海外長期出張に係る所得税及び住民税について
会社員で日本の会社に所属しておりますが(海外法人や現地事務所への出向ではない)、期限の定めのない長期海外出張をしております。
元々数ヶ月程度の出張の予定でしたが、案件の長期化により、3~6ヶ月に一度の2週間程度の帰国はありますが、予定外に海外居住が1年以上となっております。
予定外であった為、住民票の異動等の手続きができておらず、所得税、住民税は日本の居住者として支払っておりますが、予定の変更により非居住者となった場合に、税金の還付申告等は可能でしょうか?
なお、扶養家族は引き続き日本に居住しています。
ご回答よろしくお願いいたします。
税理士の回答

米森まつ美
当初期間が1年以内又は期間の定めが不明の場合で海外赴任等であった個人が、1年を超えて海外に住所又は居所を有することとなった場合は「非居住者」になります。
非居住者になった時に、貴方の収入が日本の会社等から支給される給与所得のみであった場合などは、非居住者になる日に年末調整を行い、居住者として課税された「給与」に対し年末調整を行うこととなります。
それとは別の所得などがあり確定申告をしている方は、納税管理人を選任し、その届出をして確定申告のよる精算を行うこととなります。納税管理人を立てない場合は、出国の日の前日までに確定申告をすることになります。
ただし、貴方のように出国後「非居住者」となる場合は、速やかに納税管理人の届出書を提出することになります。
住民票がそのままの状態であっても、その年の1月1日に非居住者に該当する時は、住民税は課税されないはずですが、その際の届出関係は市区町村に確認してください
納税管理人の選択に関して詳しくは、国税庁HPを参照してください。 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1923.htm
ご回答ありがとうございます。下記二点について追加でご教示頂けますでしょうか?
2017年の8月末よりほぼ海外居住となっております。遡及して非居住者として税金の還付申告する場合にどのような手続きが必要でしょうか?
また、年末年始は帰国しており、2018年、2019年も1/1は日本にいます。その場合でも住民税は非居住者扱いとなりますでしょうか?
お手数ですがご教示頂けますと幸甚です。

米森まつ美
国内の会社勤務をされている給与所得者で、確定申告をしていないとの前提で説明します。
最初の説明によると、数か月の長期出張であったことから、2017年の8月の出国時点では居住者となります。
その後、非居住者になった日を確認してください。
① 案件に伴い出張期間が1年を超えて、国外に居住することになった場合・・・・勤務期間が1年を超えることが明らかになった日(出張命令等により確認)より、非居住者
② 特に命令等は無い物の、結果として1年を超えて、国外に居住していた場合・・・・1年を経過した日から非居住者
【所得税について】
上記の、非居住者となった日を基に、勤務先(給与の支払者)にて「年末調整」をやり直します。
また、居住者として課税されていた部分は、誤りであったとして、勤務先は、年末調整のやり直し分も含めて、所轄税務署に「誤納還付請求書」を提出し、源泉所得税の還付を受けることになります。(ただし、貴方が役員の場合は源泉所得税の納付が必要になる可能性もあります。)
貴方は、勤務先をつうじて所得税の還付を受けます。
なお、一度税務署に相談され、居住者・非居住者となる日を確定してから、誤納還付請求をされることをお勧めすると、勤務先の方にお伝えください。
【住民税について】
勤務先は先に提出した「給与支払報告書」の訂正を行います。
住民税においても、非居住者であった期間の1月1日は仮に一時帰国していたとしても「国内に住所を有していない」ことになりますので、納税義務はありません。
しかし、住民票がそのままであったこと、勤務先から市区町村に提出された「給与支払報告書」により、居住者として課税されていたと推察されます。
そこで、先の所得税の訂正等に基づき「給与支払報告書」の訂正をすることで、還付になると思われますが、念のため市区町村に確認されたほうが良いと思います。
勤務先経由で還付となるか、直接の還付になるのか又はなにか申請が必要となるかは各市区町村にて取扱いが異なると思われます。
居住者・非居住者の考え方は、国税庁のHPを参考にしてください
「居住者・非居住者の区分」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2875.htm
海外に転勤した人の源泉徴収
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2517.htm
丁寧にご説明ありがとうございました。会社の経理部門に確認するように致します。

米森まつ美
ベストアンサーをありがとうございます
税務署では7月10日が定期異動のため、異動後に相談されることをお勧め致します。
また、総合窓口での相談ではなく、事前予約の上、なるべく誤納還付の内容審査をしている源泉所得税担当の職員と相談される方が、その後の流れもスムーズになります
なお、居住者、非居住者の判定は、国内法だけではなく、租税条約も関係します 出国日や辞令等も判定のために必要となると思います。
本投稿は、2019年06月26日 23時12分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。