電子取引の対応について(交付する側の自社控え)
システムから請求書を書面で「原本」と「控え」を発行し、原本はスキャンして電子データ(PDFファイル)で取引先へ電子メールで送信(交付)、控えは自社で保存している、とします。
※書面の原本は破棄するか、控えと一緒に保存。
「電子メールで送信(交付)」は、電子取引に該当するため、本来であれば、送信(交付)した電子データは保存しなければならないとされていますが、書面に出力して保存することも認められていました。
(控えを書面で保存しているため、送信(交付)した分を書面に出力して保存することは実務上、ほとんど無いと思いますが)
2021年1月1日以降、電子取引で送信(交付)した電子データは、必ず電子データで保存する必要がありますが、自社控えについては、従来通り、書面での保存でも問題ないでしょうか?
電子取引のため、自社控えもデータで保存することになるのでしょうか?
(消費税法は2021年1月1日以降も書面での出力保存OK)
ご回答のほど、よろしくお願い致します。
税理士の回答

土師弘之
質問の内容を理解すると、書面で請求書を交付していた時は原本と控えを作成し控えを保存していたが、「電子取引」になった場合、その控をどう取り扱ったらいいかということだと思います。
ここで、「電子データ」(電磁的記録)とはあくまでデータなので、請求書原本とその控をシステムで作成した場合には、両方とも「電子データ」には該当します。
しかし、「電子取引」として取引先に交付するデータは請求書のみであるので、保存すべき電子データは請求書(原本)のみとなります。つまり、控えを作成したとしても、「電子取引」に係る「電子データ」には該当しませんので、2021年1月1日以降の「電子データ保存義務」の適用を受けません。結果的に控えの作成は任意となります。
ただ、控えを書面で作成することとしている場合、この控は「国税関係書類」→「取引関係書類」→「自己の作成したこれらの書類でその写しがあるものはその写し」に該当しますので、従来の規定の解釈では、書面としての保存が必要となります。
「電子データ」(電磁的記録)とはあくまでデータなので、請求書原本とその控をシステムで作成した場合には、両方とも「電子データ」には該当します。
土師先生のおっしゃる通り、大元はシステムで作成した電子データです。
控えを発行する義務はありませんが、発行している場合は保存する義務が生じるため、土師先生のご回答通りになるということですね。
・控えを発行していなければ、「送信(交付)した電子データ(原本)」のみを保存。
・控えを発行していれば、「送信(交付)した電子データ(原本)」と「書面(控え)」を保存。
税務署への事前承認が不要となりますし、控えは書面ではなく、データで保存した方が良いですね。(電子帳簿保存法4条第2項を適用)
大変お忙しいなか、ご回答ありがとうございました。
本投稿は、2021年09月07日 19時37分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。