定年退職をした親を役員にする際の注意点について
現在、税理士さんとは契約しておらず、1人役員で会社運営をしているのですが、
元会社員で定年退職を迎えた親が、息子の会社(株式会社)に役員として登記する場合の注意点、参考資料等あれば御教授いただきたいのですが、現状見込み年収的にも節税など考えていかなければ、運営が難しくなってしまうのではないかと悩んでおります。
税理士の回答

【1】登記上の手続き
株式会社の場合、親を役員(取締役など)にするには「株主総会決議」と「登記変更」が必要です。
・取締役会設置会社なら、取締役会で選任決議
・設置していない場合は株主総会で選任決議
登記申請は選任から2週間以内に法務局へ提出します。
報酬を出す場合は「役員報酬の決定議事録」を同時に作っておくと良いです。
【2】税務上の注意点
① 役員報酬は「定期同額給与」でなければ損金算入できません。
→ 毎月同じ金額を、決められた日付で支給する必要があります。
② 就任直後は、登記日から3か月以内に「役員報酬を決定」しておくこと。
→ それ以降に変更すると損金不算入になる可能性があります。
③ 実際の勤務実態が乏しい場合(名義だけ役員)は、税務上「架空役員」とみなされ、報酬が否認されることがあります。
→ 会社に対する貢献(顧問的助言、営業支援、経理補助など)が客観的に説明できると安全です。
【3】社会保険上の注意点
親が定年退職後に厚生年金を受給している場合、会社から報酬を受け取ると「在職老齢年金の支給停止」に影響することがあります。
・65歳未満:給与+年金が月28万円超で一部停止
・65歳以上:給与+年金が月47万円超で一部停止
報酬額を設定する際は、この基準を超えないように調整するのが一般的です。
また、1人社長の会社でも、親を役員にすると「社会保険(健康保険・厚生年金)」の加入義務が発生する場合があります。
→ 特に、親の勤務実態が「常勤」であれば加入義務があると判断されやすいです。
【4】節税効果の考え方
親を役員にすることで、報酬を分散できるため「所得分散による節税」が可能です。
ただし、
・実際に職務があること
・報酬がその職務に見合った水準であること
が前提になります。
税務署は「同居家族役員」「高齢の親」への報酬を特にチェックする傾向がありますので、支給根拠(職務内容や貢献度)を社内文書として残しておくと安全です。
本投稿は、2025年10月07日 22時23分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。