年金共済の名義変更
年金共済の名義変更について
現在、以下の内容の年金共済があります。
共済契約者:母
被共済者:娘(私)
年金受取人:共済契約者(母)
共済掛金:500万円(母が500万円全額支払い済み)
毎年100万円(変動型なので10~20万円程+になる可能性あり)を
「私(娘)」が65~70歳までの5年間、「共済契約者である母」が受け取るものです。
この年金共済の共済契約者と受取人を私(娘)に変更する場合は、
贈与税等は発生するのでしょうか?
また、名義変更の際に発生しなくても、いずれ何らかの形で贈与税が
発生するのであればそれについても教えてください。
よろしくお願いいたします。
税理士の回答

鈴木洋輔
契約の変更に伴い、税金が発生してしまうのは注意したいですね。
受取人を娘様に変更した時点では、
贈与税は発生しません。
次のように、実際にお金を受取る権利が確定した時に
贈与税や相続税が発生します。
■実際に年金の受給が開始される時(娘様が65才になった時)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
受取人を娘様に変更した場合、
受け取る年金の総額([100万円+α]×5年分)
に対して贈与税を計算するとお考えください。
年金受け取り初年度に「年金受給権」で贈与税を計算するため、
毎年110万円の贈与税の非課税枠が
5年間使えるわけではないことにご注意ください。
■お母様がお亡くなりになった場合
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
お母様がお亡くなりになった際、
契約者をお母様から娘様等に変更することになると思います。
その際、500万円相当の権利を相続により受け取る事になるため、
相続税の課税対象となります。
この際、相続税の非課税枠(500万円×法定相続人の数)は
使えないことにご注意ください。
ご参考になれば幸いです。
ご回答ありがとうございます。
「この際、相続税の非課税枠(500万円×法定相続人の数)は
使えないことにご注意ください」について確認させてください。
相続税の非課税枠について、「基礎控除3,600万円+600万×法定相続人の数」
と認識しており、これ以下であれば相続税がかからないと思っていたのですが
そうではないということでしょうか?
よろしくお願いいたします。

鈴木洋輔
追加のご質問ありがとうございます。
相続税には、いくつかの非課税枠がございます。
①基礎控除
ご記載いただいた基礎控除は
相続の際(亡くなったタイミングで)、
必ず受けられるものです。
「3,000万円+600万×法定相続人の数」以下であれば
相続税はかかりません。
②生命保険の非課税
相続人が「死亡に伴う」保険金を
受取った場合に適用できるのが、
生命保険の非課税という枠です。
こちらは、上記の基礎控除とは
別のものになります。
「500万円×法定相続人の数」
ポイントは、
『死亡に伴い』保険金が支払われる場合に
非課税枠が利用できるという点です。
いわゆる死亡保険金が代表的なもので、
「死亡を原因」に保険金が支払われる場合には
非課税の適用が受けられる見込みがあります。
今回のように、
「一定の年齢に達した」場合に
年金を受け取れるようなケースでは、
お母様が亡くなったとしても
保険金の給付されるわけではありません。
契約者が変更になるだけですので、
非課税枠は使えない事になります。
一方で、お母様から契約を引き継ぐと、
総額500万円を受け取れる権利を
得ることになります。
そのため、年金の権利については
相続税の課税対象となることに注意が必要です。
保険や共済は相続税・贈与税と密接に絡んでいて
やや複雑に感じるかもしれません。
損の無いようにご計画いただけると幸いです。
ご参考になれば幸いです。
ご回答ありがとうございます。
度々申し訳ありませんが、理解があっているか確認させてください。
今回のケースでいうと、死亡に伴い契約者を私(娘)に変更した場合、相続税の課税対象となりますが、
母のすべての財産(住居、貯蓄、今回の年金共済)が「基礎控除3,600万円+600万×法定相続人の数」を下回る場合は相続税はかからない、という認識でよろしいでしょうか?
また、「死亡に伴い支払われる保険金」については、相続には含まれず、
別途「500万円×法定相続人の数」で計算するということでしょうか?
どうぞよろしくお願いいたします。

鈴木洋輔
複雑な計算内容ですよね。
ご記載いただいた理解が合っているか、
順にお伝えいたします。
※前提として、生前に名義変更はせず、
ご質問者様が65歳になる前に
お母様の相続が発生したケースでお答えします。
> 死亡に伴い契約者を私(娘)に変更した場合、相続税の課税対象となりますが、
⇒ ご記載の通りで合っています。
> 母のすべての財産(住居、貯蓄、今回の年金共済)が「基礎控除3,600万円+600万×法定相続人の数」を下回る場合は相続税はかからない、という認識でよろしいでしょうか?
⇒考え方は、ご記載の通りで合っています。
ただし、基礎控除の最初の数字は
3,600万円ではなく、
3,000万円です。
> 「死亡に伴い支払われる保険金」については、相続には含まれず、
別途「500万円×法定相続人の数」で計算するということでしょうか?
⇒「死亡に伴い支払われる保険金」も相続財産には含まれます。
この共済とは別に、
「死亡に伴い支払われる保険金」がある場合、
プラスの財産として保険金を計上したうえで、
マイナスの効果として「500万円×法定相続人の数」を
差し引くという計算になります。
わかりにくく申し訳ございません。
ご参考になれば幸いです。
大変わかりやすく丁寧にご説明いただきありがとうございます。
つまり、母のすべての財産(住居、貯蓄、今回の年金共済)+「死亡に伴い支払われる保険金」=相続税にかかわるすべての相続財産となり、ここから
「基礎控除3,600万円+600万×法定相続人の数」と「500万円×法定相続人の数」を差し引いた額に相続税がかかる、という認識でよろしいでしょうか?
度々申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願いいたします。

鈴木洋輔
かなりご理解いただけているかと思います。
母のすべての財産(住居、貯蓄、今回の年金共済)+「死亡に伴い支払われる保険金」=相続税にかかわるすべての相続財産となり
⇒ご記載の通りで正しいです。
「基礎控除3,600万円+600万×法定相続人の数」と「500万円×法定相続人の数」を差し引いた額に相続税がかかる、という認識でよろしいでしょうか?
⇒考え方としてはご記載の通りです。
再度のご案内になってしまい恐縮ですが
基礎控除は
「基礎控除3,600万円『三千六百万円』+600万×法定相続人の数」ではなく
「基礎控除3,000万円『三千万円』+600万×法定相続人の数」となります。
ご参考になれば幸いです。
基礎控除(3,000万円)の記載について、ご指摘していただいていたのに
何度も間違えてしまい失礼いたしました。
また、何度も質問にお答えいただき本当にありがとうございました。
とてもわかりやすくご説明いただいたおかげで十分に理解することができました。
本当にありがとうございました。

鈴木洋輔
回答にご満足いただけたようで良かったです。
本論からはずれる
細かすぎる注意事項は
省略していますので、
実際に相続が発生した際には、
税理士等の専門家に
ご相談頂くのがよろしいかと思います。
基礎控除については、
きっとコピペかな…と思いつつも
指摘せざるを得ない部分でしたので
お伝えさせていただきました。
度々のご指摘で不快に思われましたら申し訳ありません。
どうぞよろしくお願いします。
本投稿は、2024年07月15日 20時06分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。