事業譲渡における買収企業側と売却企業側の法人税の税務処理は?
こんにちは、すみません。M&A(事業譲渡)での税務について調べているのですが、分からない点があり困っております。教えていただきたいです。
少し前に、こちらで
買収企業側では、
・法人税
・消費税
・不動産取得税
・登録免許税
売却企業側では
・法人税
・消費税
の税務があるのかと質問をさせていただいたのですが、おおむねその通りと教えていただきました。ただ、この中で法人税の処理についてよく分からなくて困っております。
消費税の処理については、買収企業側から見て、課税資産の売却額に対して消費税が発生し、最終的に売却企業側から請求される形になるのは分かりました。
しかし、法人税は、売却額-譲渡資産の帳簿価額=譲渡益に対し、課税されるとのことですが、その後、売却側と買取側の間でどのような流れと処理になるのかがよく分かりません。この譲渡益というのは、売却側にとっての呼び方だと思うのですが…
事業譲渡における、売却側と買取側から見た法人税の扱いについて教えていただきたいです。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
税理士の回答
売る側は、法人の利益を含め譲渡益に対して、法人税が課税されます。
買う側は、営業権の部分は、繰延資産として経費に計上します。固定資産として購入した部分は、減価償却資産として減価償却をしていきます。
お世話になります。
すみません、おそらくこちらのサイトで解説されている
「◆事業譲渡によるM&Aの税務処理」について言われているのではないかと思うのですが、
税務の知識が足りないので、とても初歩的な質問をしてしまうのですが、
買う側にとっての法人税は、事業譲渡によってどうなってしまったのかが、私の頭の中で理解ができていません。
営業権(のれん)=法人税にかかる部分ということなのでしょうか?
よろしくお願いいたします。
買う側が、相手の会社の株式を全額購入するのも一つの考え方です。
しかし、これは、株式を保有するだけで、買う側は、経費にはなりません。
買う側が、相手の会社の固定資産や営業権を見積もって代金を支払えば、買う側は、今後、減価償却資費等の経費か計上でき節税になります。
M&Aの中の事業譲渡に係る買い手企業の法人税に影響が出るとすれば、のれんの発生による償却となります。
買い手から見た事業譲渡は、単に買収対象事業の資産と負債(共に時価ベース)を買収するというものです。
つまり、対象事業の時価純資産価額での買収ですが、実際の買収価額は時価純資産価額+のれん(営業権や実質利益の数年分等)となるケースが多くなります。
この資産(時価)-負債(時価)=時価純資産を超える買収対価分は、法人税法上は資産調整勘定として計上し5年の均等償却により損金算入されますので、償却期間中の各事業年度の法人税の計算の基礎となる所得の減少要因となります。
補足となりますが、事業譲渡により取得した資産のうち減価償却対象資産があれば、これに係る減価償却費も買い手の法人税に影響します。
お世話になります。
ご回答いただきましてありがとうございます。おかげさまでよく分かりました。
自分の理解が足りているのか改めて確認したのですが、
・利益が少ないほど法人税が少なくなるため、のれんで持つ資産が増えれば法人税も自ずと多くなる
・のれん(時価純資産を超える買収対価分)は償却で損金算入されるため、費用として認められる。
・結果的に法人税の額に影響を与え、償却していくことで法人税も減ってゆく。
ということでだいじょうぶでしょうか?
よろしくお願いいたします。
のれん(資産)が多ければ、償却額も多くなり損金が増えますので法人税は少なくなります。
その他はご記載の通りのご理解でよろしいかと思います。
なお、のれんの償却(法人税法上の資産調整勘定の償却)は損金経理を要件としない強制適用です。
また、買い手側の事業譲渡の目的は買収による将来利益の増加を企図したものが一般的ですので、のれんの償却や取得資産の減価償却費を上回る利益を出せば法人税は増加します。
お世話になります。
のれん(資産)が多ければ、償却額も多くなり損金が増えますので法人税は少なくなります。
そうなのですね、間違えて理解しておりました。ありがとうございます。
減価償却するものでも、場合によっては法人税が増加する要因になることも、教えていただいてありがとうございます。
とても助かりました。
ご丁寧な解説、ありがとうございました。
減価償却費は損金ですので法人税の増加要因とはなりません。
買収した事業により将来利益が増加し、この増加利益分(益金の増加)が減価償却費やのれんの償却(ともに損金の増加)を上回れば法人税は増加します。
減価償却費は損金ですので法人税の増加要因とはなりません
「のれんによる減価償却費そのものが、法人税が増える原因になる」のではなく、その後の事業の利益の増加によって、法人税が増減するモノサシみたいな存在になるのですね。
ありがとうございます。
本投稿は、2019年01月09日 16時31分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。