重加算税対象となるのでしょうか?
3月末決算法人です。
ある現場の担当者が、本来は4月に計上しなければならないものを、予算の関係上、3月に計上していた取引がありました。
4月に計上すると来期の予算を圧迫していまうので、予算が余っている当期に請求書をもらって、当期に計上したようです。
意図的に計上したことになるのですが、これは重加算税対象となるのでしょうか?
税逃れのために繰り上げして計上したのではなく、予算上の措置で繰り上げ計上したことなので重加算税対象にはならないのでは?と思うのですが、税務調査で重加算税と言われました。
一般的にこれは重加算税対象となるのでしょうか?
税理士の回答

東京都中央区の小林税理士事務所 小林拓未と申します。
予算の関係上、来期ではなく、当期に計上したもの、というのは、経費、と思われますので、それを前提に回答申し上げます。
重加算税の取り扱いについては、仮装、隠蔽などが行われているという事実があることが前提になります。
国税庁HPに掲載されている事務運営指針には、重加算税に該当するケースと重加算税に該当しないケースについて言及しています。
以下は、重加算税に該当しないケースの引用です。
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次に掲げる場合で、当該行為が相手方との通謀又は証ひょう書類等の破棄、隠匿若しくは改ざんによるもの等でないときは、帳簿書類の隠匿、虚偽記載等に該当しない。
(1) 売上げ等の収入の計上を繰り延べている場合において、その売上げ等の収入が翌事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当する場合には、翌連結事業年度。(2)において同じ。)の収益に計上されていることが確認されたとき。
(2) 経費(原価に算入される費用を含む。)の繰上計上をしている場合において、その経費がその翌事業年度に支出されたことが確認されたとき。
(3) 棚卸資産の評価換えにより過少評価をしている場合。
(4) 確定した決算の基礎となった帳簿に、交際費等又は寄附金のように損金算入について制限のある費用を単に他の費用科目に計上している場合。
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この中で、
(2) 経費(原価に算入される費用を含む。)の繰上計上をしている場合において、その経費がその翌事業年度に支出されたことが確認されたとき。
がそのまま、決定的な反論材料になると思われます。当期の帳簿、例えば現金出納帳や経費帳、総勘定元帳に記載があれば、重加算税を課す根拠はありません。
以上よろしくお願い致します。
ありがとうございました。
予算の関係で先方からの請求書の日付を4月から3月に直してもらったようなのですが、この場合は
重加算税で言う改ざんにばってしまうのでしょうか?
(税逃れのためにやったことではないのですがね)

単に、来期に計上すべき経費を、当期の損金とした、ということであれば、重加算税が課される理由にはなりません。
ただ、本来は来期の日付であるのに、先方に頼んで請求書の日付を直してもらったということは、相手方と通謀して、日付を改ざんした、ということになりますので、重加算税の対象になると思われます。
当初の請求書のまま、単純ミスにより、3月に計上してしまった、というのなら、重加算税の対象にはなりません。
調査官に、先方に頼んで請求書の日付を直してもらった、と話しているのであれば、重加算税を回避するのは困難と思われます。
ありがとうございました。勉強になりました。
本投稿は、2016年11月11日 00時03分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。