融資に有利な決算書の作り方やポイントをわかりやすく解説 - 節税や実務に役立つ専門家が監修するハウツー - 税理士ドットコム

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融資を有利にする決算書のポイントをわかりやすく解説

決算書は融資に大きく影響する

会社にとって現金は必要不可欠なものであり、血液にたとえられたりします。

しかし、事業を行っていると100%自己資本ですべて賄っていくのはかなり困難です。事業には設備投資や日々の仕入・経費支払などで、どうしても入金よりも出金が先立ちますし、タイミングをとらえて設備投資に踏み切れなければ、事業はなかなか拡大・安定しません。

そのため、多くの企業は金融機関などから資金調達を行いますが、金融機関も事業として貸付を行っているため、貸倒れを防ぐためにさまざまな点をチェックします。その中で、特に大きなチェックポイントとなるのが、融資先の決算書です。

「決算書」とは財務用語では「財務諸表」といわれ、企業が株主をはじめとした利害関係者に対して一定期間の経営成績や財務状態などを明らかにするために作成する書類です。

内容的には、「貸借対照表」「損益計算書」「株主資本等変動計算書」「キャッシュ・フロー計算書」といったものが含まれます。金融機関はこれらの財務諸表から企業の収益力や借入金の返済余力を判断しているのです。

貸借対照表のチェックポイント

貸借対照表

貸借対照表は「B/S(Balance Sheet)」とも呼ばれ、決算日現在における財政状態を示すものとなります。

記載は大きく分けて3つの区分があり、会社の財産の内訳である「資産」、会社が支払わなければならない「負債」、会社に返済義務のない「純資産」などを読み取ることができます。

以下、貸借対照表でチェックすべきポイントを順を追ってみていきましょう。

純資産

会社の資産総額から負債総額を差し引いた金額が純資産です。ざっくり言うと、純資産は株主からの出資金と事業活動から得た利益の蓄積などを表しています。

定義によって厳密には多少異なりますが、資金調達の分類において、返済の義務がない部分として一般的に言われる自己資本と同一と考えて差し支えありません。

この純資産がマイナスになっていると、資産よりも債務が上回っている状態となるため、融資判断という点では非常に不利になります。

自己資本比率

自己資本比率とは総資本に対する自己資本の比率のことで、会社の財務的な安全性を表す指標といわれます。

自己資本比率(%)=純資産÷資産 × 100

自己資本比率が高ければ、それだけ財務基盤がしっかりしているといえますが、株式市場から見ると借入などの資金調達を有効に行い、適切に投資が行われているかという点で疑問視されるという側面もあります。

融資判断という面では、自己資本比率が高ければ有利に働きます。また、業種によって異なりますが、40%を超えるようであれば倒産しづらい企業といえるでしょう。

流動比率

「流動資産」と「流動負債」の割合から計算される指標で、会社の短期的な支払い能力を判断する際に使われます。

流動比率(%) = 流動資産 ÷ 流動負債 × 100

流動資産が流動負債よりも多い状態を保つことが融資を有利にするポイントとなり、流動比率が100%を下回っていると、流動負債が上回っているので要注意です。一般的には、120%以上が適切(融資を有利にする)といえるひとつの目安となります。

売掛金

流動資産のうち、掛取引(代金を後払い)で販売した分の売上金額を示している項目が「売掛金」です。

消費者向けの小売業など、現金商売といわれるものは別として、会社間の取引で掛取引を行うことはごく一般的です。しかし、売掛金が月商・年商に対してあまりに多額であれば、売掛金の回収が適切に行われているか疑問を持たれますし、場合によっては粉飾決算を疑われ、融資の際不利になりかねません。

棚卸資産

棚卸資産とはいわゆる在庫のことです。

小売業では仕入れた在庫が主に計上されますが、製造業であれば、完成品だけではなく使用前の原材料や製造途中の仕掛品なども計上されます。しかし、月商・年商に対して多すぎる在庫が計上されていると、将来の販売可能性や、場合によっては粉飾決算を疑われる可能性があります。

もちろん、一概に在庫が多いことが悪いというわけではありません。ただし、売上の増加とともに在庫が増加している、または取引先の要望で一時的に在庫が増えているが確度の高い販売計画があるなど、現実の経営計画とリンクした相応の理由を示せるようにしておくことが重要です。

借入金

借入金とは読んで字のごとく、金銭の借り入れにより生じる債務のことです。当然、借入金が少なければ融資判断において有利になります。

借入金の適正水準は事業の形態に異なりますが、一般的には借入金の返済財源は「減価償却費 + 税引き後利益」の合計額となるため、毎年の返済額がこの枠内に収まり、かつ5年程度で返済できる金額というのがひとつの目安といえます。

損益計算書のチェックポイント

損益計算書

損益計算書は「P/L(Profit and Loss Statement)」とも呼ばれ、一定期間における企業の経営成績、すなわち収益と費用の状態を表しています。

具体的にはその事業年度における会社の売上や売上原価、人件費やその他経費の金額が記載されており、収益と費用の差額である「利益」が明らかになっています。

利益の中にも、どの段階の数字かで次のとおりいくつか種類があります。

  • 売上総利益:「売上高 ー 売上原価」で計算されます。1年間の粗利益を集計したもの
  • 営業利益:「売上総利益 ー 販売費及び一般管理費(販管費)」で計算されます
  • 経常利益:「営業利益 +(営業外収益−営業外費用)」で計算されます
  • 税引前当期利益:「経常利益 +(特別利益−特別損失)」で計算されます
  • 当期利益:「税引前当期利益 ー 法人税等の各種税金」で計算されます

単に赤字、黒字といってもどの段階の利益かによって意味は変わってきます。たとえば「粗利」と言われる売上総利益が赤字であれば、原価が売り上げを上回っており事業としてはうまくいっていないことを意味しているため、融資判断という点では厳しいものになります。

このうち、特に融資の可否を左右するのが「営業利益」「経常利益」です。

営業利益

売上総利益から、原価以外に発生する販売や管理に関する費用を引いた利益です。

営業利益は本業による利益と考えられ、ここが黒字であれば健全なビジネスと言えます。なお、売上高営業利益率といって、営業利益の売上高に対する割合を算出することで、会社の収益力を図る指標もあります(売上高営業利益率=営業利益 ÷ 売上高 × 100)。

経常利益

経常利益とは、企業本来の儲けを表すものです。具体的には、受取利息や配当金などで得られる営業外収益と、支払利息、割引料などで支払う営業外費用を営業利益に合算したものとなります。

営業利益率と同様に経常利益率という指標もあり、「経常利益 ÷ 売上高 × 100」で計算されます。営業利益率と同様に会社の収益力を図る指標です。

キャッシュフロー計算書のチェックポイント

キャッシュフロー計算書

キャッシュフロー計算書は、財務諸表の中でも資金(現金および現金同等物)の増減について着目したものになります。

会社法などで要求されているものではなく、上場しているなどの事情がなければ作成する必要がありません。しかし融資の際には「貸借対照表」や「損益計算書」と並んで「キャッシュフロー計算書」も重要視されます。

営業活動によるキャッシュフローとフリーキャッシュフロー

キャッシュフロー計算書は資金の増減を営業活動・投資活動・財務活動に区分して表示していますが、重視されるのは営業活動によるキャッシュフローとフリーキャッシュフロー(「営業活動によるキャッシュフロー」と「投資活動によるキャッシュフロー」の合計)です。

営業活動によるキャッシュフローは、企業活動の本業でどれだけのキャッシュが生み出せたかという観点で重視されます。フリーキャッシュフローは、日々の営業活動に加えて、設備投資などの支出も加味することで、会社が自由に使えるキャッシュを表すことになります。

フリーキャッシュフローは会社の返済力を示すものとして重視されますので、売掛金の早期回収や、固定費の見直しなどフリーキャッシュフローを最大化していくことが、融資はもちろん日々の経営において重要です。

融資に有利な決算書にするためには

基本的に金融機関が決算書をチェックする場合は、複数年の実績の推移を見て判断します。そのため、直近3期分程度は書類の提出を求められます。

また、その際は決算書だけではなく、法人税の確定申告書の提出を合わせて求められます。確定申告書は税務署に提出した控えとなりますが、税理士の記名・押印があれば信用度が高まります

融資に有利な決算書は一朝一夕でできるものではありませんが、目安として以下のようなポイントがあります。

純資産を増やす

純資産が多ければ、それだけ財務体質がよいと判断され、融資の際に有利となります。純資産を増やすには、利益を上げて毎期積み上げていくか、増資を行い資本金を増やすことが一般的です。

利益を積み重ねていくことは、会社経営の王道ですが、やろうと思ってすぐ簡単にできることではありません。

一方増資は、たとえば役員からの借入があれば、それを資本金に振り替えることで、資金調達をせずに純資産を増やすことが可能です。ただし、増資は大きな経営判断であるため、慎重な検討が必要です。また、中小企業において資本金が一定額以上になると税制上の優遇措置を受けられなくなってしまうといったデメリットもあります。

営業・経常利益を増やす

当然のことながら、営業利益や経常利益が多ければ融資判断もそれだけ有利となります。とはいえ、利益を増やすのは簡単なことではありません。

そこで、営業利益や経常利益にフォーカスした改善策として、費用の中で臨時的・偶発的な内容のものについては特別損失として計上するという方法があります。

もちろん、いわゆる非経常的な内容であり特別損失に計上することに妥当性が必要ですが、特別損失に計上することで、当期利益は変わらないものの営業利益や経常利益の数値が改善します。具体的には、固定資産売却損、固定資産除却損、投資有価証券売却損、災害損失などがあげられます。

財務データを自己診断

金融機関には取引先企業の財務データが日々蓄積され、膨大な量となっています。金融機関ではこれらの決算データを分析し、ある程度機械的に審査を行っています。

実際の融資判断において、どのような点数付けを行っているかは、その金融機関により異なってきますが、参考として、書類提出前や融資検討前に自社の財務状況を点検することもできます。

たとえば、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する「経営自己診断システム」であれば、決算書の大まかな内容を入力することで、各種指標を算出し、業界標準と比較した得点を知ることができます。

もちろん、指標を知れば事業がうまくいくというわけではありませんが、経営における目安として、自社の財務状態を把握しておくことは有用です。

「経営計画書」をあわせて提出

財務諸表に記載されているのはすべて会社の過去の数字です。

たとえば、今後会社をどのように経営していくのか、どのような事業を行い、収益を上げていくのか。ターゲットとなる顧客はどの程度見込めるのか、事業のためにどの程度の投資と運転資金が必要になるのか。借り入れた資金はどのような計画で返済していくのかなど、そういった未来の情報は決算書には現れません。

そのため、金融機関に融資を申し込む際には、「経営計画書」「事業計画書」といったものを用意し、将来性をアピールすることが有効です。

融資判断とはつまるところ、貸したお金が回収できるかどうか、ということです。過去の情報だけではなく未来の予定もあわせて伝えることで、金融機関からの信頼を得ましょう。

節税優先の決算書だと融資は通らない

ここまで融資判断という観点で決算書を解説してきましたが、前提にあるのは貸したお金が返ってくるかをみられているという点です。そのため、財務的な基盤がしっかりしており、利益が大きいほうが有利という見方になります。

一方で、節税という観点になると、利益を圧縮するという方向になりがちです。そのため、節税を目的とした場合と、融資を目的とした場合では、決算書の方向性が異なってきます。節税優先というニーズのみで税理士に決算だけを依頼していると、いざ融資を検討しなければならない状況になったときに後手に回ってしまいかねません

決算書の内容はそう簡単に変えられるものではないため、節税や融資といった単一の目的だけではなく、経営という観点で、普段から顧問税理士と意見交換・相談を実施していくことが重要です。

おわりに

融資による資金調達は会社経営におけるひとつの手法です。手段が目的化することは避けなければなりませんが、決算書のポイントを押さえつつ、それを踏まえて経営判断を行っていくことも必要です。

その際には、節税とのバランスも考慮し、税理士などの専門家と意見交換をしながら進めていくことが大切になります。

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