「マンション相続にともなう税金について質問です。」
被相続人から不動産(マンション)が相続されます。
法定相続人は2名です。
ある知人から、「譲渡所得税がかなり課税される」と聞きましたが、計算方法が複雑なのでプロの方に教えていただきたいと思い、質問させていただきます。
詳細は、以下です。
マンション販売価格(不動産会社の査定金額) 1,600万円
マンションの構造 鉄筋コンクリート(7階建ての3階部分、専有面積35.29㎡)/居住用
マンションの購入価格(売買契約書による) 1,650万円
マンション新築年 昭和45年
マンション購入年 昭和56年
〇被相続人は女性であり、当時はマンションの購入がしづらい時代であったため、被相続人の実弟がいったん購入し、被相続人が買い取りました。(登記移転はされており、昭和56年に贈与となっています)
〇被相続人は1,470万円の住宅ローンを組んでいました。(昭和61年申込にて、ローン申込み書あります。)
〇購入時の印紙代や仲介手数料などの書類は見当たりません。
以上の条件で、相続税、贈与税、譲渡所得税などの課税分を教えていただけますと幸いです。
なお、譲渡所得税の控除(3,000万円まで)につきまして、売却までの間に居住者がいた場合、控除の対象となると聞いております。
売却までの間に法定相続人のうち一人が居住する可能性もありますので、こちらも伺えればと思います。
何卒よろしくお願いいたします。
税理士の回答
1.相続税については、基礎控除が3000万円と法定相続人一人につき、600万円の控除がありますので、基礎控除は4200万円となり、相続財産がこれ以下であれば申告義務はありません。なお、マンションの評価については土地部分は路線価もしくは倍率で評価し、建物部分は固定資産税評価額となります。贈与税について、この場合法定相続人が一人で相続したとしても贈与税はかかりません。譲渡所得についてですが、ご質問の場合このマンションは昭和45年に建築(1650万円で兄が取得)、昭和56年に被相続人が贈与で取得し被相続人は61年に1470万円のロ-ンを設定し返済していたということとなりますね。56年贈与で取得とありますが、申告書等は残っていますか。これらのことから、2つの場合が想定されます。1.実際に贈与を受けている場合取得時期・取得価格は引き継がれるが、負担付贈与(ローンの残額で取得する場合)は負担額で取得したこととなり、そこから減価償却費と譲渡費用等を控除して譲渡所得を算出します。2.この経緯から当初から被相続人が実質取得し当初は弟の名義を借りていただけで実質56年の贈与についても、真正な名義にしただけとも推定できます。この場合は原則1650万円から減価償却費1650万円×0.9×0.015×経過年数(49年)と譲渡費用を控除して税金を算出します。2人が1/2ずつ取得するのであれば所得は1/2となります。目安として税金は所得税が15%・復興特別所得税が所得税の2.1%・住民税が5%となります。また、自営業者の方サラリ-マン以外の年金生活などの方は他に国民健康保険税等がかかります。また、被相続人が居住していた家屋の譲渡の3000万円控除については区分所有登記されている建物(マンション等)は除かれます。また、相続人が売却までの期間居住した場合とのことですが、売却が決まっていてその期間だけの一時的な入居であれば居住用特別控除の3000万円は適用できないと思われます。ただ、状況が複雑なので申告に当たっては関係書類を基に税理士等に相談することも必要かもしれません。
補足させていただきます。譲渡所得は譲渡価格1600万円から取得費(取得価格から減価償却を控除した金額)と譲渡費用を控除して算出します。ケース2の場合1600万円-(1650万円×0.9×0.015(被相続人の居住用の場合)×経過年数(49年)10,914,750円)-譲渡費用となります。
重ねて失礼します。回答の計算ではマンションの価格をすべて減価償却していますが建物部分だけ減価償却することとなります。一つの計算例として45年取得ということですが、1平米42,900円がこの年の「建物の平均建築価格」なので建物の面積となる35.29×42,900=1,513,941円が建物価格となります。(鉄筋コンクリ-トの場合)1600万円-(1650万円-(1,513,941円×0.9×0.015×49=1,001,471))-譲渡費用=譲渡所得となります。取得価格をすべて償却していました申し訳ありません。契約書に建物と土地の按分がなかった場合の計算例です。これは専有部分を建物の専有部分として計算しています。所得がかなり減額となりますね失礼しました。これは、被相続人の方が自宅として利用していた場合の計算です。なお、これはあくまで契約書に土地と建物の価格の表示がない場合の計算です。
大変ご丁寧に教えていただき、ありがとうございます。
建物の売買契約書には次のように記載があります。
「土地」宅地587.83㎡のうち移転する持分51分の1
「建物」鉄筋コンクリート造陸屋根7階建て共同住宅、3階部分 専有面積35.29㎡
これでまた計算方法が異なってきますでしょうか?
また、ひとつ質問なのですが、「譲渡費用」というのは具体的には何を指すのでしょうか?
度々お手数をおかけしますが、ご返答をいただけますと幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
ご苦労様です。ついうっかりして、マンションの土地・建物の取得価格の按分を失念しました。契約書では土地の持ち分11.52㎡、建物が35.29㎡なので、昭和45年の建物の平均価格(鉄筋コンクリ-トで1㎡42900円となっている)で計算しました。土地と建物の価格が分かれていない場合はこの金額で差支えないと思います。譲渡費用としては、マンションの場合は仲介手数料、印紙代、登記費用などがありますが、取得費としてマンションの取得原価の他に相続の時に支払った登記費用や不動産取得税も入ります。所得の考え方として1650万円で買ったもを1600万円で売却した(ただ1650万円から減価償却費49年分を差し引いた金額がマンションの取得原価となりますが建物の当時の価格が低いから減価償却しても利益はあまり出て来ません)。ただ、過去のいきさつがはっきりしないので正確な回答はできませんが、どちらにしろ大きくはかわらないと思います。宜しくお願いします。
この度はご丁寧な対応をいただきまして、誠にありがとうございました。
これを参考にさせていただきます。
感謝いたします。
本投稿は、2018年11月10日 14時51分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。