立替金の処理で税金はかわりますか?
立替金が発生した場合の経理は、立替の内容が純粋であるか不純であるかによって、立替金勘定を用いる方法と、立替金勘定を用いず、売上高と仕入高で処理する方法に分かれると聞きます。
この二つの方法の使い分けは、免税事業者にとっては非常に重要とのことですが、既に課税事業者である場合はどうでしょうか?
立替金勘定を用いるか用いないかで、所得税や消費税に影響が生ずる場合もありますか?
税理士の回答

安達幸男
立替の内容が純粋であるか不純であるかによって、立替金勘定を用いるかどうかが変わるという部分の話は、何のことかは分かりませんが、立替金勘定を用いた場合と、用いない場合とで、どうなるかは次のようになると考えられます(立替金を用いる場合の売上1000、仕入600、立替金を用いない場合(立替金分100としてそれぞれ同額を売上と仕入に加算すると仮定)の売上1100、仕入700として考えます。それぞれ消費税抜き価額)。
1 所得税について
所得は、どちらで計算しても同じになります。立替金を用いない場合は、1000-600=400、立替金を用いる場合は、1100ー700=400
2 消費税について
①課税事業者になるか免税事業者になるかの点
立替金を含めた場合は、課税売上高が1100となるので、課税事業者か免税事業者かの判定上は、明らかに不利になります。
②簡易課税を選択したときの消費税額
仕入税額控除の計算について、簡易課税を選択したときの計算は、課税売上高を基にしますので、例えば第3種(課税仕入れ割合70%)とした場合、立替金処理をする場合は、消費税の課税対象は、1000ー1000×0.7=
300、立替金処理をしない場合は、1100ー1100×0.7=330となり、立替金処理しない場合(売上に含む処理)が、課税対象額が増えるので、納税額が増えて不利になります。
②仕入控除について全額控除、個別対応方式、一括比例配分方式をとった場合(難しい話ですいません)
課税売上割合の計算は、税抜き課税売上高+免税売上高/税抜課税売上高+免税売上高+非課税売上高で計算しますので、仮に、税抜き課税売上高1000、免税売上高0、非課税売上高55とすると、
立替金処理する場合は、1000/1055=94.7%、立替金処理しない場合は、1100/1155=95.2%となり、立替金処理しない方が課税売上割合が高くなり、このケースでは全額控除が適用できて、有利となります。
具体的な数字を当てはめて比較すると、ザックリとですが、違いが分かります。
所得税はどちらでも変わらない。消費税は処理方法によって異なるが、有利不利はそのケースごとに計算しないと何とも言えない、ということになります。
本投稿は、2022年01月17日 14時51分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。