遺言書の範囲での遺産分割協議
私たちは3人兄弟で、私は三男にあたります。
先日父が亡くなり(既に母は以前なくなっております)、父の遺産であるA銀行口座とB銀行口座を3人で相続することになります。
遺言書があり、A銀行口座は長男に全部、B銀行口座は次男と三男の私で1/2ずつ相続するようにと記載されています。
私が生前の父の面倒をみていたため、次男の兄から、三男の私がB銀行口座の2/3、次男の兄がB銀行口座の1/3の相続でよいとの話がありました。この内容は遺言書の内容(1/2ずつ)ことなるのですが、私と次男の兄で遺産分割協議書を作成すれば、遺言書とは異なりますが、私がB銀行口座2/3、次男の兄がB銀行口座の1/3の相続にすることは可能でしょうか?
税理士の回答

ご質問のケース、とても大事なポイントですので整理してご説明します。
1. 遺言書がある場合の原則
・有効な遺言があれば、原則として遺言内容に従って相続手続きを進めます。
・今回は「A銀行口座=長男」「B銀行口座=次男と三男で1/2ずつ」と指定があるため、本来はその内容どおりに相続手続きをするのが原則です。
2. 遺産分割協議と遺言の関係
・ただし、相続人全員の合意があれば、遺言内容と異なる分け方をすることも可能とされています。
・これは「遺言書に固執するのではなく、相続人全員の合意に基づいて、現実の状況に即したより良い遺産分割を行うことができる」という実務運用に基づきます。
・重要なのは「相続人全員=3人兄弟全員の合意」が必要であること。
・今回、B銀行口座の分け方を変えるには「次男と三男の合意」だけでなく、「長男も含めた相続人全員の同意」が求められます。
3. 実務上の手続き
・銀行での相続手続きでは、遺言書がある場合でも「遺産分割協議書」を併せて提出すれば、遺言と異なる分け方での払戻しに応じてもらえます。
・この場合、遺産分割協議書には全相続人(長男・次男・三男)の署名押印が必要です。
4. 注意点
・全員合意が前提なので、長男が「遺言通りに」と主張すれば、B銀行口座の分割は遺言通り(1/2ずつ)になります。
・「次男と三男だけで協議書を作ればよい」というのは誤りで、長男を含めた協議書でなければ法的効力がありません。
5. 結論
・遺言書の内容と異なる分割は可能だが、相続人全員の合意が必要です。
・ご質問の「次男と三男だけで協議書を作成」では効力がなく、長男も署名押印した遺産分割協議書が必要となります。
猿渡哲 先生
丁寧な回答いただき深謝申し上げます。
その遺言の内容(今回のB銀行口座に関する内容)に関係しない長男も入れて、協議書を作る必要があるのですね。承知したしました。
ありがとうございました。

こちらこそご丁寧にありがとうございます。
はい、そのとおりでございます。
遺産分割協議書は「相続人全員」で作成することが法的要件ですので、遺言の対象に直接関係していない部分であっても、全員が署名押印しておく必要があります。これによって後日の争いを避けられ、銀行などの手続きもスムーズに進みます。
ご理解が整理できたようで安心しました。
本投稿は、2025年08月26日 18時58分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。