消費税について
被相続人は居住用の賃貸アパートを複数所有していました。
死亡した令和5年の生存中にそのうちの1物件を売却しました。
残った不動産は相続人である私が相続しました。
私はサラリーマンなのですが、確定申告の準備など調べていたら消費税のことがひっかかりました。
被相続人は死亡するまでずっと免税事業者だったのですが、令和5年は不動産の売却により課税売上が1千万を超えてしまいました。
その他に自動販売機収入などの課税取引とある売り上げが少しあります。
この場合、相続人である私の令和7年の確定申告では消費税の申告が必要でしょうか?
それとも、売却した不動産は相続していないから、申告は不要でしょうか?
調べていたら相続した事業で判定とあったので、売却した不動産は相続していなければ申告はしなくていいのかわからなくて、教えてください。
税理士の回答
結論から申し上げますと、ご質問のケースでは、相続人であるあなたの令和7年(2025年)の確定申告において、消費税の申告が必要になる可能性が極めて高いです。
売却した不動産そのものを相続していなくても、「被相続人が行っていた事業(この場合には不動産貸付業)」を承継している以上、納税義務の判定には被相続人の売上(売却額を含む)が合算されるためです。
詳細は以下の通りです。
1. 相続があった場合の消費税の納税義務判定(特例)
通常、消費税の納税義務は「2年前(基準期間)」の課税売上高が1,000万円を超えているかどうかで判定します。相続の場合、この判定には以下の特例が適用されます。
令和7年(相続の翌々年)の判定方法:
相続人の令和5年の売上(0円) + 被相続人の令和5年の売上(1,000万円超)の合計額で判定します。
「事業の承継」の考え方:
「売却した物件を相続していないから関係ない」と思われるかもしれませんが、消費税法上は、被相続人が営んでいた「不動産貸付業」という事業の一部でも引き継いでいれば、被相続人の基準期間の売上を引き継ぐことになります。
2. 令和7年の申告が「必要」とされる理由
課税売上の合算: 被相続人が令和5年に売却した物件は、居住用賃貸物件であっても、建物の売却代金は「課税売上」に該当します(土地は非課税)。
判定の結果: 合算した令和5年の課税売上高が1,000万円を超えているため、その2年後にあたる令和7年において、あなたは課税事業者となります。
3. 注意点と今後の対応
申告対象となる売上: 令和7年中にあなたが発生させた「自販機収入」や「駐車場収入」など、消費税がかかる取引(課税取引)のすべてが申告・納税の対象となります。※居住用家賃は非課税なので、それ自体に消費税はかかりませんが、申告書の作成は必要です。
届出書の提出: 令和7年から課税事業者となる場合、本来は「消費税課税事業者届出書」などの提出が必要になる場合があります。
なお、被相続人が令和5年に亡くなる直前に売却した物件の消費税については、被相続人の「準確定申告」で完結しており、あなたがその分の税金を払うわけではありません。あくまで令和7年以降の「あなたの納税義務」を判定する際のものさしとして、その売却額が使われるという仕組みです。
相続人があなただけであれば、以上のように判定されると思います。
ご丁寧にわかりやすくご回答いただきありがとうございます。
令和7年は忘れずに申告したいと思います。
参考になれば幸いです。よろしくお願いいたします。
本投稿は、2025年12月23日 21時48分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







