法人での不動産賃貸業における建物の減価償却と決算処理について
合同会社を設立し不動産賃貸業を行っております。
建物の減価償却のタイミングや赤字時の処理について質問させてください。
現在2期目で1期目は税理士に決算処理を頼みましたが、今期は自社で会計ソフトを使って決算を行う予定です。
改めて1期目の決算関係の書類を確認しているのですが、法人所有の固定資産表が作成されておらず、建物の償却はされていません。
不動産は会社名義で取得し、建物は取得費用+リフォーム費用を資産計上し、賃貸開始とともに減価償却をしていく予定です。
まず疑問なのが1期目の決算で建物の減価償却がされていない点です。
1期目の決算時点では1軒目の物件の賃貸を開始してから約5ヶ月で、減価償却がなくても赤字決算でした。
そこで何点か教えて頂きたいのです。
・不動産賃貸業において建物などを償却するタイミングはいつなのか。
(1期目開始~決算の間で数ヶ月しか使用していない場合減価償却しなくても良いのか)
・赤字の場合でも建物の減価償却はしなければならないのか。
・もし1期目から償却が必要だった場合2期目の決算ではどう処理すべきか。
以上となります。
減価償却につきましては、法定の期間より長く取ることも可能であり裁量は効くと聞いています。
しかし将来的には金融機関はそのような処理を嫌うとも聞くことから、正しい償却方法に則って行いたいと思っております。
どうかご回答よろしくお願いいたします。
税理士の回答
法人税、会計ともに、減価償却の時期は、その資産を事業に使用した時からです。
税理士の方は、賃貸不動産が事業に使用されていないため、1期目に減価償却費を計上しなかったと思います。
2期目の賃貸開始した月から減価償却を開始するのが良いと思います。

畑中達司
建物の減価償却の始まりのタイミングは、税法上「事業の用に供した日」ですので、1期目ではすでに5カ月賃貸を開始している、とうことですから、1期目から減価償却費を計算して損金算入(経費に入れる)ことができます。
減価償却費を計算したのち損金算入(経費)にするかどうかについて、法人は任意ですので、1期目は赤字だから経費にしなくてもいい、という会計処理が税法上できます。その場合、建物の価額は減額されないこととなり、2期目以降で損金算入するようになります。
また、2期目以降は通常の減価償却費の計算をすればよく、毎期損金にする額について限度があるため、実際は損金算入できる期間が延びることになります。
ちなみに、個人経営の場合は、減価償却費は強制償却ですので、減価償却したものとして建物の価額が減額されますので、必ずその年分の経費にしておかないといけなくなります。
赤字の場合でも減価償却した方が良いかどうかですが、企業会計の考え方から言えば、きちんと減価償却費の会計処理をした方が望ましいと言えます。しかも赤字の金額は、今は10年間繰り越せますので、損金算入しない理由はよほどのことが無い限り、メリットは無いと思います。それは、お書きになっているとおり、金融機関に決算書を提出することがある場合、なぜ減価償却費を経費にしないか、経理処理に何かあるのではないか、と問われることが起きることになるからです。
ご回答いただきましてありがとうございます。
今後の金融機関への説明などを考慮すると減価償却を正しく修正したいと思います。
今回のケースでは、1期目から4年かけて償却するところなのですができていないため
「2期目の決算で2年分まとめて償却し、3期目からは1年分ずつ償却する」
といった方法で修正できるでしょうか?
他に良い方法があればご教示いただけると幸いです。

畑中達司
「2期目の決算で2年分をまとめて償却」はできません。それは「償却限度額」を超える償却費の損金算入はできないからです。また、1期目について、法人は確定した決算をもとに申告しているため、今から減価償却費を損金算入する訂正の手続きもできません。
ただ結果として、建物から毎期損金算入した減価償却費を減額した額(未償却残高)が1円になるまで、4年を超えても償却の計算をして損金算入していくことができます。したがって金額の損得は起きませんし、金融機関もキャッシュフローの方に重きをおいていますから、事情を説明すればすぐ理解してくれると思います。
本投稿は、2022年06月30日 20時58分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。