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他人の相続税を負担するはめに?!「相続税の連帯納付義務」とは

相続税は、法律で決められた取り分(法定相続分)や遺言によって相続した財産に応じて、相続した人(相続人)がそれぞれ納めます。

しかし、相続税を納めない相続人がいると、相続税の連帯責任(連帯納付義務)により、その人の相続税をほかの相続人が負担しなくてはなりません。連帯納付義務による相続税の納付を拒否すると、財産を差し押さえられる可能性もあります。

この記事では、連帯納付義務はどのようなときに生じ、誰が負担することになるのかを解説します。

目次

相続税の連帯納付義務とは

当然ですが、相続税は相続した財産の金額内に収まる金額となるため「相続税を納付できない」ということは考えにくいです。それでも何らかの事情があって、相続税の納付を怠ってしまう方もいます。国税庁が公表している調査結果によると、その件数は毎年16000件前後も発生しているといいます。

しかし、いずれにせよ税務署が滞納行為を許すはずがなく、別の方法で納税額を徴収しようとします。その方法が「連帯納付義務」という、ほかの相続人に納付を請求する制度です。

連帯納付義務の目的

なぜ連帯納付義務が設けられているのかというと、それは国税庁や国税局、税務署などの税務当局が「滞納された相続税を円滑に徴収する」ため です。

そもそも相続税は相続財産全体に税率を課して、それを相続分に応じて各相続人が負担する仕組みになっています。そのため、仮に相続人の中にお金のない人がいると、税金を徴収できない恐れもでてきます。このままでは税金の公平性を保つことができません。

そこで本来の納税義務者以外に連帯納付義務を負わせる制度を設けて、相続税の徴収漏れが起こらないように対策を講じています。つまり、きちんと納税している国民が不利にならないようにするために、相続人全員で相続税を負担するように仕組みを作ったのです。

連帯納付義務の対象者 

連帯納付義務はすべての相続人が相互に義務を負う決まりになっています。しかも、これは相続した時点で自動的に義務が発生するものであり、原則として解除することはできません。この義務を解除するためには完納するか、解除要件を満たすかのいずれかが必要です。

一方で、相続放棄の手続きをしている場合、この連帯納付義務の対象者ではなくなります 。しかし、死亡保険金については相続放棄しても受け取ることができ、かつ課税対象となるため、連帯納付義務が発生する点は注意しておきましょう。

連帯納付義務の負担金額

もし連帯納付義務を負うことになったら、未納分の相続税額に加えて「利子税」も負担する必要があります。

利子税とは、納付期限が過ぎた場合に課されるペナルティの一種で、相続した財産のうち不動産の割合によって決められる特例適用後の「年0.7%~4.3%(通常1.2%~7.3%)」の税率が課されます。かつては延滞税という「最高年14.6%」とかなり重たいペナルティでしたが、平成23年度改正で見直されました。

ただし、相続税額の負担金額は「相続によって得た利益を限度とする」とも決められているので、相続した財産以上の相続税を徴収されることはありません。

連帯納付義務の通知

万が一、本来の納税義務者が延滞してしまったら、まずは税務署から連帯納付義務者に対して「滞納が発生した旨」が通知されます。通知には相続税が完納していないこと、連帯納付義務が適用されること、その相続税に関係する相続人の名前などが記されています。

そして、実際に連帯納付義務者から相続税などを徴収することになれば、税務署から納付通知書が送付されます。もし納付通知書を受け取った場合には、すぐに内容を確認して、期限までに間に合うように納付してください。

納付後の対応

もし本来の納税者に代わって相続税を納付したら、本来の納税義務者に対して「求償権」を持つことになります。この求償権とは納付を肩代わりした人が、納税者に対して「納付金を返還するよう」に請求できる権利のことを言います。つまり、本来の納税者からしてみれば、支払先が「税務署から肩代わりしてくれた人に変わった」だけなのです。

この求償権を行使するかどうかは、肩代わりした人次第となっています。 そのため、場合によっては求償権を放棄するという手段をとることも可能ですが、求償権を放棄すると、納付金を肩代わりした行為が滞納者への贈与として捉えられることもあります。しかし、滞納者が相続税を納付できない理由が「資金不足」であれば、このような場合でも贈与税は課されません。

連帯納付義務が発生するケース

では、連帯納付義務が起こり得そうな参考事例をふたつ紹介します。

ケース1)ほかの相続人に借金があった

4年前に父親が亡くなったAさんは、すでに母親も亡くなっていたため、兄とふたりで相続財産を分割しました。

相続した遺産は兄が現金、Aさんが実家と土地でしたが、Aさんは相続税を現金で一括に支払うことが難しかったため「延納」の手続きをし、土地の売買をすることでやっと相続税の支払いを終えたところです。 ところがある日、税務署から「相続税の連帯納付義務のお知らせ」が届きました。

実は兄には借金があり、相続した現金をすべてその返済に使ってしまっていたため、相続税を支払っていなかったのです。

結局Aさんは大切にしていた実家を売却し、兄に代わって相続税を納付することになりました。

ケース2)生前贈与を受けていたのに

Bさんには弟がひとりいますが、起業のために生前の父親から多額の援助(贈与)を受けていました。

本来であればその時点で贈与税が発生しますが、弟は事業が波に乗ってから納税しようと思い、相続発生時に相続税として課税する「相続時精算課税制度」を利用していました。

この度父親が亡くなったため、弟には生前贈与を受けていた分の納税義務が生じます。しかし弟の事業は上手くいかず、破産寸前だったのです。

結局弟は相続税を納付することができず、代わりにBさんが弟の分も相続税を納付することになりました。

連帯納付を拒否した場合

さて、紹介した事例のように思わぬ形で連帯納付義務を負うことになった場合でも、通知書どおりに納付できればそれで完了です。

しかし、たとえ法律で連帯納付義務があると分かっていても、本来負担する必要がない税金であるので、進んで納めたい人はいないでしょう。だからといって、連帯納付義務を拒否するわけにもいきません。なぜなら、連帯納付義務を拒否すると、財産の差し押さえが行われてしまうからです。

この差し押さえにおいては、順番は明確に決められていません。つまり、納税義務を怠った相続人よりも先に、連帯納付義務を拒否したほかの相続人に対して差し押えが行われることもあります。その上、催告の抗弁権のような「本来の納税者から差し押さえてほしい」と申し立てできる権利もないため、財産の差押えからは逃れられません。

「延納」は認められない

本来、相続税などの国税に関しては納税に猶予を設ける「延納制度」が認められています。しかし、連帯納付義務に限ってはこの制度が適用できません。そのため、もし税務署から納付通知書が届いたら、やはりそのとおりに連帯納付を行うしかないのです。

連帯納付義務が免除される条件

ただし、連帯納付義務には解除要件が設けられています。これは平成24年度の税制改正によって決まったことで、下記のいずれかを満たせば連帯納付をしないで済みます。

申告期限等から5年を経過した場合

納税義務者が延納または納税猶予の適用を受けた場合

なお、申告期限等(期限後申告や修正申告などがあった日も含みます)から5年以内に連帯納付の督促を受けている場合には、その後も連帯納付義務を負う必要があります。そのため、もし解除要件を満たせない場合は、完納するまで督促を受けることになります。

ほかの相続人が滞納しそうなときは

相続が発生した時点でほかの相続人が滞納する可能性があると分かっているのなら、「その方に相続させなければよい」と考えることもできるでしょう。しかし、相続権がある以上、ほかの相続人に相続させないような対策をとることは難しいです。

そこで連帯納付義務による肩代わりを防ぐためには、あらかじめ他の相続人に「納付しやすい財産を与えておく」という方法などが考えられます。

たとえば、不動産を相続したのはいいけれど、手元に現金がなくて納付が間に合わないことがあります。このことが事前に分かっているのであれば、相続人同士で話し合いをして「現金を相続してもらう」などの対策を取ることもできます。

おわりに

一生のうちに相続を経験することは多くないため、「連帯納付制度」という言葉はあまり耳にしないでしょう。また、相続人が期限どおりに納付していれば縁のない制度です。しかしこの制度がある以上、相続税の納付には連帯義務があることを覚えておきましょう。

なお、この連帯納付義務は相続税だけでなく、贈与税にも設けられている制度です。贈与税の場合は贈与者(贈与した人)が連帯納付義務を負うことになります。しかも、相続税とは異なり、税率の高い延滞税が課されたり、通知なしに納付を求められたりします。

もちろん受贈者(贈与された人)がきちんと納付していれば問題はありませんが、贈与する際にも注意しましょう。

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