役員とは?会社法と法人税法で異なる「役員の定義」

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役員とは?会社法と法人税法で異なる「役員の定義」

著者: 山田 大悟 税理士

“会社の役員”というと、経営層、役職が上の人、社長や常務・専務といった具体的な役職など、さまざまなイメージがあるでしょう。法律上では、まず「会社法」という会社の諸々を定めた法律で定義されており、それとは別に税金の世界では、「法人税法」という法律により“会社の役員”が定義されています。

役員報酬等を税務的に考える際には、この違いを認識しておくことが非常に重要です。この記事では、法人税法上の役員と、会社法上の役員の違いについて解説します。

目次

法律で異なる役員の位置づけ

「会社法」は、会社の設立・解散、組織、運営、資金調達(株式、社債等)、管理などについて定めています。この中で役員は会社の意思決定機関という位置づけで定義されています。つまり、会社というものの骨組みの一部として役員があるということになります。

これに対して税務上は、役員報酬に対する規制のひとつとして役員の範囲を定義しています。役員に対する報酬である役員報酬については、恣意的な利益操作を防止することを目的として法人税法にて一定の制限が加えられていますが、この役員報酬のベースとなる役員の定義について税法独自の定めを設けているという形です。

そして両者の定義は同一ではなく、多少異なった部分があります。

会社法上の役員

まず、会社法では役員について、取締役、会計参与及び監査役と定義しています(329条)。

また、会社法施行規則では取締役、会計参与、監査役、執行役、理事、監事その他これらに準ずる者を役員として定義しています。役員という言葉の一般的な解釈として、いわゆる執行役員については役員に含まれることがありますが、会社法・会社法施行規則では執行役員については役員には含まれていません

法人税法上の役員

法人税法上の役員については、会社法の役員より範囲が広がります。

まず前述の会社法等で定められている役員については、税務上も役員として取り扱われます。それに加えて税務上の役員の範囲には、「みなし役員」という税法独自の定めによる役員が含まれます

みなし役員に該当した場合、税務上は会社法上の役員と同様の取り扱いになります。そのため、不相当に高額な役員報酬の損金不算入など役員報酬に関する法人税法上の諸制度の対象です。

詳しい規定については、法人税法に詳しい税理士に聞いてみてください。

みなし役員とは

みなし役員とは、次の要件に当てはまる人をいいます。

  • 使用人(職制上使用人としての地位のみを有するものに限る)以外の者で、その法人の経営に従事している者
  • 同族会社の使用人(職制上使用人としての地位のみを有するものに限る)のうち、一定の株式所有割合を満たしており且つ、その法人の経営に従事している者

このように税務上では経営に従事しているかどうかという実態を判断して、みなし役員に該当するかどうかを判断します。

参考として、「使用人以外の者で、その法人の経営に従事しているもの」には、たとえば、取締役又は理事となっていない総裁、副総裁、会長、副会長、理事長、副理事長、組合長等や、法定役員ではないが、法人が定款等において役員として定めている者、相談役、顧問などで、その法人内における地位、職務等からみて他の役員と同様に実質的に法人の経営に従事していると認められるものなどが含まれます。

使用人兼務役員とは

多くの会社では役員と使用人どちらの立場も持つ人がいます。

役職的には、たとえば取締役営業部長や取締役総務部長のように、営業部の部長という使用人としての肩書や職務を持ちながら、もう一方で役員として取締役会に出席し、会社の経営に参画するような場合です。

このような場合については、税務上は「使用人兼務役員」として整理されています。少し専門的な言い方をすれば、役員のうち使用人としての肩書を有し、且つ実際に使用人としての職務に従事する者は、使用人兼務役員に該当します。

給与についての注意点

使用人兼務役員の給与については、使用人分と役員分を分けて考える必要があります。

まず、その使用人分給与については、原則として一般の使用人給与と同様に全額損金算入されます。役員報酬のように特別な規制の対象にはなりません。

しかし、使用人分給与または賞与の名目で支給した場合であっても、たとえば使用人兼務役員の使用人分の賞与について、他の使用人と異なる時期に支給した場合など、一定の状況によっては、損金に算入されませんので注意が必要です。

おわりに

法律上の「役員」は、一般的なイメージとは少し異なった形で定義されています。また、その定義も会社法と税法では異なってきます。

特に、税務上の定めについては、形式基準だけではなく実質基準で判断もされるものです。役員や使用人兼務役員に対する報酬は高額であることが多いので、損金不算入にならないように、事前に税理士に確認しておくことが重要です。

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