代表取締役が青色申告専従者給与を受ける事について
現在夫婦でそれぞれ青色申告個人事業主としてデザイン関係の仕事で
受託の仕事をしています。妻の方が仕事が太くなり、私の仕事を減らして
妻の手伝いがメインになっている事から青色申告専従者給与として
妻から最大200万受けとるという専従者給与の届出をしました。
その数か月後に元々私が仕事を外注扱いで受けていたデザイン会社の
代表取締役に私が就任することになりました。こちらの業務は非常勤で
軽微な業務しかないので役員報酬は月で8万に設定しました。
この場合、私は妻からの青色申告専従者給与を受給できるのでしょうか。
妻と私、両者の確定申告がちゃんと受理されるのか明確にならず悩んでおります。
自力で調べた範囲では”専ら専従している”事が青色申告専従者の要件であり、
代表取締役に就任する事や、副業、兼業する事が抵触の要件には
ならないとする見解も見つけたのですが、代表取締役だけは常に会社に
従事する立場なので専従者とは言えないというご意見もありました。
実体としてフルタイム勤務していたり、青色申告専従者給与を超える額や
常識的に考えて高額を役員報酬として受け取っていれば時間という観点からも
専従という部分を説明できないので受理されないと思いますが、
仕事のメインを妻のヘルプに充て、代表側は非常勤、低報酬の私の場合
どうなるでしょうか。
税理士の回答
下記の要件に該当すれば、青色事業専従者になります。
青色事業専従者給与として認められる要件は、次のとおりです。
(1) 青色事業専従者に支払われた給与であること。
青色事業専従者とは、次の要件のいずれにも該当する人をいいます。
イ 青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。
ロ その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること。
ハ その年を通じて6月を超える期間(一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間)、その青色申告者の営む事業に専ら従事していること。

同様の問題が国税不服審判所において次のように判断されています(平成26年2月4日裁決)。
『そもそも会社の取締役は、一般の従業員と異なり、その事務処理に関し、会社法第355条の忠実義務、同法第356条以下の競業避止義務等に加えて同法第330条及び民法第644条の善管注意義務を負って会社の業務全般を指揮、執行する者であり、その立場上、常に当該会社の業務に注意を払う必要がある。
特に代表取締役は、対外的に会社を代表し、対内的に業務全般の執行を担当する職務権限を有する機関であり、その代表権の範囲は会社の営業に関する一切の裁判上又は裁判外の行為に及ぶ包括的なものであり、その職責は特に重大である。
(中略)
請求人Aが、常に本件各関連法人の取締役として業務を遂行し得る状態にある以上、本件各関連法人の具体的な業務をしていない時間があったとしても、それによって、本件各関連法人の業務に従事していた請求人Aが「その職業に従事する時間が短い者その他当該事業に専ら従事することが妨げられないと認められる者」に当たると認めることはできない。』
以上のように国税不服審判所においては、他社の代表取締役に就任している場合には、その会社への勤務時間等で判断されるものではないと結論付けています。
従って、ご相談のケースでもデザイン会社への勤務時間が少なく役員報酬が少額であったとしても専従者と考えることは難しいと思われます。
ご回答ありがとうございます。つまり専従者の定義に明言されていなくても判例として「代表取締役は例外であり、一律専従者とは考えられない」と結論が出ているのですね。であれば専従者の要件に明記してほしいと思いますが・・。

ご連絡ありがとうございます。
会社の役員や代表取締役に就任している人が個人事業の専従者になるというケースを国は想定していなかったのかもしれませんね。
しかし、現実には同様の問題が起こり、実務的には事実認定をした上で上記(裁決)のような判断が下されたものと思われます。
本投稿は、2019年07月08日 17時11分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。