税理士ドットコム - [税金・お金]外国で採用、日本で仕事をする外国人の税務について - ご主人は、既に日本の居住者であると推察できます...
  1. 税理士ドットコム
  2. 税金・お金
  3. 外国で採用、日本で仕事をする外国人の税務について

外国で採用、日本で仕事をする外国人の税務について

配偶者ビザを取得し日本在住のイギリス人の主人について相談です。
今回母国イギリスにある企業での採用が決まりましたが、このまま日本を拠点に日本とアジアの国などへ出張しながら仕事をする予定です。(日本支店等は無く、彼一人が日本にいます。)

企業の方からは、雇用形態として
① 現地採用の正社員(としてイギリスにて税なども給料から引かれる)
② 請負契約という形で(税は引かれないので、こちらで全て行う)
の2種類から選ぶように言われております。
給料は、UKポンドで、イギリスか日本の銀行口座どちらか選び振込にて支払いが可能とのことです。

彼は永住権はありませんが、過去10年中、イギリスに帰国した時期もありましたが、トータル4年10ヶ月ほどは日本に居住しております。

今までずっと日本にある企業に勤めており、確定申告などをしたことがないので、
①の方が、正社員として雇用される分より安心で税も給料から引かれるので楽かなと感じているのですが、二重で納税した分が、租税条約によりどこまで還付されたり免除になるのか、損をしたり手取りが少なくなるのでは無いかとも感じます。

現実的に考え、どちらの形態の方がメリットが大きいのでしょうか?

税務の知識に乏しい私達では決めかねてしまっています。長々と恐縮ですが、アドバイスをいただけますと幸いです。

税理士の回答

  ご主人は、既に日本の居住者であると推察できます。
  仮に①の契約であったとしても、日本での申告納税は必要となります。所得区分は「給与所得」となります。
  なお、イギリスでの税金は二重課税となるため「外国税額控除」の対象となります。
  ②の場合、ご主人は「個人事業主」としての、申告納税が必要となります。所得区分は「事業所得」となりますので、申告以前に開業届出書の提出や青色申告の承認申請書の提出が必要となります。

 外国税額控除は、外国で納税した税額すべてが控除の対象とはなりませんが、①の給与所得であった場合は、給与所得控除により、所得計算は簡易であるといえます。
 ②の事業所得の場合は、その利益を得るために係った費用は「必要経費」として控除でき、また、青色申告の場合は10万又は65万の青色申告控除が適用できます。もちろん所得の計算には帳簿付けなどの手数がかかります。
 なお、給与所得の場合、日本の給与の支給と合計して1,000万円を超えた場合は一律、2,200,000円のため、これらも参考にされてはいかがでしょうか。

 【日英租税条約について】
 非居住者は人的役務の提供(給与含む)については、人的役務提供を行った地において課税できると規定されています。
 日本で居住者であった場合は、英国では非居住者になると思いますので、その点において「①」の場合、英国でも課税できる根拠が不明です。
 ただし、日本では、租税条約が国内法より優先されますが、米国などは租税条約と国内法が同列若しくは国内法が優先されるようです。グリーンカード取得者は、どこの国に居住していても、米国の申告納税が義務付けられているそうです。
 そこで、英国の税法がどのような規定となっているかは分かりませんが、仮に同じ所得に対して二重に課税されている場合は、先の説明のとおり、「外国税額控除」の対象となると考えられます。

 国税庁HPから外国税額控除の説明を添付しました。参考にしてください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1240.htm 

請負契約のほうが税金、社会保険がシンプルでいいように思いました。
支店などもないということなので、日本でイギリスの会社の正社員でいるメリットはほとんどないと思います。

早々にアドバイスをくださいましてありがとうございました。
知識がないので大変参考になりました。

重ねて申し訳ありません。
控除などのことを考え、請負契約として勤務する方向になり、個人事業主として開業届や青色申告の申請などをする予定でおります。

請負契約ですが、一応年俸?は決まっていておそらく12等分して毎月振り込まれ、毎年1回成績によってはボーナスのようなものも出るようです。

先日いただいたご回答で、所得区分は事業所得になるとのことでしたが、イギリス企業との請負契約書や毎月振り込まれる給料の明細なども、開業申請時や確定申告時に提出する必要がありますでしょうか?

よろしくお願い致します。

  開業届出時、確定申告時には契約書などの資料の添付は不要となります。

 なお、青色申告をされる事業者の方は、確定申告書に青色申告決算書を添付することになります。
 また、青色申告事業者は、帳簿の作成(記載)と、書類の保存が必要となります。

 青色申告制度について、国税庁HPを参考にしてくださいhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2070.htm

 青色申告決算書の様式も添付いたします。参考にしてください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/yoshiki/01/shinkokusho/pdf/h28/10.pdf

本投稿は、2019年08月03日 08時32分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

この税務相談の書き込まれているキーワード

この相談に近い税務相談

税金・お金に関する相談一覧

分野

人気のエリアの税理士事務所

税金・お金に関する他のハウツー記事を見る

みんなの税務相談

税理士の無料紹介サービス

プロが税理士を無料でご紹介いたします

  • 相談無料
  • 全国対応
  • 24時間受付
税理士紹介サービスの詳細はこちら
累計 相談数
158,291
直近30日 相談数
687
直近30日 税理士回答数
1,303