確定申告で外国税額控除を行うと会社にバレますか?
会社員で証券会社の特定口座(源泉徴収あり)でアメリカ株を買おうと思っています。
その場合、配当金がアメリカの税金が10%と日本の20%と二重課税されてしまいます。
その為、確定申告で外国税額控除を行うことでアメリカの税金分(10%)を取り戻そうと思っていますが、会社に株を行っているのがバレますか?
税理士の回答

中島吉央
外国証券投資に係る配当等は、まず外国で課税(源泉徴収)されます。そして、日本の投資家(居住者)の場合は、この配当等に対して日本国内でも課税されます。このように外国と日本とで二重に課税されるケースでは、二重課税を調整するため「外国税額控除」の規定が設けられており、確定申告することで、支払った外国税のうち一定額を日本の所得税・住民税から控除することができるとなっています(復興特別所得税を入れると話が細かくなるので以下省略します。)。
なお、支払った外国所得税(外国税額控除の対象となるものに限ります。以下同じ。)のうち控除できる金額(所得税の控除限度額)は、次の計算式によって計算します。
所得税の控除限度額=その年分の所得税の額×(その年分の調整国外所得金額/その年分の所得総額)
外国税額控除限度額の計算では、支払った外国所得税の額が、上記の所得税の控除限度額に満たない場合には、所得税における外国税額控除額は、支払った外国所得税の額となります。
しかし、支払った外国所得税額が上記の所得税の控除限度額よりも多い場合(つまり、所得税から控除しきれない場合)には、道府県民税や市町村民税(いわゆる住民税)からも控除する計算となっています(控除限度額まで)。
つまり、支払った外国所得税額が所得税の控除限度額に満たない場合は、所得税の枠に収まる話であり、確定申告書に記載した自分の口座に振り込まれるだけの話なので、会社にバレることはまずないと考えられます。しかし、住民税にまで及ぶケースですと、会社にバレないとは言い切れないといえます。
副業で住民税が増えれば、「給与・公的年金等に係る所得以外の所得に係る住民税の徴収方法の選択」として、自分で住民税を納付する方法があります。しかしながら、質問者さんの場合には、税金が減ることが想定されるので、給与から天引きされる住民税が減ることになります(難しいと思いますが、お住まいの自治体に自分の口座に還付できるかどうかの確認をされても良いと思いますが)。
ただし、通常、ものすごい金額の変動は別として、一従業員の住民税の多少の減額を、いちいち会社が補足するのは難しいと思いますが。
ご丁寧な回答ありがとうございます。
とてもわかりやすい答えで、良く理解できました。
しかし、申し訳ありませんが一か所だけ、
>質問者さんの場合には、税金が減ることが想定される
ということがよく分かりませんでした。
よろしければ、ご返信お待ちしております。

中島吉央
上場外国株式の配当について、すでに外国税が源泉徴収されている場合には、その徴収後の金額に対して、日本で20.315%の税率で源泉徴収されます。具体的には、所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%です。
例えば、配当を100,000円、国外源泉徴収税額(10%の場合)を10,000円とすると、100,000円から10,000円を差し引いた90,000円の20.315%に相当する税額が、日本において源泉徴収されることになります。
つまり、源泉所得税等(復興特別所得税含む)13.783円、源泉住民税4,500円となります(端数計算は違うかもしれませんが)。
外国税額控除を受けるためには、配当金を総合課税、または申告分離課税を選択して確定申告した場合となります。話を単純化するために、申告分離課税を選択したとしてした場合、配当じたいは100,000円なのですから、本来の所得税等(復興特別所得税含む)は15.315円、住民税は5,000円となり、源泉徴収された税額よりは増えます。
ただし、外国税額控除により所得税、住民税から控除されることになるので、結果的には源泉徴収されていた所得税、住民税よりも最終的な税額は減ることになります(そもそも、そうでなかったら、申告する意味がないわけですから)。
ここで仮に、所得税の枠のみで外国税額控除を使い切ってしまう場合があると仮定すると、住民税では控除できないので住民税じたいは増えるということになります(ただし、この場合も、外国税額控除後の所得税・住民税合わした税金合計は、当然、源泉徴収された所得税・住民税合計税額よりも小さい税額となります)。
あくまでも仮定の話ですので、質問者さんの場合も、税金(住民税)は減るのではないかと勝手に想定しただけです(すみません)。
なお、外国税額控除を初めて利用して申告する場合、結構、面倒くさく(下記に、国税庁の手引きリンクしておきます)、ご自身単独でするのは骨が折れると思います。
かといって、金額も大きくない場合、税理士に申告書、明細書作成依頼すると赤字になってしまうと思います。年明け後に、所轄の税務署に配当等の資料を持っていって明細書の書き方の相談をされると良いと思います(事前予約とかして)。
外部リンク先 国税庁HP(外国税額控除を受けられる方へ(居住者用))
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2018/pdf/040.pdf
本投稿は、2019年07月16日 22時06分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。