株主割当増資を実施する際の1株あたりの金額について
スタートアップの取締役をしています。
弊社では株主割当増資を検討しています。
現在、1株あたり1000円で410株を発行しており、代表取締役が300株を、そのほかの株主(3名)が残りの110株を所持しています。
株主割当増資では、代表取締役でない株主の1人のみの増資を検討しており、そのほかの株主は辞退する予定です。
元々の株の値段(1000円)で増資(80万円)をした場合、増資を行った者が830株となるため議決権の2/3を占めることとなり、代表取締役の議決権が著しく下がってしまいます。
スタートアップの状態では、代表取締役の議決権が50%を切るのはあまり良くない(株主総会で何も決められなくなる可能性)とされていますので、一株あたりの値段を4000円にして増資をすることで、50%を切るのを防ごうと考えています。
しかしながら、株式の金額をこれまでより高い金額で発行すると、その株を売却した際に得られる金額も減ることで、税務署としても徴収できる税金も減ってしまうため、目をつけられやすく、高い金額で発行するのであれば算定根拠をしっかりと出すべきだという話を聞きました。
しかし、第三者割当てによる投資家やVCからの増資ならまだしも、既存株主がきちんとした算定根拠を持って株式の金額を設定するのは難しく、また今回株式の金額を上げるのは代表取締役の議決権保護が理由のため、算定根拠が直接的な理由になりません。
このような場合、一株あたりの金額をあげて、株主割当増資をすることはできるのでしょうか。増資をする際には、算定根拠を明記すべきなのでしょうか。その際は、どのように算定すれば良いのでしょうか。
長くなってしまいましたが、教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
税理士の回答

藤本寛之
株主割当増資というのは既存株主が引き受ける場合をいいます。今回のご相談は第三者割当増資に該当します。
第三者割当増資の場合、株式の発行価額はその時点での「時価」にて行うのが原則です。
時価よりも低い価格で増資を行った場合、引き受けた株主に対して、その他の株主からの経済的利益の移転(贈与)が生じます。反面、時価よりも高い価格で増資を行った場合、引き受けた株主からその他の株主に対して経済的利益の移転(贈与)が生じるという事が生じます。
株価の算定は専門的なので、第三者割当増資の引受価額(時価)について専門家に算定してもらうことをお勧めします。
本投稿は、2019年06月11日 09時47分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。