不動産譲渡所得の確定申告時の必要書類
昨年家を売却しました。確定申告が必要なのですが、必要書類について以下ご教示いただきたく存じます。
・取得費用を証明する書類として、領収書が必要とのことですが、土地及び家屋の購入費用を記載した売買契約書があっても支払った領収書が必要なのでしょうか? つまり、取得費用を証明する書類として、売買契約書だけでは駄目でしょうか? 逆に、住宅購入の領収書があれば、購入時の売買契約書も必要でしょうか?
・譲渡したときの費用の証明する書類として、売買契約書以外に何かあるのでしょうか?
何卒宜しくお願い申し上げます。
税理士の回答

石割由紀人
1. 取得費用の証明書類について
原則:不動産の取得費を証明するためには、売買契約書に加えて、実際に支払った金額を証明する領収書が必要となります。
売買契約書のみの場合:売買契約書は、不動産の購入価格を証明する重要な書類ですが、実際にその金額が支払われたことを証明するものではありません。そのため、原則として、売買契約書だけでは取得費を証明する書類として不十分です。
領収書のみの場合:領収書は、実際に支払った金額を証明する書類として有効です。しかし、領収書だけでは、その支払いが不動産の購入費用であることを明確に示すことが難しい場合があります。そのため、売買契約書と合わせて保管しておくことが望ましいです。
例外:領収書を紛失した場合など、どうしても領収書が用意できない場合は、売買契約書や、金融機関の振込明細書など、支払った事実を証明できる他の書類で代替できる場合があります。ただし、税務署の判断によっては、これらの書類だけでは取得費として認められない可能性もあります。
結論:取得費を証明するためには、売買契約書と領収書の両方を保管しておくことが最も確実です。
2. 譲渡費用の証明書類について
不動産を売却した際に発生した費用(譲渡費用)を証明する書類としては、以下のようなものがあります。
売買契約書:不動産会社に支払った仲介手数料や、契約時に支払った印紙税などが記載されています。
仲介手数料の領収書:不動産会社に支払った仲介手数料の領収書は、譲渡費用として認められます。
印紙税の領収書:売買契約書に貼付した印紙税の領収書も、譲渡費用として認められます。
測量費の領収書:土地を売却する際に測量を行った場合、その費用は譲渡費用として認められます。
解体費用の領収書:建物を解体して土地を売却した場合、その費用は譲渡費用として認められます。
その他:弁護士費用、訴訟費用、立ち退き料など、不動産の譲渡に直接要した費用も譲渡費用として認められる場合があります。
3. その他確定申告に必要な書類
上記以外にも、確定申告には以下の書類が必要になります。
確定申告書B:譲渡所得を申告するための確定申告書です。
譲渡所得の内訳書:譲渡した不動産の詳細や、取得費、譲渡費用などを記載する書類です。
本人確認書類:マイナンバーカードや運転免許証など、本人確認ができる書類が必要です。
売却した不動産の登記簿謄本:売却した不動産の情報を確認するために必要です。
その他:住宅ローン控除を受けていた場合は、住宅ローン残高証明書などが必要になる場合があります。
石割先生
本当に丁寧な回答ありがとうございます。
原則として不動産の取得費を証明するためには、売買契約書に加えて、実際に支払った金額を証明する領収書が必要であることは理解できました。
一方で、種々ネットで必要書類を確認してみると、不動産の購入額については売買契約が必要で、仲介手数料などは領収書が必要である、というものも多くあります。
実際に私に場合、不動産購入の領収書だけ見つからないのですが、売買契約書と抵当権設定(ローン金額込み)とローン終了時のその抵当権抹消登記では、不動産そのものの費用を証明することはできないものでしょうか?
宜しくお願いいたします。

石割由紀人
不動産購入時の領収書が見つからない状況で、売買契約書、抵当権設定、抵当権抹消登記で取得費を証明できるか、という点についてですね。
まず、ご提示いただいたURLの記載内容についてですが、一般的に不動産の売買契約書は購入金額を証明する書類として、仲介手数料は領収書で証明するという考え方は、概ね正しいと言えます。しかし、税務署が取得費を認めるためには、売買契約書だけでは不十分で、実際に支払った事実を証明する書類が必要となるのが原則です。
ご質問のケースについて、詳しく見ていきましょう。
1. 売買契約書について
売買契約書は、不動産の売買価格や契約内容を証明する重要な書類です。しかし、契約書だけでは、実際にその金額が支払われたことを証明するものではありません。
税務署は、売買契約書に記載された金額が実際に支払われたかどうかを確認するために、領収書や銀行の振込明細書などの客観的な証拠を求めます。
2. 抵当権設定と抵当権抹消登記について
抵当権設定:抵当権設定は、住宅ローンを組む際に金融機関が不動産を担保に入れる手続きです。抵当権設定登記には、ローン金額が記載されますが、これはあくまで担保としての金額であり、不動産の購入価格を直接証明するものではありません。
抵当権抹消登記:抵当権抹消登記は、ローンを完済した際に抵当権を消す手続きです。これは、ローンの完済を証明するものであり、不動産の購入価格を証明するものではありません。
ローン金額について:ローン金額は、不動産の購入価格の一部を構成する場合がありますが、自己資金で購入した部分や、諸費用などは含まれていません。そのため、ローン金額だけでは、不動産の取得費全体を証明することはできません。
3. 結論
ご質問のケースでは、売買契約書、抵当権設定、抵当権抹消登記だけでは、不動産の取得費を完全に証明することは難しいと考えられます。
4. 領収書がない場合の対応
領収書がない場合でも、以下の書類で代替できる可能性があります。
銀行の振込明細書:不動産会社や売主への振込記録が残っていれば、支払った事実を証明できます。
不動産会社からの支払証明書:不動産会社に依頼して、支払証明書を発行してもらうことができる場合があります。
当時の預金通帳:預金通帳に、不動産購入資金の引き落とし記録が残っていれば、支払った事実を証明できます。
住宅ローンの契約書:住宅ローンの契約書には、不動産の購入価格やローン金額が記載されている場合があります。
固定資産税評価証明書:固定資産税評価証明書は、不動産の評価額を証明する書類ですが、取得費の参考になる場合があります。
これらの書類を組み合わせることで、取得費を証明できる可能性はあります。しかし、税務署の判断によっては、これらの書類だけでは取得費として認められない可能性もあります。
5. 税務署への相談
領収書がない場合は、税務署に相談することをお勧めします。税務署は、個別の状況に応じて、どのような書類で取得費を証明できるかアドバイスしてくれます。
石割先生 再度の丁寧な回答ありがとうございます。
取得費の9割をローン返済していましたが、その時のローン契約書とローン支払い終了後の全部事項証明書(ローン金額記載)を所持しています。また購入年度の固定資産税課税明細書も存在していました。
マンション購入時に支払った1割の費用の領収書が問題になるのですね。マンションの販売業者に、その時の領収書について尋ねてみます。
また、税務署にも売買契約書以外に何が必要か尋ねてみます。
本投稿は、2025年01月18日 20時03分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。