源泉徴収を引かれていたのに...
私は報酬を受けとっている個人事業主です。
毎月、10.21%の源泉徴収を引かれています。
仮に、源泉徴収義務者が源泉徴収をポケットに入れて納税しないまま廃業したとします。
その場合、この源泉徴収税は未納のままという事になると思うのですが、私が確定申告をした場合、すでに引かれた源泉徴収税も私が支払わなければいけないのでしょうか?
税理士の回答

米森まつ美
源泉徴収された所得税(源泉所得税)が、仮に未納(滞納)であったとしても、貴方が当該源泉所得税を納税する必要はありません。
源泉所得税の徴収・納税義務は「源泉徴収義務者と国(徴収権)」の関係であり、貴方の所得税の申告納税義務は「貴方と国」との関係になるため別な法律が適用されます。
この「所得税」としては関連性はありますが、それぞれ別の法律による納税義務となりますので、源泉徴収義務者が未納(滞納)した源泉所得税に対して、貴方(報酬の支払いを受けた者)に納税義務が生じることはありません。
もしも納税義務を有するとした場合は、支払を受けた者が二重に所得税を納めることになりますので、そのようなことはありません。
また、仮に源泉徴収義務者が源泉徴収すべき所得税を徴収せずに報酬等を支払った場合、国は源泉徴収義務者に「徴収・納税すべき」源泉所得税を請求(告知等)しますが、直接国が支払いを受けた者に源泉所得税を請求することはありません。
この場合、源泉徴収義務者は国に納税義務を有しますが、源泉徴収義務者は支払いを受けた者に対しては当該源泉徴収すべき所得税を回収する権利が生じます(債権・債務として)
この場合も、それぞれの権利や義務の法律は別になっています。
なお、既に報酬の支払いを受けた者が確定申告済みの場合は、「更正の請求」又は税務署からの「職権による減額更正」により、多く納めたことになる源泉所得税額分を還付することになります。
米森先生
ご丁寧に説明いただき、有難うございます。
源泉徴収支払い者が納税していなかった場合、支払い調書も国へ提出していないのでしょうか?
支払い調書のフォーマットをネットで見てみると、源泉徴収税額を書く欄があるので気になりました。

米森まつ美
支払調書は、提出基準に該当している場合には提出する「義務」があります。
ただし、義務ではありますが提出しているかどうかは分かりません。
源泉所得税を納付していない源泉徴収義務者であれば、それらの義務も履行しているかどうか疑義は生じますが、一概には言えません。
蛇足ですが、源泉徴収票と異なり源泉徴収義務者は支払調書を、報酬を受け取った者に対し交付する義務はありません。
本投稿は、2025年09月30日 15時54分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。