特別受益の手続き上の扱いについて
複数の法定相続人がいます。私は特別受益の持ち戻しを反映した遺産分割を考えています。
1. この場合、特別受益の手続き上の扱いは、あくまで相続人各位の相続額を決める為に計算上使用する数字に過ぎず、関連する財産目録や遺産分割協議書といった書類、或いは何か別の書類に、その受益者や金額など具体的な情報について記載し、総額を決めた証拠として残す必要はないのでしょうか?
2. 相続税の申告では、特別受益の手続き上の取り扱いはどうなるのでしょうか? 当該の受益者や金額など具体的な情報について記載し、総額を決めた証拠として提出する必要はないのでしょうか?
税理士の回答

1. この場合、特別受益の手続き上の扱いは、あくまで相続人各位の相続額を決める為に計算上使用する数字に過ぎず、関連する財産目録や遺産分割協議書といった書類、或いは何か別の書類に、その受益者や金額など具体的な情報について記載し、総額を決めた証拠として残す必要はないのでしょうか?
→弁護士にご相談くださいますようお願いします。
2. 相続税の申告では、特別受益の手続き上の取り扱いはどうなるのでしょうか? 当該の受益者や金額など具体的な情報について記載し、総額を決めた証拠として提出する必要はないのでしょうか?
→申告期限までに遺産分割できずに行ういわゆる未分割申告の場合は、計算の過程で具体的相続分を算出する場合がありますが、そうでなければ「特別受益」については考慮しません。
相続または遺贈により財産を取得した人が、相続開始前3年以内に受けた贈与は、相続財産に加算して相続税課税されます。特別受益とは概念が違います。
松井先生、早速ご回答いただきありがとうございました!
念のため確認させてください。
1については、特別受益は相続人各位の相続額を決める為に必要な場合は税理士が計算上使用するだけであり、その根拠や証拠の取り扱いについては弁護士に相談するという理解で合っているでしょうか?
2については、申告時、特別受益については、通常事前に反映された結果に基づいて分割された取得財産とその相続税を支払う(未分割申告でない場合)為、考慮することはないという理解で合ってるでしょうか?

1については、特別受益は相続人各位の相続額を決める為に必要な場合は税理士が計算上使用するだけであり、その根拠や証拠の取り扱いについては弁護士に相談するという理解で合っているでしょうか?
→はい。特別受益を何円とするかは民事上の問題となりますから、弁護士の先生に委ねます。
2については、申告時、特別受益については、通常事前に反映された結果に基づいて分割された取得財産とその相続税を支払う(未分割申告でない場合)為、考慮することはないという理解で合ってるでしょうか?
→相続税は相続開始日における被相続人の遺産総額(みなし相続財産を含む)に対する「相続税の総額」を先ず計算します。
その次に「相続税の総額」を各相続人等の課税価格の割合に応じて負担します。
特別受益に対して課税するというものではありません。
特別受益の規定は民法にありますね。対して、相続税の課税については相続税法に規定されています。課税は納税者の担税力に着目してされるものですから、計算根拠や制度趣旨が、民法で規定されている特別受益とは異なります。相続開始前3年以内の贈与について相続税を課税するのは、死期を悟って多額の贈与を行うなどで、他の納税者と比較して納税負担が著しく減少させる行為を抑制するといった目的があります。根本的に特別受益とは制度趣旨が違いますので、そちらは切り分けてお考えいただくのがよろしいかと存じます。
先生、ご説明どうもありがとうございます!
特別受益はそもそも課税対象ではなく、相続税の課税とは別々に考えるべきということ理解したつもりです。
2についてはうまくお伝え出来てなかったかもしれません?
通常特別受益があるケースでは、遺産総額(みなし相続財産含む)の計算の段階で、その受益について税理士は計算し総額に反映してるので、その後の処理や相続税の申告時は、特別受益について再度考慮する必要はない という意味でお伝えしたかったのですが合っておりますか?

その受益について税理士は計算し総額に反映してるので、その後の処理や相続税の申告時は、特別受益について再度考慮する必要はない という意味でお伝えしたかったのですが合っておりますか?
→その受益を税理士側では計算しません。民事上の問題ですから弁護士にお願いします。
ご回答ありがとうございます。
確認させてください。
それは争っている場合はということですか。それとも相続人間で合意が出来る場合も常に特別受益の計算は、弁護士を通す必要があるということなりますか?

それは争っている場合はということですか。それとも相続人間で合意が出来る場合も常に特別受益の計算は、弁護士を通す必要があるということなりますか?
→一般的に税理士・司法書士では計算するのは難しいので、専門家の弁護士へのご相談をお勧め致しました。
必ず弁護士へ依頼しなければならないわけではありません。
所得税の申告はご自身でされる方が増えましたが、複雑な税務申告等は税理士に依頼するのが通常かと思います。そちらと同じようなものと捉えていただければ幸いです。
本投稿は、2023年05月03日 16時09分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。