株価算定の方法
令和元年7月決算期で税理士さんに令和元年11月に株価算定をしてもらいました。
そろそろ、自社株を贈与しようかと考えているのですが、現在、日経平均株価が下がっているので、自社株の評価も下がるのではないかと考えています。
今後、上記の令和元年11月に株価算定をしてもらったものについて、国税庁のホームページに掲載される類似業種の株価などで、修正しても良いものでしょうか。
税理士さんは、修正はできず令和2年7月決算まで待つしかないと言いますが、理由はわかりません。
株価は下がる時、上がる時があるので、その時点で修正するものだと思うのですが、いかがでしょうか。
税理士の回答
自社株式の評価方法として、
①純資産価額方式
②類似業種比準方式
③配当還元方式
の3つの方法がありますが、オーナー株主の場合、ほとんどが①純資産価額方式を適用することとなり、②類似業種比準方式や③配当還元方式を適用できるケースはまずありません。
「純資産価額方式」とは、平たく言えば、今、会社を解散・整理した場合に株主がいくら分配金を受け取ることができるかを計算する方法であり、現在の評価をしたいのであれば、今、仮決算を組んでその財産状態を基に計算することになります。
そういう作業が大変なので、顧問の税理士さんの言う通り、次の決算を待つしかないという説明になろうかと思います。
会社の保有している資産のうち上場株式等の占める割合が高ければ、現在の株価の影響を受けることがあるかもしれませんが、会社の業績が大きく変動しない以上、自社株の評価額はそんなに変わらないのではないでしょうか。
土師先生
早速にありがとうございます。
説明が不足していて申し訳ありません。弊社は、中会社の中ですので、類似業種比準価額は
一部選択しております。
そのケースで考えると、自社株を渡す時点の類似業種株価に修正してよろしいのでしょうか
仮決算は必要でしょうか?
中会社であるので、類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式を適用されるということだろうと思いますが、
類似業種比準方式で計算する場合の評価会社の要素である「配当金額」「年利益金額」「純資産価額」はいすれも「課税時期の直前に終了した事業年度の末日における」金額となっており、令和元年7月決算の数値で計算することになります。(仮決算の数値では計算できません)
このため、評価会社の要素の金額は、今年の7月まで変わらないということになります。
なお、現在のところ、類似業種の「配当金額」「年利益金額」「純資産価額」の3要素は令和元年分が、「類似業種の株価」は令和元年12月分が公表されているので、令和元年12月時点での評価は可能だと思われます。
中会社の場合、条件によっては純資産価額方式を採用できる場合もあるのですが、併用方式しか使えない場合には、このような結論になるのかと思います。
土師先生
大変よくわかりました。ありがとうございます。
最後に1点だけ教えていただけないでしょうか。
税理士さんからいただいた株価算定書の類似業種比準価額の明細書にある、「類似業種の株価」というところに、課税時期の属する月という記載があります。
7月決算なので、5月6月7月の数値を使うのかと思うのですが、税理士さんは、6月7月8月の数値を使用しています。
これで、正しいのでしょうか?課税時期の属する月とは、どういう意味なのでしょうか。
すみませんが、よろしくお願いいたします。
「課税時期の属する月」とは、評価をしたい日の属する月のことです。
類似業種比準方式は、相続税・贈与税のための評価方法なので、相続の開始された日とか贈与のあった日、どうしても数か月以上前の時点で評価することになります。
もし、譲渡価額の評価に使用したいのであれば、今の時点での数値が必要となるのですが、先日説明しましたように、現時点では令和元年12月分までの「類似業種の株価」しか公表されておりません。
したがって、公表されている一番新しい数値でもって計算するしかないということです。
ありがとうございます。
そうしますと、今月譲渡しようとしたら、既に公表されている令和元年10月11月12月の数値は使えるということでよろしいでしょうか。
度々申し訳ございません。
令和2年1月~4月分は、例年ですと7月ごろに公表されるため、今評価するのであれば、令和元年12月以前の数値で計算した価額を参考にすればいいと思います。
土師先生
色々と細かいところまで教えていただきありがとうございました。
大変勉強になりました。
本投稿は、2020年03月23日 12時53分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。