スペインでフリーランスのライター、源泉徴収と確定申告の有無は?
大変お世話になります。
スペインでフリーランスのライターをするにあたり、日本の源泉徴収と確定申告が必要かについてお教えていただきたくこちらにご相談しました。
当方非在住者で
(もう5年以上海外にいて住民票も抜いてありました。今年初めから日本に少し長期滞在する予定で住民票を入れていましたが、コロナでこちらに戻るざるを得ず日本の住民票は半年以上前にぬきました)
日本に私の所有する事務所などもありません。
この度住民票のあるスペインでフリーランスのライターとして執筆を始める予定です。
日本の企業様からの依頼なのですが、こちらの会社は現在海外のライターと取引がないそうで源泉徴収は10%と聞きました。
この場合、非住居者であるが著作権の譲渡にあたるので20%の源泉徴収となると思うのですが、確定申告で足りない分を支払うというやり方でいいのでしょうか。海外からオンラインでできるものでしょうか。
※ライターの執筆はすべてが著作権の譲渡にあたるとの認識でよいでしょうか?
またスペインとは租税条約が結ばれているので、源泉徴収自体免除になったりするのでしょうか。
ご教授いただければ幸いです。何卒よろしくお願いいたします。
税理士の回答

回答します
貴方が非居住者でかつ、日本に恒久的施設が存在しないとの前提でお話します。
1 報酬の税率等
確認しなければいけないことが1点あります。
当該ライターとしての執筆の報酬が「著作権」の「譲渡」か「使用料」かという点にあります。
国内法では、譲渡も使用料も20.42%ですが、日本とスペインの租税条約では使用料は10%に、譲渡(真正譲渡)の対価は免税(課税から除外)とされています。
真正譲渡とは、日・スペイン租税条約の議定書「4」においてこのように記載されています。
『条約12条(使用料条項)及び・・・の対価として一括に受け取る支払金は「使用料」に含まれるが、これらの権利又は財産の真正な譲渡から生じる収益については第13条(居住地国のみ課税)の規定が適用されることになる。』
そして、『「真正な譲渡」とは、著作権に関する権利に関して、何らかの「権利」も残さないで譲渡すること』と考えられていますので、貴方と日本の企業との間の契約を確認していただいたうえで、使用料の10%又は免除が受けられるか判定することになります。
また、租税条約の軽減・免除を受ける場合は、報酬が支払われる前に貴方が支払者を通じて「租税条約の届出書」の正副2部を、支払者の所轄税務署に提出する必要があります。(2部とも貴方のサインが必要になります)
2 確定申告などの精算が必要か
日本での課税は、源泉分離課税となっていますので、日本での確定申告などは不要となります。
ただし、スペインでは当該報酬も課税の対象となりますので、当該報酬が「使用料」に該当し課税を受けた場合は、二重課税防止の観点からスペインでの「外国税額控除」の対象となると推察いたします。(スペインの税制については、スペインでの確認をお願いいたします。)
なお、日本で課税を受けた分に関しては、支払者を通じて「源泉徴収に係る所得税の納税証明願」を提出することにより、税務署の「証明書」の発行がされることになります。
国税庁HPから、参考箇所を添付いたします。
「源泉所得税のあらまし」
7枚目(P270)に、国内法の規定の一覧が掲載されています
20枚目(P283)から、租税条約の説明が記載されています。https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/aramashi2019/pdf/12.pdf
タックスアンサーNo2888「租税条約に関する届出書」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2888.htm
「租税条約の届出書」様式
(譲渡収益)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/joyaku/annai/pdf2/ts326-18.pdf
(使用料)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/joyaku/annai/1648_41.htm
「源泉徴収に係る所得税の納税証明願」
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/pdf2/1648_31.pdf
米森先生、
さっそくご丁寧な回答をありがとうございます。
自分で調べれば調べるほど複雑に思えていましたが、先生のご回答を拝見し頭がすっきり整理されました。
貴重なお時間、お話をありがとうございました。

少しでもお役に立てましたら幸いです。
著作権の使用料に該当するか譲渡に該当するか、よく先方の会社のかたと相談されたほうがよろしいかと思います。
いずれにしても「租税条約の届出書」の提出は必要になりますので、ご準備はされておいた方がよろしいかと思います。
「租税条約の届出書」の提出が遅れて一旦20.42%の源泉徴収をされた後であっても、還付の請求はできますが、手間と時間が相当掛かりますので、前もって手続きはされた方がよろしいかと思います。
米森先生、
重ねてありがとうございます。
まだ先方から回答をいただいておりませんが、こちらでもすぐ準備できるよう進めていきたいと思います。
ちなみに仕事の依頼はすでにあり、プロジェクトは進んでいる状態で急ぎ租税条約の書類提出をしたいとは思っています。
もし間に合わず現状のまま(居住者として)10%の源泉徴収がされた場合は、追加支払いまたは免税手続きをしなければならないと思うのですが、そうした場合は確定申告をするのでしょうか?!
お手隙に回答いただければ幸いです。
何卒よろしくお願いいたします。

租税条約の届出書を提出前の支払いが10%で源泉徴収されていた場合、厳密には追加納税する必要がありますが、届出書の提出が有れば還付になることから、遅れてでも提出されれば、あまり心配されなくてもよろしいかと思います。
仮に追加納税であっても、確定申告ではなく、支払者を通じて支払うことになります。
米森先生、
ご丁寧にありがとうございます。
不安が解消できました。
また何かの機会には何卒よろしくお願いいたします。
今後ともご活躍お祈りいたします。
ありがとうございました。

ベストアンサーをありがとうございます。
少しでも不安が解消されましたならば、幸いです。
本投稿は、2020年10月21日 23時08分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。