借地権が発生している土地は物納できないか?
父は高いエリアに大きな土地があり、敷地内で駐車場をしています。そこから月に100万円位の収入があり、この土地の固定資産税は年に350万円位だそうです。その他、この敷地内に5軒の家があり、土地は父の名義、建物は借地人の方のものです。つまり借地権が発生しています。
この土地は、祖父の代からのものであり、父の代になってから(40年以上前です)地代を一度も上げたことがなく、契約書もないそうです。地代の支払いも父が気が向いたときに集金しに行き、最近は面倒で何か月もいただいていない状態です。
相続が発生すると、億単位の相続税になりそうなので、現金一括は無理ですし、この敷地内の一部を物納したいと思っているわけです。
駐車場部分は、残された家族のために必要ですし、頭の痛い借地権部分を納めたいと思うのですが、いろいろ調べたところ、物納条件をクリアできるものがありません。でもこれからでも、時間はかかるでしょうが契約書を作成する、地代を値上げする、境界線をはっきりさせるなどを行っていけば、物納は可能になるでしょうか?
売却ももちろん考えていますが、オプションとして物納もできるかどうかを知りたいのです。ご回答お願いします。
税理士の回答

ご質問ですが、まず前提として、相続税の納付方法は金銭一括納付が原則であり、特例として延納による金銭納付が認められており、延納によっても金銭で納付することが困難な場合はその困難な金額を限度として一定の要件の下で物納という例外手段があります。
そして物納に充てようとする財産を選択する場合には、相続税法第41条各項の規定による要件に該当していることが必要であり、特に管理処分不適格財産(相令18、相規21)、物納劣後財産(相令19)に該当していないことを確認する必要があります。
不動産一般については担保権が設定されている不動産、権利の帰属に争いがある不動産、境界が明らかでない土地などが管理処分不適格財産になり、底地(借地権の目的となっている土地)については、借地権者不明その他これに類する事情がある場合に管理処分不適格財産になります。
底地については、少なくとも借地人を特定し、地代、借地権の範囲その他の契約条件を確定することが物納上必要であるでしょう。特に地代等は借地権価格、底地価格に影響を与えますので重要です。地代の支払条件の外、支払状況(滞納がないかどうか)等も重要になります。まずは正式な借地権設定契約の締結が必要となるものと思われます(これは物納以外にも相続時に底地の評価が必要になりますので、いずれにせよ行うべきものと思料します。)。
契約書の内容及び作成方法については、弁護士にご相談されることをお勧めします。
なお場合によっては物納以前に、延納要件がクリアできないケースもありますので、その点もご留意ください。
ご回答ありがとうございました。
詳しく説明していただき、大変参考になりました。
不動産のことにお詳しいので、ぜひまたいくつか質問させていただきたいのですが、
1.売却時にも、教えていただいた借地権設定契約の締結は、必要ですか?
2.父の土地は、路線価図を見ると借地権割合が50%となっています。つまり評価額は、更地価額の50%で評価されると考えてよろしいですか?
3.父の持っている駐車場は、舗装もせずフェンスもありません。この場合、100%自用地として評価されてしまうと思いますが、小規模宅地の特例を適用するために、アスファルトの舗装やフェンス、車止めの設置を行えば、問題なく適用されるでしょうか?
ご教授お願い致します。
本投稿は、2018年10月05日 22時32分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。