ある会社の無報酬取締役とその会社からの業務委託契約による報酬は可能か?
いま個人事業主として活動しているものです。あたらしく作る会社の取締役(社長ではない)に就任する予定があります。一方で、65歳はこえており、一度厚生年金は抜けており、年金受給を計画しています。取締役としての役員報酬をうけると厚生年金にはいることになり、支給停止調整額(月51万円)を超えた分の1/2の支給停止となるので、それをさけるために、無報酬役員となり、厚生年金にはいらずに役員としての業務をし、その会社から個人事業主として契約して契約内容の具体的な業務をおこなう、ということは、税法上問題は生じないのでしょうか?
税理士の回答
三嶋政美
形式だけ整えた場合は、税務・社会保険の双方で否認リスクがあります。
無報酬取締役とし、厚生年金に加入せず、別途「個人事業主として業務委託契約を結ぶ」こと自体は、制度上ただちに違法ではありません。ただし重要なのは実態です。
取締役としての職務(経営判断・指揮命令・対外的責任)と、業務委託の内容が重なっている場合、その報酬は「実質的には役員報酬」と判断される可能性があります。この場合、税務上は損金否認、社会保険上は資格取得の遡及指摘を受けかねません。
回避の鍵は、
① 取締役としての職務を明確に限定すること
② 業務委託契約の内容・成果物・報酬算定を具体化すること
③ 指揮命令関係がない独立性を担保すること
です。
年金調整を意識した設計は合理的ですが、線引きを誤ると「節税」ではなく「否認」になります。設計段階での慎重な整理が不可欠です。
早々のお答えありがとうございます。アドバイスにしたがって、職務の分離をおこなって、業務委託の内容と成果物、報酬算定を具体的にしていこうとおもいますが、こういう事実を税務署に相談しにいくと否定される可能性は高いでしょうか?
本投稿は、2025年12月24日 09時26分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







