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海外在住フリーランス/日本での確定申告は必要ですか?

海外在住、フリーランスのデザイナーとして
日本の企業様よりデザインのお仕事をいただいております。
取引いただいている企業様には「租税条約に関する届出書」を提出いただき、
軽減税後の源泉徴収税10.21%を差し引いた金額を
在住国の口座に振り込んでいただいています。

①現在、在住国にて確定申告をして納税しておりますが、
日本でも確定申告が必要になるのでしょうか?
それとも源泉徴収のみで完結で良いのでしょうか?

②確定申告が必要な場合、既に納めている源泉徴収税以上の
納税が必要になるのでしょうか?

ご回答お待ちしております。
どうぞよろしくお願いいたします。

税理士の回答

 貴方が、日本で支店などがない前提で回答します。

① 当該報酬に関しては、源泉分離課税のため日本での申告は必要ありません。

② 申告が必要ありませんので、追加納税などは必要ありません。

【蛇足】
 日本で課税を受けた報酬については、貴方の居住地国でも課税対象となるため、二重課税の問題が生じます。
 そこで、日本の納税額については、貴方の居住地国で「外国税額控除」の対象になると考えられますので、日本の会社を通じて「源泉所得税等の納税証明願」を支払者の所轄税務署に提出(依頼)して「証明書」を発行してもらいます。


 国税庁HPから参考箇所を添付します。
 「源泉徴収のあらまし」の7枚目(P274)の表をご覧ください
 ⑩使用料は源泉分離課税となっていますhttps://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/aramashi2022/pdf/12.pdf
 「源泉所得税等の納税証明願」
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_31.htm 

米森まつ美様
ご回答ありがとうございます。
もう1点お伺いしたいのですが、著作物の使用料としてではなく、
デザイン業務のアシスタントとして「人的役務の提供事業の対価」として報酬を受け取る場合も
日本では源泉徴収のみで、確定申告不要という理解で大丈夫でしょうか?
※日本に支店等の恒久的施設はなく、デザイン業務のアシスタントを行う場所も海外の居住地のみとなります

最初に
 「人的役務の提供事業」の所得は、例えば「芸能プロダクションが芸能人を派遣する」、「会社が従業員を派遣する」対価となり、「芸能人」や「従業員個人」が受け取る報酬である「人的役務の提供」による所得とは異なります。

 人的役務の提供事業の報酬は、「源泉徴収の上総合課税(申告)」となっています。
 人的役務の提供は、「源泉分離課税」となっています。
 先に添付した表の「⑤人的役務の提供事業」「⑪給与その他人的役務の提供の報酬等」と区分されています。

 そのうえで、原則「人的役務の提供事業」も「人的役務の提供」の報酬も、日本国内の役務の提供の有無により、日本に課税権があるか否かが判断されます。

  例えば、「人的役務の提供事業」で会社が得た報酬(所得)も、その報酬から支払われた給与(人的役務の提供)も、日本の課税権のある「国内源泉所得」に該当します。
  なお、給与等は「源泉分離課税」と説明しましたが、支払者は日本の会社ではなく海外の会社となり、海外の会社は日本に事務所がないため、「源泉徴収」ができません。そこでこの場合給与を受けた者は「申告」義務が生じることになります。
  会社は一旦支払われる報酬(売上)に対し、源泉徴収されますが、給与などの経費を差し引いた額の利益を算出し、申告納税します(多くの場合は還付になります)

  なお、個人の「給与等」に関しては、海外から支払われる場合に限り多くの場合「租税条約」で免税となるケースがあります。


 ただし、「役務提供」の内容が「デザイン」の場合、「デザイン」には著作権が自然発生的に生じることになります。
 「使用料等」と記載しましたがその中には「譲渡」も含まれるため、著作権である「デザイン」の権利をどのように双方で取り決めているかにより、その取扱いは異なることとなります。
  また、例えば建物建設などを含む「設計・デザイン」であった場合は、その対価を合理的に決めることが必要になります。

  詳細な契約内容などを確認していませんので、概略のみお伝えしました。
  詳細については、報酬の支払い者を通じて所轄税務署のお尋ねになるとよろしいかと思います。
  
  以上参考にしてください。
  

昔の会社でここのところはよくやっていたのでコメントします。「人的役務の提供事業」も「人的役務提供の報酬」も「非居住者」の「国内源泉所得」のところででてきます。非居住者の人が日本国内で働いた場合です。あなたは日本で働いていないので、そこから先はもうなにも検討しなくてだいじょうぶだとおもいます。該当するとその先で租税条約とかなんとかいろいろやって最後なしとかあるのですが、入り口で該当なしだとおもいます。わたしの意見が間違いなら、また米森さんからコメントがあるとおもいます。

米森まつ美様
大変詳細に教えていただきまして、誠にありがとうございます!
素人の私でもとてもわかりやすく、理解できました。
御礼申し上げます。

安島秀樹様
コメントいただきまして、ありがとうございます。

 安島先生の補足ではありませんが、
  人的役務の提供事業も人的役務の提供も「日本国内の役務提供」が前提となっています。(日本法人の役員報酬は除く)
  なお、日本の役務提供があり、人的役務の提供事業者から役務提供者に給与などが支払われた場合で、その給与などが「国内源泉所得」に該当した場合であっても、「国外」で支払われるなど租税条約上の「短期滞在者」などに該当した場合は、給与の課税が免除されることがあります。

  ただし、「使用料等」に該当する場合は、租税条約で「債務者主義」を取っている場合(多くの条約が該当します)は、役務提供地が日本国外であっても「国内源泉所得」に該当し課税対象になります。
  そして課税された場合は(条約で決められた税率分)、貴方の居住国で「外国税額控除」の対象となるため、報酬の支払い者を通じて、税務署から「納税証明(書)」を発行してもらうことになります。

米森まつ美様
ご丁寧にありがとうございます。
クライアントに納税証明書の発行をお願いして、
居住国での確定申告の際に、こちらの税理士様に提出し指示を仰ぎたいと思います。
この度は早々に、そして詳細にご回答をいただきまして、誠にありがとうございました。

  少しでもお役に立てましたら幸いです

> クライアントに納税証明書の発行をお願いして、居住国での確定申告の際に、こちらの税理士様に提出し指示を仰ぎたいと思います
 ⇒ よろしくお願いいたします。
   様式について、先に添付したアドレスをクライアント様にお伝えするか、国税庁HPにて「源泉所得税の納税証明願」と検索されますと、入手できると思います。

本投稿は、2024年06月10日 15時23分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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