海外に移住したときの納税義務の時効について
海外に移住した際の納税義務の時効について知りたいです。
刑事訴訟法では海外に行くと時効が停止するようですが、税金の納税義務も時効が停止するのでしょうか?
時効が停止するという人と納税義務に関しては海外に行っても時効は停止せず進行するという人がいてよくわかりません。
また時効も5年と書いてある所や7年と書いてあるところがありますますわかりません。
何が正しいのか教えていただけると幸いです。
税理士の回答
小川真文
「海外に行くと時効が停止する」ことはなく「納税義務に関しては海外に行っても時効は停止せず進行する」と考えたほうがよろしいでしょう。
民法には一定期間経過すると罪に問われなくなる時効という制度が存在しますが、税金についても時効はあります。税金の時効とは、国税の徴収権の消滅時効です。徴収権が消滅すると、国は税金を徴収できなくなります。また、税金には時効のほかに、除斥期間という概念があります。除斥期間とは、税務署長が納税義務の確定手続きを行える期間のことです。納税義務が成立していても、確定せずに除斥期間が過ぎた場合は、税務署長が税金の金額を決められる権利である賦課権の行使による納税義務の確定ができなくなります。
国税通則法の第72条では、国税の徴収を目的とする国の権利が法定納期限から5年行使しなければ時効で消滅すると定められています。つまり、国が税金の徴収を行えるのは法定納期限から5年間であり、それが過ぎれば取り立てができないということです。また、更正、決定および賦課決定の除斥期間についても、原則5年であると決められています。定められている除斥期間のうち、国税の納税免除につながる可能性が高いのは、この5年です。
偽りや不正行為などで脱税をしたことによる更正や決定などの除斥期間は、7年間です。意図的に所得を減らすなどの不正行為で脱税をした場合は、この排斥期間7年に該当します。
法定納期限から5年で成立する消滅時効についてですが、消滅時効には中断があります。これは、時効の基礎である事実を覆す別の事実が判明したときに、時効の進行が中断されることです。時効が中断されると、中断後に改めて時効が進行することになります。時効は税務署から更正や決定、賦課決定、納税の告知、督促などがあった場合には中断されることになります。
税務署が税金の滞納を把握していないケースはほぼ考えられず、基本的には時効が成立する前に督促状の送付などがありますので、国税の滞納に時効が成立するケースはほとんどないといって良いでしょう
要するに「時効」というのは海外へ逃亡している期間は「停止」されますので、海外において国税の時効を迎えることも出来ないと思ってください。一度脱税で海外に逃亡すると、多額の納税を行う決心をしない限り、二度と日本に戻って来ることは出来ないという覚悟が必要です。
本投稿は、2024年01月01日 14時07分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。






