親と同居のための新築戸建。名義をどうするか(生前贈与か相続)
ご相談させていただきます。
親(母のみ。父は他界)と同居するため、新築を建てることとなりました。土地は親名義のもの(評価額は約300万)を使用し、上物の建築価格は2600万程になる予定。居住者は母(65歳程)、妹(33歳)、私(36歳/長男)の3人となります。
これを前提として、以下の3パターンでどれが最も税金を抑えられるでしょうか?
① 上物の名義を妹にする。
「住宅取得等資金贈与の非課税の特例」を適用し、1500万程を母から生前贈与。残りは妹が住宅ローン(10年)を組み、住宅ローン控除を受ける。土地は、母の他界後「小規模宅地等の特例」を使って相続。また、ローン返済中は年110万の範囲内で母からの資金援助有。
② 上物の名義を母にする。
全額をキャッシュで支払い、母の他界後に「小規模宅地等の特例」を使って土地も上物も妹が相続。
③ 上物の名義を母にする。
2000万をキャッシュで支払い、残りを母と妹の親子ローン(5年ほど)で支払う。母の他界後に「小規模宅地等の特例」を使って土地も上物も妹が相続。
もちろん、母が何歳まで生きるかなどで変わってくるかとは思いますが、目安だけでもご教授いただければ幸いです。
細かなことで恐縮ですが、何卒 よろしくお願いいたします。
税理士の回答
購入費用の負担割合と名義(持ち分)は同じでないと贈与税の問題が出ます。
①②はよいとして、③の妹様のローン負担はお母様への贈与とみなされます。
また、①の110万円以内暦年贈与額はお母様の相続開始3年以内については相続財産に加算しなければなりません。
以上の前提で、おっしゃるとおり、お母様の将来の相続開始時期にもよりますし、相続財産額にもよります。
相続税分野に強い税理士は、例えば平均余命を基にシミュレーションする業務(有料)を行っておりますのでお勧めです。

① 建築予定の住宅が「省エネ等住宅」であれば1500万円の贈与が非課税になりますが、そうでない「一般住宅」の場合には贈与税の非課税枠は1000万円になるため500万円が贈与税の課税対象になるので注意が必要です。詳細は下記サイトをご参照ください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4508.htm
② お母さまが全額キャッシュで支払ってもその後の生活費等に余裕があるのであれば、選択としては宜しいと思います。相続税の節税効果も期待できると思われます。
③ 上記②を前提にお母さまにキャッシュがある場合には、あえてローンを利用して金利負担を負うことはないと思われます。
ご質問の中にはありませんでしたが、①の「住宅取得等資金の贈与の非課税特例」を非課税枠まで活用し、それ以外の金額についてはお母さまがキャッシュで支払われという方法はいかがでしょうか。この場合にはそれぞれの出資額の割合に応じた共有名義として登記することになりますが、贈与税の問題は発生せず、相当の相続税の節税効果が期待できると考えます。
中田先生
迅速なご回答ありがとうございます。
③の場合は妹から母への贈与税が発生すること、見落としておりました。ご指摘ありがとうございます。
追加の質問で恐縮ですが、「①の110万以内暦年贈与額は母の相続開始3年以内については相続財産に加算する」とありますが、これは具体的な状況としてはどのようなものでしょうか?
ローンの支払いが終わり、しばらく経った時期に母が他界したとして、3年分の330万円を相続財産に加えることになるということでしょうか。
理解が追い付かず、申し訳ありません..。
服部先生
迅速なご回答ありがとうございます。
ご提案いただきました、妹と母の共有名義とするやり方はなるほどと思いました。
相談する前の考えとしては、全額キャッシュ支払いは可能であるものの、やはり少しでもまとまったお金は残しておきたいことと、すまい給付金の申請面でローンを組んだ方が楽であることなどから、①が良いのではと思っておりました。
省エネ等住宅の申請も視野に入れておりましたので1500万の贈与としておりましたが、その証明をとるために追加費用が13万ほど必要なことが分かり、迷っていたところでもありました。
先生のご提案のように共有名義とし、かつローンも借りたいとなりますと、以下のような形が良いでしょうか。
・ 非課税枠での贈与1000万(省エネ等住宅は非適用)、600万を妹が10年ローン、1000万を母が自己資金として出す。1600万分の名義を妹、1000万分の名義を母に。
これですと、まとまった金額を確保しつつ、住宅ローン減税のメリットも受けられ、将来的な相続税対策にもなるのではと思った次第ですが如何でしょうか?
また、単独名義と共有名義、登記の際にどれほどの費用差が出ますでしょうか?
細かくなってしまい恐縮ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
お母様がもしもの相続時からさかのぼって3年以内に贈与を受けた贈与額は、贈与税が課税されなくても(年110万円以内でも)、相続税の課税対象財産になります。(亡くなった日からさかのぼって3年以内に贈与がなければ加算されません。)
国税庁HPを参考にしてください。
https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/4161.htm

ご連絡ありがとうございます。
お考えの「非課税枠で1000万円贈与、600万円を妹さんがローン控除可能な方法でローンを利用、1000万円をお母様がキャッシュで支払い、所有権を出資割合に応じて共有名義で登記」という方法で問題ないと考えます。
また、単独名義と共有名義で登記費用に差が生じることはないと思われます。
ご参考になれば幸いです。
中田先生
ご回答ありがとうございます。よく分かりました。
服部先生
ご回答ありがとうございます。それでは、このやり方で進めようと思います。
ベストアンサーは別方法をご提案いただいた服部先生につけさせていただきましたが、お二人にご回答いただき大変助かりました。改めてお礼申し上げます。
服部先生
度々の質問申し訳ありません。
家屋を上記の通り共有名義とした場合でも、相続時に母1000万分と母名義の土地に対して「小規模宅地等の特例」を適用できる、という認識で間違いないでしょうか?(もちろん、母と妹が同居を継続しているという前提で)

ご連絡ありがとうございます。
ご質問の土地がお母様にとって居住用の土地であり、その土地を同居親族である妹さんが相続で取得して、相続税の申告期限まで所有し続け居住の用に供していれば、ご質問の土地について小規模宅地の減額特例は適用できると考えます。
服部先生
ありがとうございます。安心しました。度々の質問失礼しました。
本投稿は、2020年04月24日 18時34分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。