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住民票なし、一時帰国中の日本でのフリーランス収入への課税について

海外在住で、現在日本へ一時帰国しています。

昨年夏に、最低でも1年半〜期間未定の数年単位で海外に移住する予定だったことから、住民票を抜いて出国いたしました。

夏から保有していた滞在先韓国の学生ビザが期限を迎え、次にワーキングホリデービザに切り替える手続きで、3月に2週間程の予定で日本に一時帰国しましたが、取得したビザがコロナ対策の制限で無効化され、出国予定日を過ぎ現在韓国へ戻れずに日本に滞在したままになっています。

このワーホリビザの期限が切れる前には、就労ビザなどを取得してそのまま海外にいる予定でしたので、今回の一時帰国で日本へ住民票を戻す予定はありませんでしたが、再申請したビザの審査に大幅に時間がかかっており、日本での滞在期間がどんどん長くなってしまっています。
現在審査待ちのビザがおり次第(未定)すぐ韓国へ戻る予定なので、住民票を戻すにはその他国保などの手続きや支払いも伴うため躊躇しています。

そこで質問ですが、
• このまま住民票を戻さずに、ビザがおりるまで待機していても問題ないでしょうか?
• 期間未定の海外移住は住民票を抜いた時点で「非居住者」として定義されると見たのですが、合っていますでしょうか?
• 現在のビザ審査待機中に、フリーランスでのライティング・デザインの仕事が発生しそうです(開業届は出していません)。この場合、仕事の依頼者(給与支払者)に対しては、私が「非居住者」として、源泉徴収税と消費税はかからないため含めないようにお願いすべきなのでしょうか?
• それとも、そもそも「非居住者」ではあるものの、この一時帰国中に作業をすると実際の作業場所が国内のため、オフィスはないものの恒久的施設(PE)があると判断され、両方納税が必要になるのでしょうか?
• もしくは、「非居住者」という解釈は合っていて、「海外在住者(非居住者)の国内収入」として源泉所得税20.42%がかかるのでしょうか?

また、自分で調べた所、
• 海外にいてもライターやデザイナーへの報酬については「著作権使用料」として国内源泉所得となり源泉徴収が必要とされる可能性が高い
• 結婚移民や永住権などといった「完全なる韓国市民としての権利」がない状態では、引き続き「日本」への納税が必要
などの情報も見かけました。

取引先とどのような取り決めをすべきか、ご助言頂けますと幸いです。

税理士の回答

状況を読ませていただいた限りでは、ビザの取得のために日本に一時帰国されたにもかかわらず、コロナの影響で日本での滞在が長くなっており、ビザの審査が下り次第、韓国にも戻られるということだと思います。

質問についての回答ですが、最初の質問は住民票の件ですので、税法の分野とは異なるのですが、一時帰国であれば、住民票を戻すということにはならないのではないでしょうか。一般的に、海外の駐在員が日本に出張で来ている場合、住民票を戻すことはないと思います。

二つ目の質問ですが、税法上の居住者、非居住者の区分は、「国内に住所を有する個人又は現在まで引き続いて一年以上居所を有する個人」と規定されています。更に、通達では、住所は生活の本拠をいい、生活の本拠であるかどうかは客観的事実によって判定するとあります。結局、税法では住民票のありなしや滞在日数などで一律に居住者と非居住者を線引きしているのではなく、生活の本拠がどこにあるかで個別に判断するということになります。これまでの経緯で考えますと、韓国に住所(生活の本拠)があり、日本にはビザの更新のため一時帰国(ホテル又は実家等で一時的な仮住まいでの生活)されたと考えられますので、韓国の居住者、日本の非居住者ではないかと考えます。

三つ目の質問については、仕事の依頼者には、韓国に生活の本拠があり、日本には一時帰国されていることを伝えられればと思います。業務の内容によっては、消費税はかからなくても源泉所得税はかかることがありますので、依頼者の経理担当とお話しされてはどうかと思います。

四つ目の質問については、前提が非居住者の場合、恒久的施設の有無の検討が必要かと思いますが、あくまでも、一時帰国ということであり、国内の滞在がホテルやその他の場所であるとしても、業務を行うための場所でないということであれば、恒久的施設とはならないのではないかと考えます。日本居住者ではない場合、日本での申告は不要ですが、源泉所得税を引かれる可能性はあります。韓国での申告で日本の源泉所得税を調整することができると思います。

『もしくは、「非居住者」という解釈は合っていて、「海外在住者(非居住者)の国内収入」として源泉所得税20.42%がかかるのでしょうか?』
上記について、業務の内容によっては、ご理解のとおりで結構かと思います。

『海外にいてもライターやデザイナーへの報酬については「著作権使用料」として国内源泉所得となり源泉徴収が必要とされる可能性が高い』
上記について、使用料となるのか、人的役務の提供に対する報酬かは分かりませんが、国内源泉所得となり、ご理解のとおり源泉徴収が必要とされる可能性が高いと思います。

『結婚移民や永住権などといった「完全なる韓国市民としての権利」がない状態では、引き続き「日本」への納税が必要などの情報も見かけました。』
上記について、どのような所得があるかにもよりますが、日本人で海外居住者である場合、かつ、日本国内源泉所得がない場合は、日本での納税は発生しないと思います。

取引先とは、韓国居住者か日本居住者かどちらかを最初に確定させることが必要です。居住者、非居住者の区分は、線引きが難しいため、質問者様が生活の本拠をどこにされているかを考えられるとともに、それが韓国であり、日本には一時帰国されているだけという認識であれば、韓国居住者ということでお話を進められればどうかと思います。

行方先生、お礼のお返事大変遅くなりました。
複雑な状況説明にもかかわらず、とても詳細なお返事頂き感謝しております。ありがとうございます。
大変心苦しくも、調べれば調べるほど混乱してしまって…
頂いたご回答に対してご質問なのですが、

【 ※ 前提:韓国の居住者、日本の非居住者とした場合】

① 依頼者の経理担当と相談の際、「業務の内容によっては、消費税はかからなくても源泉所得税はかかることがあります」の点について、※の為、<消費税は一律でかからない>、<源泉所得税は場合による> というお話から始めれば良いということで合っていますか?

② また、日本の非居住者と前提していたとしても、上記の <場合によって源泉所得税がかかる> というのは、基本的に何が要因でかかる、かからないが決まるのでしょうか?
(非居住者の場合は一律で源泉所得税が発生しないと思っていたのですが、業務によっては「国内源泉所得」として日本で所得税を支払うことがあるということでしょうか?その業務の線引きが分からないのですが… 例えば「マーケティングコンサルでメールや電話などやり取り」や、「ウェブサイトのデザインを作成し納品」等の場合は「国内源泉徴収」の対象となりますか?その場合は、居住者の10.21%ではなく非居住者の課税で20.42%ということですか?)

③ 「日本居住者ではない場合、日本での申告は不要ですが、源泉所得税を引かれる可能性はあります」というのは、上記②の国内源泉徴収の対象となる業務を行った場合でしょうか?何か最初の依頼者との契約の際、徴収を回避する取り決め方法はありますでしょうか?

④ 仮に、非居住者の課税20.42%がかかった場合(?)、日本での確定申告は不要であるが、代わりに韓国での申告が必須になるということですか?また、これにより韓国でも加えて納税することになるため、この20.42%の税について「租税条約に関する届出書」提出で減免できたり、後からも還付申請ができると拝見したのですが、具体的にどういった仕組みでどのような手続きが必要なのでしょうか…

長文大変恐縮なのですが、何卒宜しくお願い致します。

消費税の課税対象となる取引は、次の4つの条件を満たす取引となります。
1 事業者が事業として行う取引であること
2 国内において行う取引であること
3 資産の譲渡等(資産の譲渡、資産の貸付け、役務の提供)であること
4 対価を得て行うもの
「2」については、役務の提供の場合、役務の提供が行われた場所が国内であれば、国内取引になります。取引の詳細が分かりませんので、この辺りは例えになりますが、韓国居住者が、日本において役務の提供を行う場合は消費税の課税対象となります。韓国居住者が、韓国において役務の提供を行う場合は消費税の課税対象とはなりません。

源泉所得税については、非居住者でも対象となる取引については課税されます。
こちらも契約や役務の提供の内容が分かりませんので、詳細は説明できませんが、例えば、①人的役務の提供事業の対価、②使用料等、休養等の人的役務の提供に対する報酬等を受領される場合、日本で源泉所得税が課税されます。次の国税庁のウェブサイトの(4)、(9)、(10)を参考にしてください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2878.htm

ご質問の『韓国居住者の為、<消費税は一律でかからない>、<源泉所得税は場合による> というお話から始めれば良いということで合っていますか?』、この点については、役務の提供の内容と契約がスタートですので、どの話から始めるかということは一概には言えないと思います。
つまり、役務の提供の内容と契約が固まれば、その取引に応じて、消費税と源泉所得税の扱いが決まることになります。

それぞれの質問にボリュームがありますので、1件ずつ回答させていただきます。

②について
『非居住者の場合は一律で源泉所得税が発生しないと思っていたのですが、業務によっては「国内源泉所得」として日本で所得税を支払うことがあるということでしょうか?』
上記については、お考えのとおりです。
前回の回答で示しましたリンクのとおりになります。

実際に業務の線引きは難しいところです。
例えば、国内源泉所得の対象となる取引には次のようなものがあります。
国内において行う人的役務の提供を主たる内容とする事業で(所令282)、経営管理その他の分野に関する専門的知識又は特別な技能を有する者の役務提供の対価は、国内源泉所得とされます。マーケティングコンサルがこれに該当するかということを業務の内容(契約)によって検討しなければいけないことになります。この場合の税率は、お考えのとおり20.42%になります。

③について
こちらもお考えのとおりで②の業務を行ったときとなります。
源泉徴収を回避するというのは、取引を源泉徴収されないような形で契約することになりますが、この点については個別具体的な話となり、契約の内容にかかわることになりますので、例で示すことは難しいため、実際に仕事の依頼者と税理士を交えて検討していただければと思います。

④について
非居住者に対する課税関係の概要のリンクになります。
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/23/01.htm
所得の種類が①から⑯まであり、「源泉徴収の上、総合課税」に該当すれば、日本でも確定申告の必要があります。

日本非居住者の場合、一般的には、韓国で申告の義務があると考えられますが、韓国の税法によりますので、最初に韓国の居住者に該当するかを検討する必要があります。どの国の居住者になるかは各国の法律で定められていますので、場合によっては、両国で居住者とされる場合や両国で非居住者とされる場合もあります。

租税条約に関する届出書についてのリンクになります。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2888.htm
すでに確認されているかもしれませんが、手続きの詳細については、実際の取引内容が確定しましたら、税務署に問い合わせをされればと思います。

二国(日本と韓国)において申告が必要な場合は、外国税額控除という二国間の税額を調整できる制度がありますので、両国で申告する必要があっても、二重に課税されない仕組みで税額を調整することができます。

本投稿は、2020年04月06日 19時39分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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