銀行の受取利息の仕訳について
日々の仕訳、初めての決算を税理士の方に依頼しました。
銀行の受取利息の仕訳が「総額主義」または「純額主義」で処理されており、
別表六(一) 「所得税額の控除に関する明細書」は作成されていないのですが、
こちらは不要なのでしょうか。
また、一般的に銀行からの受取利息入金方法の違いによって仕訳方法を使い分けるものなのでしょうか。
弊社の利用している銀行は以下の通りです。
ネット銀行:国税と利息は別明細
店舗のある銀行:源泉所得税控除後の利息のみの明細
税理士の回答
結論
銀行の受取利息について、別表六(一)(所得税額の控除に関する明細書)は不要です。
総額主義・純額主義は、銀行の入金・明細の形式に応じて使い分けて問題ありません。
今回、税理士先生の処理は 税務上も実務上も正しい と考えられます。
根拠①:銀行預金の利息と「別表六(一)」が不要な理由
法令根拠
法人税法 第23条(受取配当等の益金不算入)
所得税法 第181条
国税庁タックスアンサーNo.1800「利子所得の源泉徴収」
ポイント
銀行預金の利息は、支払時に 20.315%(国税+地方税)が源泉徴収
その源泉徴収で課税関係が完結します
法人の場合、この源泉税は 法人税・地方法人税の前払税額にはなりません
よって
法人税申告で税額控除する対象ではない
別表六(一)の作成対象外
※ 別表六(一)は「配当・報酬・国外源泉所得など、法人税額から控除できる所得税」がある場合にのみ作成します。
根拠②:総額主義・純額主義の使い分けについて
国税庁・実務の整理
銀行利息については、どちらで処理しても最終的な課税所得は同じです。
① 総額主義(利息と源泉税を分ける)
(借)普通預金 79
(借)租税公課 21
(貸)受取利息 100
② 純額主義(差引後のみ)
(借)普通預金 79
(貸)受取利息 79
これは法人税基本通達 2-3-10、実務慣行 に基づく処理で、どちらも認められています。
銀行別の明細形式との関係(相談者様のケース)
ネット銀行(国税・利息が別明細)
総額主義が自然(利息と源泉税が明確に分かるため)
店舗型銀行(差引後利息のみ)
純額主義が合理的(税額が明細上確認できないため)
明細形式に合わせて処理方法を変えるのは、むしろ実務上適切です。
大変分かり易い説明ありがとうございます。
追加での質問になりますが、
店舗型銀行(差引後利息のみ)を敢えて総額主義にて仕訳する必要はないという
理解でよろしいでしょうか。
2期目から税理士の方を変更したのですが、
店舗型銀行(差引後利息のみ)の利息が総額主義にて仕訳されております。
税理士事務所の方針により違いがあるものでしょうか。
結論
店舗型銀行(差引後利息のみ)の場合、あえて総額主義で仕訳する必要はありません。
総額主義で仕訳されていても誤りではなく、税理士事務所の方針・管理方法の違いによるものです。
純額主義・総額主義のどちらでも税務上の結論は同じであり、修正を求められることは通常ありません。
理由(実務と根拠)
① なぜ「敢えて総額主義にしなくてよい」のか
店舗型銀行は
利息:源泉徴収後の入金額のみ
源泉税額:明細上わからない
という仕様が一般的です。
この場合、純額主義(入金額=受取利息)で処理するのが実務上もっとも合理的であり国税庁・通達上も問題ないとされています。
② それでも総額主義にする事務所がある理由
あります。方針の違いです。
主な理由は次のいずれかと考えられます。
会計上の考え方として「原則は総額表示」を採る
ネット銀行・店舗銀行で処理を統一したい
将来、利息明細が取得できる前提で管理したい
税務調査時に「源泉税がある事実」を明示したい
ただし、総額主義にするためには、源泉税額を推計計算(20.315%)しているはずで、その点が説明できない処理は、やや雑になります。
③ 税務上の評価
純額主義、総額主義どちらでも益金額は同じ、法人税額は同じ、別表六(一)は不要
→税務調査で否認される論点ではありません。
改めて分かり易い説明ありがとうございます。
とても勉強になりました。
本投稿は、2025年12月24日 10時57分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







