海外移住 日本に住民票を残して日本の企業に勤めながらリモートワークをする場合の納税について
標題についてご相談です。
勤務している企業の人事部もこのようなケースが初めてのため、非居住者となる場合の給与の支払方法や納税などについて確認が取れた場合は、海外からのリモートワークの承諾をいただけるということになっています。
自身でも色々調べておきたいと思いご相談させていただきました。
複雑な手続きが不要な状態にしたいです。
お返事いただけますと幸いです。
【状況】
①来年1月より主人の帯同(MBA留学)でアメリカに2年ほど移住予定です。
②私は日本の企業に勤めていますが、リモートで海外からも引き続き仕事をします。
給料は日本の口座に振り込まれます。
③住民票は日本に残す予定です。
【質問】
1)移住後、納税は日本で行い、
日本の企業で年末調整をすることで、アメリカに納税する必要は無しと考えて良いでしょうか?
2)住民票は日本ですが、給与は非居住者としての支払いになるのでしょうか?
現状とどのように変わるのかご教示いただきたいです。
税理士の回答

安島秀樹
いま国境を越えてリモートワークする人がすごい増えて、このサイトでもいろいろ質問があるのですが、はっきりしないことが多いです。最初に、アメリカで働く資格があるのか(就労ビザなのか)確認してください。資格がないならそこで×です。働けるなら、日本の税法では非居住者になると思います。日本起源の所得だけが日本で申告すべきものです。アメリカでするリモートワークはアメリカ起源の所得です。これは、アメリカの税法で、居住者でも非居住者でも、アメリカで申告が必要になると思います。住民税は、非居住者なので払う必要はないと思いますが、住民票があるなら問い合わせがくると思います。非居住者というしかないです。いずれにしても日本での納税の必要はなくなると思います。

米森まつ美
回答します
居住者・非居住者の区分は、住民票の有無により変わりませんので、貴女は1年を超えて海外に居所を有することを前提に出国しますので、出国の翌日から日本の非居住者・米国の居住者に該当すると解されます。
1)日本での納税は原則、出国前の給与のみとなります。
出国前の給与についてのみ、「出国前年末調整」を行います。
2)先に説明した通り、住民票の有無は関係なく、貴方は日本の非居住者・米国の居住者になると解されます。
出国後(非居住者)の給与については、給与等はどこで勤務したかにより課税権の有無が変わります
そこで、日本で勤務しない限り、原則は日本での課税はありません。
ただし、賞与など出国後に出国前に勤務に基づく報酬については、20.42%の税率で所得税が源泉徴収されます。(日本での精算はありません)
なお、通常日本で課税された非居住者の所得税は、米国での外国税額控除の対象となりますが、米国での申告等については、米国の課税当局でご確認ください。
国税庁HPから参考箇所を添付します
「居住者・非居住者の区分」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2875.htm
「海外に転勤した人の源泉徴収」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2517.htm
「海外出向と所得税額精算」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1920.htm

安島秀樹
アメリカの居住者、非居住者は最初に国籍が有る無しではいるので、国籍の関係ない日本の税法とはずいぶんちがいます。日本の非居住者がアメリカの居住者になるというわけではありません。やさしい会社に勤めているようなので、会社と一緒に少しずつ調べていけばいいと思います。
ご回答いただきありがとうございます。
出国後の納税についてお伺いしたく、
2)出国後は日本での納税は無しとのことですが、アメリカで納税する必要があるのでしょうか。
知識不足で申し訳ございませんが、合わせてご回答いただけますと幸いです。

米森まつ美
回答します
アメリカでの納税の可能性はありますが、アメリカの課税当局に確認しないといけません。
ご主人の会社では、「MBA留学」の経験があるので、ご主人の会社の方では、経験があるかもしれませんので、ご主人にお願いして聞いてもらってもいかがでしょうか。
なお日米租税条約では
この条約の適用上「一方の締約国の居住者」とは、当該一方の締約国の法令の下に追いいて、住所、居所、市民権・・・・(省略)・・・当該一方の締約国において課税を受けるべきものとされる者をいい次のもの(地方公共団体等)を含む・・・(§4 の1)
とされているため、日本国の法令上貴女は日本国に「住所」「居所」等を有しませんので、日本の居住者ではないことになります。
そして、ご主人に伴って2年以上アメリカに居住する人の状態を、アメリカの法律でアメリカ国内に「住所」「居所」等を有すものとされるか否かについては、アメリカの法律のため大変申し訳ないのですが分からないことをお許しください。
なお蛇足ですが、同じく日米租税条約上は
アメリカの国籍やグリーカードを持つ者は、どの国の仮に居住者になったとしても「アメリカの居住者」として課税されるとなっています(§4 の2)
ただし、仮に「双方居住者」となった場合も別途規定があります(§4 の3)
日本の場合は、条約が国内法より優先されますが、アメリカの場合は同列かむしろ国内法が優先されると聞いています。
参考にして頂ければ思います。
本投稿は、2021年07月29日 13時53分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。