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海外の不動産を売却したあと、国内での納税対策

前略。私はもともと中国人で、二十年前日本国籍に帰化しました。十二年前、中国で中古マンションを購入しまして、当時の購入金額は390万人民元でして、今の円相場で大体8000万円です。ところが、コロナで仕事がなくなり、仕事を探すために、昨年7月に、東京の住民登録を取り消しまして、イギリスへ行ってきまして、今はイギリスで住民登録して生活しており、仕事を探していますが、なかなかうまく行っていません。ですので、生活費を賄うために、年末あたりその不動産を売却しようとします。今の中国不動産相場でその不動産売却の金額はおそらく1500万人民元で売れるとされまして、そう売れるとしましたら、1100万元の利益が出てきまして、つまり1100万元に等しい二億円ぐらいの利益が出てくるのです。お聞きしたいのは例えば、今年の年末あたり、その不動産を売却した後、帰国し、住民登録してずっと日本に生活していくことになった場合、確認申告が必要になりますか?申告義務があるとしたら、いくら納税しなければならないのですか?あるいは、今後の老後生活費としてその売却金を日本にある自分の口座に送金したことによって、確定申告の義務がでてきまして納税しなければならなくなることがありますか(私は今年で65歳です)。もし、申し上げた状況になりまして確定申告が必要になりましたら、確定申告を代行してくださる税理士のご紹介をお願いしたいです。ご連絡を宜しくお願いします。ありがとうございます。黄

税理士の回答

回答します

 貴方は、昨年の7月に日本を出国したのであれば、出国から1年を経過した時に、日本の非居住者に、また、イギリスの居住者に該当します。
 
 日本の非居住者が日本で課税を受けるのは「国内源泉所得」に限られており、不動産の譲渡の場合は「日本にある不動産の譲渡」に限られていますので、今回のご質問の「中国のマンション」は、日本で課税を受ける「国内源泉所得」には該当しません。

 イギリス・中国の課税について
 イギリス・中国の課税に関しては、分かりませんので一般的な課税の流れで説明します。
 なお、事実関係も含め課税の方法など詳細については、必ず両国の課税当局にご確認ください。
 
 イギリスの居住者としての課税は、通常、居住者に該当する場合は全世界課税となるため、当該中国のマンションの売却益はイギリスで課税となると考えられます。
 また、中国においても、中国の非居住者が「中国の不動産」を売却した時にはその利益に対して課税されると考えられます。

 もしも、中国とイギリスとの間に租税条約が締結されている場合は、中国で課税された税額は、外国税額控除としてイギリスの申告時に控除されると考えられます。

 それぞれの国の課税方法などは、分かりませんので申し訳ございません。
 

 仮に貴方が「日本の居住者」であった場合は、先の説明の「イギリス」を「日本」に読み替えてご検討ください。
 なお、貴方の居住者・非居住者は判定で『「1年を経過した時」非居住者となる。』としたのは、イギリスで「仕事を探している」との記述があったことによります。

 イギリスに「継続して1年以上居住することが通常必要の職業がある」場合には、日本の非居住者となりますが
 ① 出国時に既にある場合・・・出国の翌日から非居住者
 ② 出国後に採用された場合・・採用された時から非居住者
 ③ 仕事などがない状態で居住していた場合・・・1年を経過した時 と考えられています。

 参考にしてください

 国税庁HPから、「居住者・非居住者の区分」の説明箇所を添付します。
 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2875.htm
 「住所の推定」
 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2875-1.htm

米森先生:ご丁寧なご回答を本当にありがとうございます。すぐお礼の返信をしたかったのですが、そのやり方は分からなかったので、それが遅れてしまいましてすみませんでした。今回の件で、もう一点だけをもう一度確認をお願いしたいです。つまり、住民登録を取り消しまして、一年後、その不動産を売却した後、自分が海外から帰国し、住民登録し、生活していき、今度の生活費として、売却のお金を中国から、日本にある自分の銀行に送金した場合でも、納税対象にはならないのでしょうか。たとえ、売却金を日本に送金しなければ、納税対象にはなりませんが、送金された場合になったら、納税対象になってしまうことがありますか?あるいは自ら何もせずに中国から大金が入金されたことによって、税務署から調査が入って来られましたら、その時、税務署への対応というか、申告をお願いできませんか?宜しくお願いします。ありがとうございます。

 返信が遅くなり申し訳ござません。
 それでは回答いたします。

1 日本の口座への送金は課税にならないのか
  貴方が日本の非居住者で、他国で得た所得を関しては日本には課税権がありません。
  またご自身の資産を移動(海外口座から日本口座)を行ったとしても、そのことのみをもって日本では課税はありません。

 なお、「一年後」というのは、日本に居住しない期間が結果として続き「非居住者」となった場合の考え方となります。
 

2 中国からの大金の入金について
  海外送金(入金)が100万円以上の金額に関しては、金融機関は「支払調書」を税務署に提出します。
  「支払調書」を基に税務署から、当該送金(入金)の原始・目的の問合せが来る可能性があります。
  先に申し上げたとおり、自分の預金の移動が課税対象になることはありませんが、税務署ではその資金が何によって得た資金であるかは分かりませんので、問い合わせがあった場合はにその旨を説明されればよろしいかと思います。
  その際には
  ① 日本の非居住者時代の所得であること
  ② 中国の不動産を売却した金員(国外源泉所得)であること
  ③ 当該収入(所得)は居住地にて正しく申告してあること などを
 証明できれば問題ないと思います。

  ①は、パスポート写しやイギリスの居住者証明書
    ※ イギリスの申告書上にその旨の記載があるのでしょうか?
      無ければ、イギリスの課税当局からの居住者証明書があればベストです
  ②は、売買契約書(日本の訳文を付けて)と当該取引の入金があった通帳の写し
  ③は、イギリスで申告した際の申告書の 写し 等が考えられます。

3 税務署の対応について
  この「無料相談」のなかで、税務代理契約等をする行為は禁止されています。
  また、取引や入金もまだ先の話になるようですので、具体的なことが判明した時に、日本のお住いの近くの税理士や「税理士ドットコム」の紹介サービスをご活用されればよいのではないかと思います。
  なお、税理士であれば、税務署への対応や質問の回答なども行うことが可能でしょうか、資料などの作成やかかった時間などのより、それぞれの税理士ごとに料金も異なりますが、いずれにしても有料になります。

  また、現在のお尋ねは、貴方が日本の「非居住者」であり、イギリスの「居住者」であるとの前提による解説(回答)でしたので、万が一前提が変わると回答も変わることを、念のためお伝え申し上げます。

  以上 参考にしてください。
  

本投稿は、2022年06月30日 22時41分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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