【国際税務】税務上の非居住者性の判断要件の「職業」における事実認定について
国内の法人の株式を100%所有するオーナー経営者(代表取締役)が海外に移住する際の税務上の居住者・非居住者認定における「職業」についてご相談させてください。
その他の要件である「住所・居所、財産、扶養親族」の状況はすべてクリアしている前提です。
①移住後も引き続き100%の株は持ち続けるとして、代表取締役からは外れないと税務上、日本の居住者であることが必要とする職業と判断されますか?また、ただの平取締役だといかがでしょうか?取締役からは完全に外れないといけないでしょうか?
②また、取締役は辞任し、株主としての地位しか残らない場合、株主として(遠隔ですが)どの程度会社に関与(経営意思決定?指示?相談?アドバイス等?、もしくは連絡は極力控える??)することが許されますか?
どなたかご回答頂けますと幸いです。
どうぞよろしくお願い致します。
税理士の回答
①日本の会社の代表取締役であるからと行って、そのことで居住者と判定される要件ではありません。現地に職業、経営している会社があり、出国時から現地で就業する場合には、推定規定で、出国時から非居住者と判断する、ということがありますが、推定規定には該当しない、ということだと思います。
つまり、出国当初は、税務署から見れば、非居住者と推定するための職業がないため、直ちに断定的に非居住者とは判断できない。他の事実関係で判断するということになります。国内に住民票もなく、住居など帰住する場所もなく、親族も日本に住んでおらず、資産も国内にはない、という状況なのであれば、その状態で現に無期限で海外に在住している人を、居住者と判断することは難しいと思いますので、総合判断の結果、非居住者と判断されると思いますが、そこには税務署の判断がありますから、100%ということではないと思います。
②取締役、株主、いずれからも外れたときに、経営への関与ができるかどうか、という点については、会社法上は意思決定の当事者、一員を占めることはできないと思います。あくまで、経営者に横から助言する形になると思います。経営の意思決定まで関わると、法人税法でみなし役員と判断されます。会社法上の役員から退任して、顧問という名目で、助言などを行い、報酬や給与を得ている形態は、珍しいことではありません。
本投稿は、2018年10月31日 16時15分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。