個人が外貨の取得原価を計算するにあたって 総平均法に準ずる方法
個人が外貨の差益を計算するにあたり、総平均法に準ずる方法により簿価を計算することとなっておりますが、総平均法(期末に一括して平均を算出)と移動平均法(変動があるたびに平均原価を計算)のどちらでも採用して良いのでしょうか?
税理士の回答

矢尾正俊
回答させて頂きます。
実際に計算シートを分析してみますと、外貨預金の為替差損益の算定方法について、「総平均法に準ずる方法」は実質的に移動平均法を指しています。
総平均法と移動平均法の違い
総平均法は、一定期間(通常は年度)の総額を総数量で割って平均単価を算出する方法です。一方、移動平均法は、取引が発生するたびに平均単価を再計算する方法です。
外貨預金の為替差損益算定における「総平均法に準ずる方法」
外貨預金の場合、「総平均法に準ずる方法」と表現されていますが、実際の計算方法は移動平均法に近いものとなります。
これは以下の理由によります:
外貨預金の性質上、預入れや払出しが随時発生する。
為替レートは日々変動するため、その都度平均単価を再計算する必要がある。
具体的な計算方法
東京地裁令和5年3月9日判決を参考にした計算方法は、以下のようになります:
外貨預金元帳を作成する。
預入れや払出しの都度、平均取得単価(円/外貨)を再計算する。
払出し時に、その時点の平均取得単価と払出し時の為替レートの差額を為替差損益として認識する。
この方法は、移動平均法の考え方に基づいており、より正確な為替差損益の計算が可能となります。
結論としては、「総平均法に準ずる方法」という表現は使われていますが、実際の計算方法は移動平均法に近いものです。これは、外貨預金の特性と為替レートの変動を考慮した、より適切な方法であると言えます。実務上は、エクセルなどを使用して外貨預金元帳を作成し、移動平均法的な計算を行うことが推奨されます。
ご回答ありがとうございます。
複数の口座に外貨がある場合は、口座ごとではなく
、それらをひっくるめて全体で移動平均法で算出する必要があるという理解で良いでしょうか?
ちなみに、利子があった場合も参入することになるのでしょうか?
結構大変ですね。

矢尾正俊
追加のご質問ありがとうございます。
ご理解の通りです。
複数の口座に外貨がある場合、それらを合算して全体で移動平均法を用いて為替差損益を算出する必要があります。
具体的には以下のようになります:
①全ての外貨預金口座の取引を時系列順に並べます。
②預入れや払出しの都度、平均取得単価(円/外貨)を再計算します。
③払出し時に、その時点の平均取得単価と払出し時の為替レートの差額を為替差損益として認識します。
④利子に関しては、元本に組み入れた利息も含めて円換算し、為替差益を認識する必要があります。
具体的には:
・外貨定期利息を、利息支払い時の円レートで日本円に換算したと考えます。
・その後、即座に外貨預金に預け入れたものとして扱います。
・この利息分も含めて、全体の平均取得単価を計算します。
おっしゃる通り、全ての取引を時系列順に整理する必要があり、利息も含め取引ごとに平均取得単価を再計算する必要があり大変な計算になりますね。。。
本投稿は、2024年12月19日 12時41分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。