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FAX受注業務を電子化した時は電子帳簿保存法対応が必要ですか?

現在、お客様からの製品注文の50%がFAXで受け付けています。
FAX注文を受信後は、注文内容が記載されたFAXを印刷した上で、印刷したFAX注文を見ながら販売管理システムの受注登録画面に注文内容を入力しています。注文内容が記載されたFAX(紙)は三ヶ月間保存し、四ヶ月目に破棄する運用を行っています。保管の手間や保管スペース問題に加えて、昨今の新型コロナ対策の一環で、FAX受注業務をテレワークでも行えるようにするため、FAX注文をクラウドサービスを使って電子化(イメージデータ化)し、電子化したFAX注文を画面で見ながら受注登録画面に入力し、電子化したFAX注文はクラウドサービス上に三ヶ月間保存させる運用を事業部門側で行おうとしています。
注文書を電子化する場合は、基本的には電子帳簿保存法の第十条に該当し、保存期間は7年間、電子帳簿保存法に準拠した運用を行う必要があると認識していたので、「FAX受注業務を電子化する場合は、電子帳簿保存法に準拠した運用が必要となるはずなので、確認して下さい」と事業部門に伝えたところ、会社を担当している税理士から「貴社は、注文したお客様に対して工場から製品出荷したタイミングで売上計上しているので、取引の成立は製品出荷タイミングとなります。現在行っているFAX受注はあくまでも注文メモ扱いとなるだけなので、電子帳簿保存法に対応する必要はありません」との回答がありました。
このような運用を行っている当社のFAX受注業務を電子化する場合は、電子帳簿保存法の要件を満たす必要はありますでしょうか。
FAXを使った注文依頼は、注文書という扱いをしなくてもいいものなのでしょうか?
以上、よろしくお願いいたします。

税理士の回答

「貴社は、注文したお客様に対して工場から製品出荷したタイミングで売上計上しているので、取引の成立は製品出荷タイミングとなります。現在行っているFAX受注はあくまでも注文メモ扱いとなるだけなので、電子帳簿保存法に対応する必要はありません」という回答は、売上の計上に係る書類についての回答だと思われます。

法人税法上は、注文書も保存すべき書類となっていますので(法人税法施行規則第67条第1項)、「FAX注文」を顧客からの正式な注文書としてとらえている(「FAX注文」以外に受注を証する書類がない)のであれば、この「FAX注文」は単なるメモではなく、「電子取引の取引情報に係る電磁的記録」に該当し、電子帳簿保存法(第10条)の適用を受けます。

早速のご回答、ありがとうございます。回答内容を弊社役員に伝えたところ、弊社担当税理士から「法人税法上は注文書の保存につきましては義務化されていますが、以下のような理屈で拡大解釈すれば電子帳簿保存法には対応しなくても問題はないと思われます。法人税法施行規則第59条第1項にて相手方から受け取った注文書について7年間保存しなければならないという青色申告要件の一部を具備しているかどうかについて検討させて頂きました。そもそもなぜ注文書が帳簿書類として保存すべきか、主として想定されているのは、建設業等で収益の計上基準にて工事進行基準を採用している場合に、取引開始日を客観的に証明する書類として注文書の保存が必要と考えられているのではないか、また、一般的な商取引においても取引の開始をするための共通事項として注文書が必要な旨が列挙されているのではと考えております。この注文書の性格(位置づけ)としましては、電子帳簿保存法QA(スキャナ保存関係)問2に、資金の流れや物の流れに直結・連動しない書類とされており重要度は低いと記載されているようです。御社におかれましても売上計上基準は経理規定にて出荷した時点とされておりますので、得意先からの注文時の書類の重要性は低く、内部統制上も注文書は重要視されておらずクリアされている旨お聞きしております。上記総合的に勘案すると弊社においての取引開始とは、出荷時点からを指し、出荷以降に発行する請求書(納品書)からが取引に関しての帳簿書類としての位置づけと認識している。よって、得意先からの注文に関しての書面は、取引前のため帳簿書類には該当しない。帳簿書類ではないため統一した形式をとっておらず、運用も各営業所間で違いはあり、保存も最低限の期間としているのである。内部統制上の監査もクリアしている。ということでは如何でしょうか。このような理屈ではあるものの、各担当者ベースで書面にて保存し活用している実態があれば、局の担当者によっては指摘する可能性も少なからずあるやもしれません。そこで、紙ベースのものがなくシステム内にて確認しているのであればそもそもの入口である帳簿書類にも該当しない(紙を出力していない)ため帳簿書類の整理保存や電子帳簿保存、スキャナ保存の論点にはならないのではと思っております。」とメールで回答を受けているので、今回のFAX注文をクラウドサービスで電子化する際に電子帳簿保存法まで対応する必要はないと明言されてしまいました。
このような理屈が通れば、電子帳簿保存法を守らなくてもいいものなのでしょうか?
また万が一、後で電子帳簿保存法違反となってしまった場合は、どのような不利益があるのでしょうか?以上、よろしくお願いします。

最初の質問で、「電子化したFAX注文」とされていましたので、「電子取引の取引情報に係る電磁的記録」に当たるとして回答させていただきました。

スキャナ保存についての解説を述べられておられますが、スキャナ保存の規定は、元々「紙」でやり取りしている書類をスキャナに変換して保存する場合の規定であり、電子データでやり取りしている取引は、そもそも「紙」自体が存在しないのですから、スキャナ保存の適用云々を論じるのは的外れです。

電子帳簿保存法第2条第6号では
「電子取引 取引情報(取引に関して受領し、又は交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項をいう。以下同じ。)の授受を電磁的方式により行う取引をいう。」
また、電子帳簿保存法取扱通達2-3では、
「法第2条6号((電子取引の意義))に規定する「電子取引」には、取引情報が電磁的記録の授受によって行われる取引は通信手段を問わず全て該当するのであるから、例えば、次のような取引も、これに含まれることに留意する。(平17年課総4-5、平成27年課総9-8により改正)
(1) いわゆるEDI取引
(2) インターネット等による取引
(3) 電子メールにより取引情報を授受する取引(添付ファイルによる場合を含む。)
(4) インターネット上にサイトを設け、当該サイトを通じて取引情報を授受する取引」
となっています。

よって、貴社の「電子化したFAX注文」は「電子取引」に当たると判断されます。

なお、電子帳簿保存法第10条は、「電子取引データは、帳簿・書類とは違って、税務署長の承認は不要であるが、その保存については、帳簿・書類と同様に行わなければならない」ということを規定しています。

ご回答、ありがとうございます。
質問1)
 土師様の回答は、「弊社担当税理士からの回答は的外れです。今回のFAX注文を
 電子化する際は、電子帳簿保存法要件を守らなけばいけません」という解釈で
 よろしいですか?

質問2)
土師様の回答には「貴社の電子化したFAX注文は電子取引に当たると判断されます」
 とのことですが、現状FAXで受けているお客様からの注文書は、お客様がフリーフォーマット
 上に手書きで注文内容を記載しているものが大半で、パソコン等を使って作成しているものは
 少ないです。今回のFAX注文の電子化は、
  ①お客様は注文内容を手書き OR パソコンで作成して、弊社へFAX送信。
  ②弊社で受診したFAX注文をクラウドサービスへ転送。
  ③クラウドサービス側で受信したFAX注文をイメージデータに変換。
  ④イメージデータに変換された注文内容をパソコン画面に表示。
  ⑤パソコン画面上に表示されたイメージデータ注文内容を見ながら、
   販売管理システムに受注画面に入力(注文内容登録)
  ⑥クラウドサービス上にイメージデータ注文内容を3ヶ月間保存し、4ヶ月目に削除
 という流れの運用となります。
 電子帳簿保存法では『国税関係書類について「電子データ保存」を行うには「最初の記録段階
 から一貫して電子計算機を使用して作成すること」が前提。一部でも手書きなどで記録すると
 「電子データ保存」の対象からは外れてしまう』と理解していましたが、今回のような運用の
場合は元の注文内容は手書きでも、「電子取引」として扱い「電子データ保存」して問題は
ないのでしょうか? 

質問4)
 土師様の回答では『電子帳簿保存法第10条は、「電子取引データは、帳簿・書類とは違って、
 税務署長の承認は不要であるが、その保存については、帳簿・書類と同様に行わなければ
ならない』とのことですが、「電子取引」として扱い「電子データ保存」が可能な場合でも、
  ①真実性の確保、②関係書類の備え付け、③見読可能性の確保、④検索機能の確保
 という「一定のルール」に従って、電子取引の情報を保存しなければなりませんという解釈で
 よろしいですか?
 また、国税関係書類の「一般書類」を「電子データ保存」する際は税務署長の承認を得る
(電帳法4条2、規則3条2)。「スキャナ保存」する際は税務署長の承認は不要(電帳法4条3、
規則3条6)と認識していましたが、「電子データ保存」「スキャナ保存」共に「一般書類」は、
税務署長の承認は不要ですか?

「電子データ」と「書面(紙)」の概念が混同されているようで、同じような質問が繰り返されていると思われます。

そこで、基本的な内容から整理すると、
まず、
◎「貴社が作成するものにはどのようなものがありますか」ということから、
 ①国税関係帳簿(仕訳帳・総勘定元帳・補助簿)
 ②国税関係書類のうち決算関係書類(損益計算書・貸借対照表・棚卸表)
 ③国税関係書類のうち重要書類(契約書・領収証・請求書・預金通帳など)
 ④国税関係書対のうち一般書類(見積書・注文書・検収書)
次に、
◎「相手からも受け取るものにはどのようなものがありますか」について、
 ⑤国税関係書類のうち重要書類(契約書・領収証・請求書など)
 ⑥国税関係書対のうち一般書類(見積書・注文書・検収書)
 ※相手から受け取るもののうち上記①・②・③(預金通帳)は存在しえない。

ここから「電子帳簿保存法」の適用について説明します。

①について、
 法人税法上は書面で保存することを求めている(「備え付けて・・・保存しなければならない」と規定されていることから)。
 パソコンで作成した場合・・・・・税務署長の承認を得れば、「電子データ保存(帳簿)」が認められる。

②・③・④について
 法人税法上は書面で保存することを求めている(「備え付けて・・・保存しなければならない」と規定されていることから)。
 パソコンで作成した場合・・・・・税務署長の承認を得れば、「電子データ保存(書類)」が認められる。
ただし、①よりは承認される要件は緩和されている。

⑤・⑥について
 相手から「書面」で受け取った場合・・・・・法人税法上は書面で保存することを求めている。

◎「スキャナ保存」について
  ③・④を書面で作成した場合 及び ⑤・⑥を書面で受け取った場合
   元々「電子データ」というものではないので、これを「電子データ」に変換するには「スキャナ」しかない!!・・・・・税務署長の承認を得れば、「電子データ保存(スキャナ)」が認められる。

ここで、
上記③(預金通帳を除く)・④・⑤・⑥をメール等で交付又は受領した場合・・・・当然「書面」という媒体は介在しておらず、「電子データ」しか存在しない。

 ★これが、電子帳簿保存法第2条第6号でいう「電子取引」です。

「電子取引」は、電子帳簿保存法第10条にしか取扱規定がなく、
同条で「財務省令に定めるところにより、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない」としか規定されていないので、
財務省令(電子帳簿保存法施行規則第8条)で定める要件を満たせば、税務署長の承認まで求めていません。また、ここでは、「検索機能の確保」は求めていません。

以上の考え方をよく理解していただければ自ずから解決策が得られるはずです。

ご回答、ありがとうございました。助かりました。

本投稿は、2021年02月04日 13時30分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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