海外赴任になったときの所得税
現在は日本で会社員をしていますが、数ヶ月後に退職予定です。
その後は転職して海外赴任が決まっています。
現在の会社から退職金が出るのですが、およそ150万円程(6年半勤務)。
9月末に渡航予定ですが、最終の給与支払い日は10月20日です。
9月末に渡航となると、住民票は日本になくなるので、10月分は所得税は上がるのでしょうか?
10月に入る金額は、
月給35万円+退職金150万円、計185万円です。
税率は20.42%でしょうか?
税理士の回答

米森まつ美
回答します
貴方が日本の非居住者になられる場合、10月に支給される給与等は日本で課税対象(国内源泉所得)となります。
税率は20.42%となります。
ただし、退職金に関しては「退職所得の選択課税」し申告をされる場合、一旦源泉徴収で納税した所得税は還付になる可能性があります。
【解説】
転職先が海外で、「通常1年以上(海外に)居住が必要とする」職業である場合は、貴方は出国の翌日から日本の「非居住者」に該当します。
非居住者に支払われる給与等(退職金を含みます)は、原則、日本の勤務にかかる給与等の場合は、支払時に20.42%の源泉徴収がされます。(源泉分離課税)
ただし、日本の法人の役員報酬は勤務地に関わらずすべて「国内源泉所得」として課税対象となります。
貴方は、日本法人の役員であったため、10月に支給される当該給与は「役員報酬」であり、退職金は「役員の退職手当金」に該当し、かつ、全ての勤務期間は日本での勤務でありますので、いずれにしても全て「国内源泉所得」に該当し、20.42%の所得税を源泉徴収されることになります。
なお、「退職金」に関しては、居住者であれば「退職所得控除」が受けられますが、源泉徴収時には控除などがありません。
そこで、「退職所得の選択課税」選択することにより、居住者と同様の勤務期間に係る「退職所得控除」を受け、所得税の還付を受けられることができます。
国税庁HPに「退職所得の選択課税」の申告書の記載方法が掲載されていますので、参考に添付します。
出国前に「納税管理人の届出」を提出し、納税管理人を通じて申告書を提出することをお勧めいたします。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kisairei/pdf/taisyokusentaku.pdf
「納税管理人の届出の手続き」
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/07.htm
米森様
とてもわかり易く、疑問が解決致しました。
ご回答ありがとうございました。

米森まつ美
ベストアンサーをありがとうございます。
なお、居住者になった国の税法は分かり得ませんが、原則、居住者となった後に得た所得は「全世界課税」となります。
租税条約を締結している場合、「給与等」で日本で課税された税額は「外国税額控除」の対象となると考えられますので、給与等の支給をした会社を通じて「源泉所得税の納税証明願(書)」を入手されることをお勧めいたします。
※ 「退職所得の選択課税」をされた場合は、証明は「給与」のみとなります。
国税庁hp掲載の
「源泉所得税の納税証明書願い」の説明箇所になります。https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_31.htm

米森まつ美
ご質問になかったことですが、一つ失念していましたのでお伝えいたします。
居住者時代に、支払われた役員報酬に関しては既に退職しておりますので、年末調整の対象となりませんので、確定申告にて所得税の精算をする必要があります。(準確定申告)
また、特別徴収されていた住民税も、会社を通じて又はご自身(普通徴収に切り替えて)で今年度分の住民税の納税を一括で行う必要があります。※既に会社に、特別徴収の通知書が届いていると思います。
準確定申告は「納税管理人」の届出書を提出した場合は、通常の確定申告時に申告書を提出して精算されますが、「納税管理人」を定めていない場合は、出国の前日までに準確定申告を提出することになります。
住民税は、会社を通じて市区町村に相談したうえで、どのようの納付するか、決められることをお勧めします。
添付した質疑応答は「海外勤務者の所得税の精算」の説明ですが、「非居住者になる場合」の「なお」書以降を参考にしてください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1920.htm
また、「所得控除」の考え方も添付します。(標題は年末調整の仕方ですが、考え方は同じです)
保険料控除などは、居住者の時に支払った分のみ対象となり、扶養親族に該当するか否かなどは年間の合計所得金額で判断されます。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2517.htm
米森様
ありがとうございます。
大変参考になりました、会社とも相談してみます。

米森まつ美
会社とよく相談されて、源泉徴収などの誤りがないようにお伝えください。
本投稿は、2023年05月31日 13時38分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。