雑所得と事業所得がある場合の所得税について
夫の扶養範囲内で小規模に事業所得を得ています。
年間収入額は大体50〜70万円程度で、青色申告65万円控除を受けています。
数年前に仮想通貨のビットコイン3万円とリップル6万円の合計9万円を購入し、大暴落を受けたのでそのままほったらかしにしていたのですが、ここ最近のビットコインの高騰に伴い現在トータルで10万円ちょっと(+1万円)にまで持ち直しました。
この辺りで全て売却して仮想通貨からは手を引きたいと考えています。
そこで、所得税についての質問です。
仮想通貨は雑所得として申告が必要かと思いますが、
例えば事業所得が70万円、雑所得が1万円だった場合は、事業所得分が65万円控除されて残り5万円、その後雑所得と合わせた6万円は基礎控除48万円があるので所得税は0円となるという考えであっているでしょうか?
よろしくおねがいします。
税理士の回答

中西博明
事業所得は青色申告控除後の金額になりますので、ご質問の場合は5万円です。
また、雑所得が1万円ということですと合計所得は6万円となりますが、基礎控除48万円以下ですから、所得税や住民税はかかりませんし、ご主人の控除対象配偶者になります。
なお、収入が80万円程度であれば事業所得ではなく雑所得ではないかとの税務署から指摘を受ける可能性はあります。そうなると青色申告控除は受けられませんが、家内労働者の必要経費の特例により65万円の必要経費が認められますので、結果は同様になります。
中西様
ご回答ありがとうございます。
そうですね、正しくは事業収入70万円で控除後の所得が5万円でした。
所得税、住民税、扶養の関係がどれも問題ないとわかり安心しました。
ところで、収入があまり多くないと青色申告が認められない可能性があるのですね...考えたこともなく完全に盲点でした。
グレーな部分も多いと思うので具体的なラインを明言するのは難しいかもしれないのですが、一般的にどれくらいの収入であれば指摘を受けないと考えられるでしょうか。
数年前に会社をやめ今の仕事を始めたのですが、2019年出産に伴い収入が減り、昨年本格的に再開する予定でいた矢先にコロナで活動の制限を余儀なくされ今に至っています。今の仕事をやめるつもりはないので、まずは最低限事業として認められる収入を目指していきたいと思っています。
また、家内労働者の必要経費による特例というのはなんとなく聞いたことはありましたが、自分には関係ないと思い込んでおり詳しく知りませんでした。
仕事内容は大手の会社の商品受託販売(外交員的な扱い)なので、もしも青色申告がダメな時は対象になりそうですね。
もし仮に事業所得としての青色申告が認められなかった場合に雑所得でこの特例を使うとなると、複式簿記による帳簿の作成は必須ではなくなるのでしょうか?
また、税務署から指摘を受けるタイミングについてですが、確定申告をして税金の還付を受ける前に指摘されますか?それとも税務調査のような形でしばらくしてからお尋ねがくるのでしょうか?
追加の質問で大変恐縮です。
お手隙のときで構いませんので教えてください。
よろしくおねがいします。

中西博明
事業所得として認められる形式的な基準はなく、法令にも規定はありません。
過去において、事業所得か雑所得かで争われた裁判があって、その判例によると、
・自己の危険と計算において独立して行う業務か
・営利性と有償性を有しているか
・反復継続して遂行されて営まれているか
・社会的地位が客観的に認められているか
が基準となっています。
この基準も抽象的ではありますので、私的意見ではありますが税務署から事業所得として認められないケースを紹介すると、
①サラリーマンの方が副業として僅かな収入なのに多額の必要経費を計上して毎年事業所得の赤字を申告することで給与所得と損益通算する。
②扶養から外れない程度の規模の収入で申告している。
このようなケースは税務署から雑所得だと指摘を受ける可能性があると思われます。
したがって、あなたの場合は上記②に該当しますので、税務署から指摘を受ける可能性はありますが、本業として仕事をされていて、黒字で申告しておれば税務署から指摘を受けるリスクは低いと考えます。
なお、税務署から指摘を受ける場合のタイミングですが、毎年確定申告が終わった後に、申告内容を確認、審査しますので、その時に引っ掛かるケースが大半です。
また、雑所得となれば複式簿記による記帳は不要ですし、今後も扶養内で仕事をされるのであれば雑所得で申告する方が楽かもしれません。
なるほど、大変やかりやすいご説明をありがとうございます。
収入は低いですが、一応本業として仕事をしており申告額も黒字ですので、昨年(令和2年)分はこのまま青色申告でやってみようかなと考えています。
ただ、しばらくは扶養範囲を抜けない程度の収入になりそうでもあるので、今後は雑所得での申告も視野に入れてみます。
最後にもう2点だけ質問をさせていただきたいのですが、
①青色申告をしたあとに税務署から指摘を受けた場合はその時点で改めて雑所得として修正申告という形になるのでしょうか?
その時に家内労働者の必要経費による特例を適用することはできますか?(青色申告のように事前に申請などが必要なのでしょうか?)
②令和3年分を雑所得で申告した場合、令和4年以降に収入が持ち直してまた青色申告へ戻したいとなった場合にそれは可能でしょうか?
たしか2年以上期限内に青色申告をしない場合は青色申告が取り消され、その後1年は再申請できないと聞いたのですが。
令和2年青色/令和3年雑所得/令和4年青色→◯
令和2年青色/令和3・4年雑所得/令和5年青色→×
という考え方で合っていますか?
タイトルと内容の方向性がまったく変わってしまいすみません。
よろしくお願いいたします。

中西博明
①最終的には税務署の判断になりますが、事業所得でも雑所得でも税額に異動がなければ修正申告のしょうようではなく、今後、雑所得で申告するよう指導されると思います。
②事業所得と雑所得の違いは説明したとおりなのですが、これまで税務署から雑所得で申告するような指導がなければ、収入の多寡にかかわらず、事業所得で申告すればいいと思います。
早々のご回答ありがとうございます。
少し不安になっていましたが、指摘を受けるリスクもあると頭の隅におきつつ当面は青色申告を継続してみます。
たびたびの追加質問にも丁寧にご対応いただきありがとうございました!
これからの時期、中西先生も大変お忙しいかと存じますが、ぐれぐれも体調等にお気をつけください。
本投稿は、2021年01月09日 01時56分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。