オーストラリアでアルバイトする大学生の子
大学生の息子がオーストラリアの語学学校に行く目的で半年の予定で留学しています。アルバイトをしたいようなのですが、税金や社会保険に関してはどのような扱いになるのでしょうか。
税理士の回答

米森まつ美
1 お子様の税金
半年の留学で出国した場合、お子様は1年を経過するまでは「居住者」に該当しますので、国内で得た収入と合わせて確定申告を行うことになります。
なお、アルバイトということは「給与所得」に該当します。日本の企業から支給される給与は所得税が源泉徴収されていますが、外国の企業からの給与は源泉徴収がありませんので、日本での確定申告で所得税を納めます。
ただし、年間の所得金額が48万円以下の場合(給与のみの場合は収入金額103万円)は納税額が算出されませんので特に確定申告義務はありません。
なお、オーストラリアで税金がかかっている場合は、税額控除の対象になると思います。(オーストラリアに税制については、オーストラリアの課税当局にご確認ください)
2 お子様が親御様の扶養に入るか否か
お子様が扶養に含まれるか否かの所得の判断は「合計所得金額48万円以下」であるため、給与の収入金額が103万円以下の場合は扶養となります。
なお、国外居住者の場合は国外送金などの証明が必要なりますが、お子様が居住者に該当する場合は、特にそのような証明は必要ありません。
3 社会保険
扶養の判断は、130万円が目安のままになります。
なお、国外転出届出書を提出するか否かにより、本人の納付義務などが変わると聞いています。
国民年金などは、転出届出書を提出すると納付義務はなくなりますが、その分支給額が減額されます。
健康保険などは加入したままにできる思いますが、社会保険に関しては社会保険労務士先生のお仕事の範疇であり、税理士の専門外であるため親御様の会社で加入している健康保険組合の担当者の方にご確認ください。
とても分かりやすいです。ありがとうございます。
以下の箇所ですが、息子に質問されてうまく説明出来なかったので、
>年間の所得金額が48万円以下の場合(給与のみの場合は収入金額103万円)
二十歳の子でも分かるようなかみ砕いた説明をいただけますと幸いです。
よろしくお願い申し上げます。

米森まつ美
所得税法では、所得をその正確により区分し、各所得ごとに計算方法が異なります。
例えば
事業所得は
収入金額 - 必要経費 =事業所得
給与所得は
給与の収入金額 - 給与所得控除額 最低 55万円 = 給与所得の金額(マイナスの時は0円)
それら所得の合計を「合計所得金額」と言います。
扶養の条件のうち所得要件は「合計所得金額が48万円以下」となっていますが、アルバイトやパートのような「雇用契約=給与所得」の場合で、その所得しかない場合は
給与収入103万円 ー 給与所得金額55万円 = 48万円 給与所得金額となります。
いわゆる「103万円の壁」と言われる扶養の目安となります。
また、所得金額にもよりますが、
基礎控除という控除額が48万円あります。
基礎控除は、扶養控除や配偶者控除、社会保険料控除などのような「人的控除」の一つとなります。
所得税の計算は
合計所得金額 - 人的控除額 = 課税所得金額
課税所得金額 × 税率(-控除額)※ =所得税額
所得税 × 102.1%(復興特別所得税)=年税額 となります。
※税率などは課税所得金額やにより異なります。
そこで、合計所得金額が48万円以下の場合は所得税額が算出されませんので申告義務はないことになります。
ただし、住民税の申告は残ることになります。
国内のアルバイトなどの場合は、会社が「給与支払報告書」をお住いの市区町村に提出しているため申告は必要ありませんが、国外のアルバイト先はそのような報告をしていませんので申告をする必要があります。
なお、住民税の基礎控除額は45万円のため、所得金額が48万円以下の場合でも所得割の税額が算出されます。
本投稿は、2024年03月23日 15時58分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。