって管理している以上は今までの入出金の明細と残高が常に明確になっていることが必要になります。
そして、万一、お祖父様にご相続が発生した場合には、お祖父様の財産として認識し、相続税の計算を行って頂ければ宜しいと考えます。
以上、ご参考になれば幸いです。
ありがとうございます。安心しました。
さっそく、お金を祖父の口座へ移動させようと思います。
このお金の移動は、税務署に申し出る必要はないと考えてよろしいでしょうか?
また、複数の口座から出したものですが、祖父の口座1つにまとめて戻してもよいものでしょうか?

ご連絡ありがとうございます。
お金の移動については税務署に報告する必要はありません。
お祖父様の口座一つにまとめての返金で大丈夫です。
宜しくお願いします。
服部先生
二回も丁寧に、かつ迅速に回答を下さってありがとうございました。
税務に無知なため、贈与税が発生するのかとうろたえておりましたが、きちんと根拠や対処法を提示しつつ、「問題ない」と言っていただけたので、非常に安心できました。
さっそく、お金を戻す手続きを行います。入出金の管理も今まで以上にきちんと行いたいと思います。
このたびは本当に感謝しております。
本投稿は、2017年09月06日 00時20分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。